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混沌とした筋の中、下ネタとパロディとドライなユーモアに流されていたら、いつの間にか鮮やかにオチがつけられているという、緻密な構成が楽しいSF漫画。
題材はSFだけれど、洒落たタイトルのモチーフはマザーグース。
「バビロンまではなんマイル?
六十プラス十マイル
ろうそくともしていけるかな?
いってかえってこられるさ
あしがはやくてかるければ
ろうそくともしていけるとも」(谷川俊太郎訳)
という古い歌は、作中で紹介すらされないけれど、読み終えて改めてこの歌詞を思えば、単に洒落たタイトルというだけじゃないんだなと納得させられる。
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タイトルの付け方と回収方法が実に見事。
やられた!と思う事でしょう。
藤子不二雄先生の少し不思議を軸に
道満晴明さんがスペースオペラ風に味付けをすると
この作品が出来上がると思います。
カバー下がモロにそんな感じのお遊びになってますしね。
地球が消滅し、地球人最後の生き残りである記憶喪失状態の男バブが
種の保存の本能のまま後輩相手を求め宇宙を旅する序盤。
バビロンという場所に行かなければならない事を思い出し
バビロンを求めて情報を集める中盤。
オーバーロード人と地球人のハーフである双子と共に
最終目的地を目指す終盤。
全編を通し、少年時代に持っていた冒険心を刺激してきて
全1巻ながらも読み応え抜群。
地球が消滅した理由に始まり、
表題のバビロンとはどこのことなのかに至るまで
全ての展開に無駄が無く、筋の通ったしっかりとした話なんだけど
ベルトラン星人の頭のゆるさや
スタービー星人の胎内の描写や
種の保存のためにはバブは男よりも女であるほうがいいだろうという事で
ナノマシンで性転換手術を試みるも性別が不安定になる等々
道満晴明さんらしい頭のイカれた(褒め言葉)描写は健在なので
合わない人は開始5ページ程度で駄目かもしれない。
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読んで楽しい作品だった
散りばめられたネタやギャグにニヤニヤしながら読んで、家族愛なんかにホロリもしてS(少し)F(不思議)で、もちろん下ネタも満載だ
満腹
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唯一生き残った地球人バブと愉快な仲間たちのドタバタ珍道中を描くSF。宇宙人のナンセンスな造形や生態など、印象はガーディアンオブギャラクシーに近い。ここに育児要素がプラスされる……というか、それまで交流のなかった双子(しかも発達障害持ち)を引き取った新米パパの試行錯誤が笑いを交えて展開される。
TS、ショタ、同性愛、人外など、道満作品ではお馴染みの要素がてんこもり。しょっぱなから主人公が宇宙人の風俗に出かけていくのだが、セックスの仕方が斬新。まさしく人類には早すぎる。
惑星ソラリスやアカシックレコードをもじった造語やケビン・ベーコンゲームといい、B級映画やSFへの愛が随所に散りばめられたマニアックな内容で、わかる人にはわかるけどわからない人は何これツマンねとなりかねない。そういう人はどの道満作品を読んでも合わないと思うので、他をあたったほうがいい。
そして本作では家族愛も重要なテーマとなる。
ナノマシンの影響でしばしば性別が変わる主人公と、そんな主人公と微妙な距離感を保ち続ける双子。
壮大な宇宙をテーマにしながら移動中の宇宙船内で繰り広げられるのは、扱い辛い子供にへどもどする半人前パパと、それに呆れる仲間たちのシットコム。この脱力シュールな落差がいい。
長大すぎる回転寿司やまるごと漫画喫茶の惑星など、彼らが旅する星々はいずれもユニーク。宇宙というマクロな舞台でミクロな冒険を繰り広げるのだが、星新一のSSで育った読者なら、こんな星あったらいいなあと受け入れられる。
デフォルメが利いた絵柄は可愛く、しばしば変態的ともとれるきわどい性を扱っても、ドギツくならずにすんでいる。レズもホモもショタもあらゆる特殊性癖がタブー視されず、同一の世界観の中で混沌と共存する独特のノリがなんだか心地いい。
タイトルの伏線回収など、回想に入ったあたりからオチは読めていたが、最後まで楽しかった。
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ヴォネガット『タイタンの妖女』を下敷きに道満晴明先生っぽいギャグや言い回しがさく裂したSF作品でした。
とっても面白かった。
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道満晴明はいいね!エロギャグネタ挟みつつ、少し不思議なショートショートをつないでいってこんなふうに纏めてしまう。すらすら読めるのに、読んだ後の満足感がある、素晴らしい作品だ。