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紙の本
おどろおどろしい幻影に踊らされる面々
2024/05/23 21:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主要な登場人物であるゲーレン将軍とBNDやハンス・グロプケは別に「逃亡者」ではないので表題と合わないのだが、それは原題も同じ。
アメリカ軍がゲーレンと彼の部下を連れて行って収容した先のフォート・ハントでゲーレンが盗聴器があると警戒したのは当たりなのだが、どうやら著者はこの尋問収容所の盗聴記録があるのを知らなかったらしく使っていない。中田整一の「トレイシー」が使っているのだから請求すれば記録が存在して公開出来る内容なら公表したのではないか。ドイツ外務省の「褐色の過去」を書いた分厚い邦訳書にグスタフ・ヒルガーもこの収容所に連行されたとあるので対ソ情報工作に使えそうな人材は、この収容所に送っていたらしい。
武装SSや今の連邦軍と違ってドイツ国防軍には「准将」の階級はないのだが国防軍時代のゲーレンの階級として出て来るのは元々なのかそれとも誤訳?
ユルゲン・トールヴァルトの「幻影」の主要な登場人物兼情報提供者らしいハインツ・ダンコ・ヘレ大佐を「ハインツ・デンコ=ヘレ」と表記して索引も「デンコ=ヘレ、ハインツ」で引くようになっている。「幻影」は一貫して「ヘレ」で表記しているので、こちらが正しいはずだが。「幻影」はヘレが1942年以降、一時期を除いて陸軍参謀本部東方外国軍課に所属していたので「フォートハントでゲーレンのグループに加わる」では誤解を招く。「幻影」によればヘレはゲーレン一行とは別にアメリカ軍の捕虜になっているので誤解したのだろうか?「幻影」にはヘレがアメリカ軍の将校に英語で話している個所があるので「アメリカ人との連絡役を務め」たのだろう。
おどろおどろしい「第四帝国」「ナチの残党」「ナチの復活」のようなB級映画紛いの幻想にイスラエルや西側の情報機関は思い込んだ結果、共産主義者につけ込まれたと著者は批判している。しかし「零時」から日も浅い時期にイスラエルのみならず旧連合国の人々がドイツ人を否定的に見るのは仕方がない面はあるだろう。それにしてもモサドはスコルツェニーどころかガス・トラックの開発者のヴァルター・ラウフをエージェントとして雇用しようとしたとは。となると行動部隊や支部収容所に勤務していたような有名ではないSS隊員を「ナチの残党」が絡む対象の情報を収集する為に使っていたかもしれない。
シリアでのアロイス・ブルンナーの晩年は冷遇されて悲惨なものだったそうだ。これならドイツに帰国して戦犯裁判にかけられた方がまだましな死に方はしていただろう。
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