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大野耐一氏の「トヨタ生産方式」を年初に読んだばかりであり、それをデジタル経済の中で置き換えたような本。タイミングよく読めてよかった。
著者がいうデジタル経済の特徴の説明はわかるビジネスパーソンにはわかる話だが、大野氏の主張を随所で引用して説得力を増している。著者の会社のポジショントークが強烈に感じられるわけでもなく、テンポよく読めた。
人間尊重のためのデジタル活用。よい着眼点だなあと感じました。
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感想
・素直に面白かった。この手の経営目線の本で一度も寝ずに読みきれたのは初めてだった。
・自分も1ホワイトカラーとして定型業務やグレーゾーン業務に大半を費やしていることを痛感した。
→これと同等かそれ以上のことが日本中のホワイトカラーに起こっているにも関わらずメスが入っていない。この現状に、素人ながら強い当事者意識を持った。
・ERPを売ってみたいと思った。全従業員の幸福に、根本的にアプローチできる製品だと思ったからだ。
→BPRの肝=経営者向けの製品かと勝手に捉え、全従業員の幸せには寄与できないと考えていた。
→実際は、ブルーカラー領域で名を馳せた「ジャストインタイム」「自働化」「人間性の尊重(意味のある仕事をやれるようになる/長期的に給料も上がる等)」をホワイトカラー領域で実現するための屋台骨になれる製品だった。
→お金さえ払えば誰でもホワイトカラー生産性向上を目指していけるにも関わらず、決断に踏み切れていない企業も多くある。企業は重大な機会損失をしているのではないか?と思った。
ERPを何故入れられないのか?その根本要因をもっと知りたい。
→「やめていい」と言える責任者たちに北極星の策定〜BPR2.0(デジタルを活用した定型化)の啓蒙をしたい。
・今回の学びをSFのセリングにも活かせないか?
→定型業務の標準化と自働化により、「人事部門の人手不足解消」「人間性の尊重による働きがい/エンゲージメント/(長期的には)給与向上」に繋がる
→(対ERP既存顧客)ワンファクト ワンプレイス リアルタイム原則の実現のために、ヒトの情報も同一のマスタで管理していかなければいけない
→(対グローバル企業)上記世界観は、他国の企業&日系グローバル企業の間では当たり前となっている
→(対プロセスルールを整備中の企業)経路依存性の観点から、五位一体の改革が求められる
メモ
◎製造現場(=ブルーカラー)を支えるトヨタ生産方式とは?
・下記「ジャストインタイム」「自働化」により「少人化」を実現、「生産性の向上」「人間性の尊重(=ヒトがやって意味のある仕事をやらせる)」を成し遂げる生産方式である。
・ジャストインタイム: 必要や部品が、必要なだけ生産ラインに到着する
→物理的にも財務的にも経営を圧迫する「在庫」をゼロに近づけられる
・自働化:自動停止装置付きの機械
→「機会に人間の知恵を付けたもの」と言え、不良品の生産を防ぎつつ、工数低減による生産性向上を見込める
・グレーゾーン業務大量発生の根本原因は、突き詰めれば終身雇用も年功序列である
→上の年齢層で人が余っており、彼らが余分な仕事を生み出している
→複線人事(マネジメント職とスペシャリスト職が行き来できる)などのジョブ型への移行により、非定型業務にコミットできる環境を作る必要がある
・グレーゾーン業務:顧客への提供価値とほとんどまたは全く関係のない社内業務を指す
→部分最適なデジタル化を人手でつぎはぎするような非効率かつミスや不正の余地をはらんだ業務プロセス
→本来���目的とかけ離れたプロセス
→過去のプロセスやルールがそのままになっている
→上位職者への過度なサービス、忖度
→波風を立てないことを過度に重視した根回し
・グレーゾーン業務が定型化されない理由
→ソフトウェア化しなくても作れてしまう
→ソフトウェアへの投資対効果が見えにくい
→定型化できるほどの知見がない
→ヒトならではの柔軟性が評価されることもある
→皆非定型業務が好きであり、定型化を嫌う(自分にしかできない仕事だ、と胸を張れるため)
・「標準化されてしまうと出来ない業務が増える」と言われる事へのカウンター
→そもそもの問いの立て方が間違っている、北極星から逆算した際には標準化がマストとなる
→北極星策定から、SAPとして関わる
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日本の大手企業と呼ばれるような会社に勤めているビジネスパーソンには、必ず読んで欲しい1冊。
大企業病と揶揄されるような問題について、なぜそのような問題が生じているか、構造的にわかりやすく解説されている。
また、最終章で書かれているような変革を、日本の大手企業それぞれが取り組まない限り、日本は世界からどんどん取り残されていくのは間違いない。
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本の要約
【概要】
(誰が書いた、概要)
SAPジャパンというERPソフトウェアの開発・コンサル会社のディレクターの方
(読むきっかけ)
私が社労士法人に勤めており、お客様にバックオフィス改善提案をしていく必要性を感じた。
その中で、バックオフィスの改善における現状や問題点を勉強したいと思っていた中で本書と出会った。
(活かしたい内容 ※2点程)
・自分の業務の棚卸をしてみて、それが『社内価値』か『顧客価値』か棚卸をしてみて、できる限り『顧客価値』の仕事を増やすようにする。
・無形の情報やサービスを特性を意識して仕事をする。
その取り組みの積み重ねが『顧客価値』提供に繋がっていく。
(感想)
・トヨタのカイゼンにそのまま当てはめて考えていたが、ちゃんと有形と無形の特徴を把握した上で話をしないと机上の空論や意味のない活動になってしまうと思った。
・仕事の質、スピード、誰に届けるは大切。
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ホワイトカラーの生産性が低すぎる。
日本のブルーカラーは、すごい。
JITが実現され、常にカイゼンにより、省人化圧力がかかっている。
一方で、ホワイトカラーは、ソフトウェア化が遅れ
ムダと有用の間のグレーゾーンな仕事が多数ある。
全体最適の視点から、
顧客への価値という観点から、
ムダをなくし、
定型化を徹底することで
ソフトウェアにやらせる。
結果として、非定型な価値ある仕事こそ人がやるようにする。
少子化により、そもそも人が足りない今こそ、
その人数でも回る仕組みを作るべし。
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・「生産性をあげる→定型業務を人からはがす→定型業務はソフトウェア化する。」という話し。生産性を上げるところからスタートすると標準化の話しは通じる。
・SAPにもユーザー現場を分かってる人がいるじゃないと思ったら村田さんだった。以前話した時は、確かに腑に落ちることが多かった。これが、SAP製品紹介のときには反映されない。わざと欧米でやったことは日本人には紹介しないのか。「ザ・ゴール」を翻訳しなかったように。
・JTCあるある。過去のプロセスやルールがそのままになっている。上位職者への過度なサービス。波風を立てないことを重視した根回し(既存業務の既得権益化)。
・上司を喜ばすためだけのホウレンソウ。「資料が難しすぎる。1枚にまとめろ」による角のとれたわかりやすい情報。無駄。これだと上司は本質に気づく手段が自ら無くしている。
・ただしパーキンソンの第一法則に注意。仕事の量は、与えられた時間をすべて使いつくすまで膨張する。
・「4つのテスト」がすべてYesでない限り、その情報は無価値。
①適切な受け手に渡っているか?
②受け手の行動に有意な影響を与えるか?
③その結果として経済的・社会的価値が生まれるか?
④情報が渡るタイミングが適切か?
・ホワイトカラー業務の大半は、企業レベル・投資家レベルの視点では単なるコスト。上記①~④のテストを通った場合にのみ価値がある。
・理想的に設計された組織とは、誰もが仕事をするために知るべきことを知っている。仕事をするために必要な資源をみな手にしている。つまり会議のない組織。労働時間の1/4以上が会議についやされている場合は、組織構造に欠陥がある。「プロフェッショナルの条件」byドラッカー
・ホワイトカラーの生産性を改善するためには、ボトムアップな「ヒトの現場力」だけでなく、トップダウンの「全体最適の追求」(=働かせ方、やめていい作業は止める)の両方の合わせ技が必要。
・そのためには、期間限定のプロジェクトでなく、経営陣が本腰を入れて「仕組み」で取り組む。
・デジタルの対義語は「フィジカル」。
・企業とは「複数の人や部門が、協力/分業して、顧客に対して価値を提供する機能体」つまり「システム」。なので、サブシステムが部門に個々のロジック/処理が個人になる。システムのパフォーマンスを上げる方法に、企業のパフォーマンスを上げるヒントがある。
・なお、個人の頑張りで企業のパフォーマンスを上げられるが、本来の抜本的な対策ではない。つまり、今の日本企業は、すばらしい文化/社風でなんとか個人が頑張るレベルから、文化/社風を業務プロセスに一段落として高度化するレベルになっている。カイゼンには限界がある。
・つまりいまや優れた企業とは「顧客価値最大化を軸に、優れた業務プロセスを持ち、さらにそれを高度化させていく仕組みをもつ企業」。
・ERPのメリット。部門別システム時代は、各システムに売上や原価や在庫やオーダーのデータが存在。それを繋ぐが、微妙に違ってたりする。その煩雑なcorrection とcollection を不要にする。datalakeと同じ。ERPは統合業務パッケージ。datalake は統合データベース。部門システムが最初から完全に連動している。
・TPSで実施したブルーカラーに対する「機械化」を、ホワイトカラーに対して「ソフトウェア化」するのが日本型BPR2.0。ソフトウェアに仕事をやらせる。この例がExcel バケツリレーをやめてERPを使うのなら、うちはもうやっている。だけど生産性は高いとは思えない。
・欧米企業がやれていて、日本企業ができていないこととは何なのか。
・BPR2.0には、プロジェクトでなく専任の組織が必要。半永久的に続く「デジタル時代のオペレーショナルエクセレンスの追求」のため。「生産技術本部」があるのになぜ「業務変革室(業務技術本部)」がないのか。
・「業務変革室」には、情報システム部とプロセス管理部を併設する。メンバーは専任。兼任で両方の立場を持ってというのは、トップの覚悟の無いていのいい言い訳。
・プロセス管理部は、業務部門と情報システム部の間に入って、経営目線の中立的な立場で「全体最適なプロセス」を追求する。全体を見えるところにしか、全体最適はできない。
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労働生産性 = 利益 ÷ 人数
分母は工数じゃない。人数!
なぜ人数なのかという説明はないが、おそらくトヨタ生産方式でそのように定義しているからだと思われる。
とにかく人数。それが大事。QCDのうちQとDを保ちながら人数を減らさないといけない。
そのためにできることは沢山ある。
何度も言うけど、工数じゃなくて人数!
人数が減って初めて生産性が上がる!
この視点と出典を得られたので、今後の仕事人生に対して意義深い読書だった。
なおBPR2.0については、実行難易度が非常に高い。
そこに人を投入しなければ。
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日本と比べて雇用に柔軟性がある欧米企業は、効率が上がって社員数が減らせる状況であれば当然そうする(P203~204を参照)。ホワイトカラーといえど例外ではない。定型業務しかやらない・できないホワイトカラーは(5章で詳述するように)デジタル時代にはコストでしかなく、そうした事務職が減っていくのはむしろ自然な流れであった。
ただしこうしたシフトは10年以上の時間をかけて少しずつ起きたので、多くのホワイトカラーがいわゆるリスキリングし、「ヒトは非定型業務に特化する」という流れに対応していくことができた。企業の側もできるだけ解雇は避け、『他の仕事をしてもらうよう務めた。また、売上と利益が順調に伸びている状況であれば、人数の伸びをそれより抑えることができれば、それは少人化と同じことになる。
部分的なデジタル化は行われたが(4章にて詳述)、そこで生み出されたはずの余剰時間は、グレーゾーン業務にそのまま吸収されていった。
グレーゾーン業務とは、顧客への提供価値とほとんどまたはまったく関係のない社内業務を指す。本章~6章のそれぞれ冒頭に掲載しているBさん〜Fさんの話はその典型例だが、あなたの周りにも、以下のような業務はないだろうか。
・部分最適なデジタル化を人手でツギハギするような、非効率かつミスや不正の余地をはらんだ業務プロセス
・本来の目的とかけ離れた・社員のワークロードを無視した無意味なプロセス
・過去のプロセスやルールがそのままになっている
・上位職者への過度なサービス(=部下のワークロードの私物化)
・波風を立てないことを過度に重視した根回し(=既存業務の既得権益化)
◾️フィジカルと比較したデジタルの特徴
デジタルとは、突き詰めればビットのon/off、電子の羅列として表現され、伝送されるもの、のこと
その特徴は3つ
①フィジカル世界では考えられない超高速
-超高速ゆえに超大量でも容易に扱える
-伝送もまた超高速
②容易かつ完全に複製できる
③指示されたことは(指示が正しい限り)100%正確、かつ無限にこなせる
いずれも、フィジカル世界(たとえばヒト)とは真逆
⇒強力な補完関係にある
ホワイトカラー業務のデジタル化を進めるにあたって、欧米企業の経営者は、本社つまり自分の直下に「プロセスオフィス」と呼ばれる、業務プロセスのカイゼンを専門とする部署を作った。日本企業ではほとんど見かけないが、欧米企業ではごく一般的な部署である。
プロセスオフィスで働くのは「ビジネスアナリスト」と呼ばれる、社内コンサルタント的な人材で、実際その幹部はMBAを取得してコンサルティング会社勤務を経験してきたような人材が務めることが多い。ただし社外コンサルタントが期間限定で雇われ、「報告書」という紙だけを残して去っていかざるを得ないのと違い、正社員であるだけに、現場との二人三脚で、地に足のついたカイゼンに長期視点で取り組むことができる。
ビジネスアナリストは、初めからエンド・トゥ・エンド、つまり全体最適になるような改善しか考えていない。部分最適を目指す理由はな��のだから当たり前である。『ザ・ゴール」で有名なTOC(制約条件理論)の通り、ボトルネックになっている工程以外は、カイゼンしても、エンド・トゥ・エンドで見れば改善しないのだ。
ホワイトカラー業務が定型化されない6つの理由
①作り・届けるのが情報という無形物なので、機械化せずともこなせてしまう前項で見たように、現代のブルーカラー職場では、「一定の品質」のモノを「多数」作り・届け続けるためには、ある程度の機械化が必須であり、機械化するためにはその部分を定型化しなくてはならない。
ところがホワイトカラーは、作るモノが「情報」なので、機械がなくても作れてしまう。PCという「情報の入出力+加工デバイス」つまり「工具」は必要だが、人間上りはるかに強力・高速・高精度に動く「機械」はなくても作れてしまう。
②こなす数が少ないので、定型化するコストが相対的に大きく、メリットが小さい
そもそも定型化する、つまり「どのようなプロセスを踏めばベストなものが作れるかを見定め、明文化する」という作業にも、相応の時間やコストがかかる。ブルーカラーは多数のモノを作るので、そうしたコストをかけても元が取れるが、ホワイトカラーが作る情報は基本的に1つ。たとえば商品が20種類あれば×20にはなるかもしれないが、それでもせいぜい数十という単位なので、元が取りにくい。
ちなみにこれは日本企業のような在職期間が長い企業で、とくに顕著な傾向である。一般に在籍期間が短い海外企業では、入社した人が「まず手順を覚える」ことをしなくてはならないので、標準手順が明文化されていることのニーズが高い。一方日本企業では明文化のコストをかけずとも皆がそれを知っており、たまに入ってくる新人は周りの人に聞いて覚えてもらったほうがコストが低い、ということになる。
③定型化できるほどの知見・経験がないこともある
まったく初めて作る情報はもちろんのこと、何度かやったことがある程度では、手探りで進めざるを得ず、「よい作り方」を定めるほどの知見や経験はたまりにくい。
④情報の価値は常に相対的なので、単に「作業」手順を定めてもそれが価値につながりにくい
ブルーカラーは多数のモノに一定の品質と価値を持たせるため、作業手順を定型化する。
一方ホワイトカラーは、前項で見たように、定められた作業手順を踏んでも価値が出せないことがままある一方で、手順を踏まなくても価値が出せてしまうこともあるがゆえに、手順を定型化するというモチベーションが働きにくい。
たとえば、100ページフルカラーで情報満載の提案書を作っても、A4ペラ1枚箇条書きの提案に負けることはある。とくにタイミングを逸した場合は。そうなると、手順を定型化し情報の品質を上げるよりも、それ以外の要素で勝負しようとなることは、ある意味やむを得ない。
⑤ヒトは極めて柔軟であり、その柔軟性が喜ばれることも多い
機械(ソフトウェア)化すると、定型処理しかできない。だがヒトは柔軟なので、顧客や上司の要望に合わせて、手順を変え、柔軟に対応することができてしまう。そしてそれが喜ばれることも多い。「顧客の要望に柔軟に対応することこそが自分の仕事」「わが社の強み」という意識にまで達してしまうこともよくある。
そしてそれは、「おもてなし」という言葉が異常なほどの好感を持って受け取られる日本において、とくに顕著である。本来おもてなしとは、P144でコメントした通り、一定の定型化ができたうえでのプラスアルファであるべきなのだが。
⑥皆、非定型が好きである
そもそも、他人に指示された通り・決められた手順通りにやるのが好きな人はいない。なぜならその手順を覚えなくてはならず、そして手順通りにやらないとハネられてやり直しをさせられるからだ。それがうれしい人間はいない。それよりは自分に裁量があり、その中で自由に(=非定型に)進められるほうが楽しいに決まっている。
また定型化されている手順は勝手にカイゼンできない。つまり自分のやり方でやったらうまくいったから、今日からはこの手順に変更します!ということができない(関係者全員を説得したうえで、標準手順そのものを改定する、というプロセスを経なければならない)。カイゼンが推奨される日本の現場において、カイゼンできないというのは、非常にストレスになる。一方定型化せず非定型扱いのままにしておけば、どんなカイゼンでもやり放題だし、自分しかできない、という役割や居場所を創ることにもつながる。
手順通りにやったところで「人並み」になるだけで、人並み以上にはならない。それなら定型化などせず、「自分のやり方」でやったほうが差別化できる。とくに上位職(たとえば役員)ほど、「非定型こそが自分の付加価値であり、自分のやっていることは非定型だ」と考える傾向が強い。実際にはそんなことはなくても、だ。
◾️上が「やめていい」と言ってやる例
ちなみに大野耐一氏の時代ではなく、現在のトヨタでは、社内に以下のようなポスターが大きく貼られているという。
①会議のムダ――「決まらない会議」「決めない人も出る会議」を開いていませんか?
②根回しのムダ――自分の『安心』のために、『全員”に事前回りをしていませんか?
お酒
③資料のムダ――報告のためだけに資料を作っていませんか?A4/A3一枚以上の資料を準備していませんか?
④調整のムダ実務で調整していても進まない案件を、「頑張って」調整しようとしていませんか?そういった案件は、すぐに上位に相談しましょう。
⑤上司のプライドのムダ――自分に報告がなかったという理由だけで、「私は聞いていない」と言っていませんか?上司がこう言うと、②根回し③資料のムダが発生します。情報は上司自ら取りに行きましょう。
⑥マンネリのムダ――「今までやっているから」という理由だけで、続けている楽務はありませんか?
⑦「ごっこ」のムダ――事前に練ったシナリオ通りの『シャンシャン”会議をしていませんか?決めようとせず、その周辺ばかりをつつくことで議論した気になっていませんか?
◾️組織能力の5つの要素
さて、業務変革本部のミッションは「組織能力の向上」と言いましたが、事業を支える組織能力には、「組織構造」「プロセス/ルール」「人」「データ」「システム」の5つの要素があります。これらの要素にはいわゆる「経路依存性」があり、相互にガッチリと組み合わさっているので、どれか一つだけを変えようとし��も、強力な引力をが働いて、元に引き戻されてしまいます(図表7・4)。たとえば典型的なのは、情報システムだけを新しいものに入れ替えようとすることです。すると何が起こるでしょうか?一例を挙げれば、
・組織構造:既存のタテ割り組織ごとの利害
・プロセス/ルール:現状の業務プロセスやルールへの拘り・慣性(惰性)
・人:社員の「現状維持」意識
・データ:多数のシステムに散在してしまっているデータの不整合
など、他の要素が足を引っ張ります。結果、莫大な費用を投入しながら、出来上がったシステムは以前のものとほとんど変わらない、といったことがしばしば起きていました。みなさんの会社でも、ご経験があるのではないでしょうか。
こうした事態を防ぐためにはどうしたらよいでしょうか?5つの要素すべてを、一体で変革していくしかありません。よって業務変革本部の傘下には、社内コンサルタントである「業務変革室」以外に、「情報システム部」を移動し、しばらくしてから「プロセス管理部」も新設しました。データの管理は、この両部の共同で行う形になっています。プロセスとデータは非常に重要なので、後ほど、詳しくお話しします。
さらに「人の意識変革」をリードする社内コミュニケーション、いわゆる「チェンジマネジメント」の機能も持っています。
◾️必ず専任
メンバーには、各部門の若手~中堅のエース社員をローテーションさせています。「兼務」では絶対に機能しないでしょう。
なぜ専任か?兼務者とは要は「部門代表」であり、「部門の声」をプロジェクトに伝えることが期待値ですよね。するとどうしても部門最適を主張することになってしまう。これが全体最適を目指す活動と両立しないのは明らかですよね。部門業務に精通し、出身部門との信頼関係があるエースであっても、兼務でなく専任として発令すれば、部門の理解と協力を得つつ全社最適を推進していくキーパーソンとして機能してくれます。これを兼務という中途半端な発令でしのごうとするようでは、トップの覚悟が疑われても仕方ないでしょう。
◾️ワンファクト・ワンプレイス・リアルタイムとは
全社システムにおいて最も重要なのは「ワンファクト」です。ファクトをひとつにせよ、など当たり前のことのように聞こえますが、では自社がそうなっているか?というと、そうではないことはあなたの会社でも同じではありませんか?当社でも、本書の4章で見たように、「売上高」や「原価」といった最も基本的な数値ですら、部門システムごとに存在していることがザラにありました。
また非常に多くの企業において課題となっている(がそうは認識されていない)のが、マスターデータの不統一(=マスターデータが複数存在している)という問題です。製品マスター、部品マスター、顧客マスター、人事マスター、購買マスター・・・・・・などのデータが部門システムごとに保持されていると、それらは常に相互の不整合の元凶となり、つまりワンファクトでなく複数ファクトが常時発生しています。
◾️ニッポンの未来を創る、現在のそして未来を担うリーダーたちへ
さて本書の総まとめの7章、いかがだっただろうか。おさらいすると日本型BPR2・0は、以下7要素から成るフレームワークである。
(1)自社の全体最適視点での経営のしくみが時代遅れになっている・今後何もしなければそうなっていく、と認識し、(2)北極星を定め、(3)組織、(4)システム、(5)プロセス/ルール、(6)人、(7)データの五位一体で変革していく。
2000年前後に一世を風靡したBPRは、実際には当初からこの7要素を含んでいた。だが当時の日本企業の経営者が、それを(4)システムの話だと狭く捉えてしまったために、正しく機能しなかっただけだ。
本来は名前の通り、「ビジネス・プロセス」つまり(5)が中核だが、それを「リエンジニアリング」しようと思えば組織・システム・人・データも同時に変えていく必要がある。5つの要素をバラバラにしないためには、北極星という明確な経営目標を示す必要がある。デジタル生産性革命の時代に、自社を時代遅れにしないために。経営者としては当たり前のことばかりだ。
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これはチームの人に紹介しておこう。
日本の労働時間の長さと給与水準の低さ・・・やばいですね。
非効率を非効率のままにして、人海戦術でどうにか乗り切ろうとするの、大野耐一さんのいう「人間性の尊重」に反するというの、ほんとにその通りだと思う。同時に読んでいた『アジャイルワークの教科書』の著者もこの人間性の尊重について言及していたけど、個人の人権感覚が希薄な日本では、人海戦術を否定しちゃうと、敵視されちゃうかもです。
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サボっているわけでは無いのにホワイトカラーの生産性はなぜ低いのか?その答えは経営者や管理者の働かせ方にあった。Excelのバケツリレー等、耳に痛いが共感できる内容が多い。全体最適につながらない業務はやめるよう、上から指示する必要があると理解した。
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ホワイトカラーのエクセルのバケツリレーは面白い。
ちいさな成功体験に支えられた日本のホワイトカラー。
<書評より>
工場は少人数で回せるようになったのに、売上に比例して事務職員が増え続けなくてはならないのは、なぜなのか。
複数の関連会社のシステムが個別に管理され、情報一元化のために膨大な労力を割かなくてはいけないのはなぜなのか――?
ブルーカラーの現場では生産性アップが進んでいるにもかかわらず、ホワイトカラー業務の生産性は、思うように改善されていない。
なぜ、日本企業のホワイトカラー業務は効率が悪く、生産性が低いのか。
その理由は、多くの人(主に経営者)が、「ホワイトカラーの生産性を高める方法」を知らないことにある。
ブルーカラー業務に求められるのは、一定の品質のモノを大量に生み出すことであり、業務の一部を自動化するなどして、生産性が劇的にアップした。
ところがホワイトカラー業務では、そうはいかない……。
本書ではホワイトカラー業務の特性を読み解きながら、生産性が低い理由と、そこから脱却するための手法、そして、組織全体を成長させ、変革させるためのアプローチを解説する。
「食い入るように読みました。まさに書かれている通りのことが弊社内でも起きている」
「現場のカイゼンでは改善できないこともある、と常々感じてきたのでモヤモヤが晴れた」
「失われた25年とは管理職が自己の能力向上を怠り、忖度がはびこり、若手の成長のボトルネックになってきた期間」
「ワンファクト・ワンプレイス・リアルタイムこそが要だと実感した」
「DXという言葉の中に埋まっている本質を見せていただいたように感じられた」
などなど、反響続々!!
※本書では、ブルーカラーとホワイトカラーは単なる職種の違いとして表記しており、どちらかが上で、どちらかが下だという見方はしていない。
別の書評より
私が考える一番の原因はやはり年功序列を基軸とした人事システムにあるのではないかと思います。現時点で道行く会社員に「あなたの会社は成果主義に基づく人事制度が導入されていますか」と聞けば、おそらく9割の人からYESという返事が返ってくるでしょう。しかしこれが曲者で、日本企業に導入されている成果主義は同期社員の間に数年の昇格スピードの差をつけることで社員に同期に負けじとする気持ちを持たせ奮い立たせようとするものであり、外資企業に見られるような年下の上司が存在する真の意味での成果主義が導入されている日本企業は少数派なのです。従って多くの日本企業においては年功序列を基軸に成果主義の味付けがしてある人事システムが主流と言えます。
守りに入っているホワイトカラーの社員を生産性向上の動きに持ってゆくには、彼らの意識変革が必要です。それは生産性を向上させ仕事が変わってゆくこと自体が面白いと思わせること、あるいは生産性向上により労働時間が短縮し残業や休日出勤が減少することでより多くの自分の時間が持てるようになり、結果的にワークライフバランスがとれた生活を送れるようになることを理解��せることで実現します。要するに守りに入っているホワイトカラーの社員が自ら生産性向上の必要性と価値を理解して動かない限り、生産性向上活動は決して成功しないのです。
例えば生産性向上に向けた時間管理の仕組みを作り、毎週上司と部下間で業務の無駄がないか確認する、全社キャンペーンを実施する、社長メッセージを定期的に発信する、研修を行う、等のいろいろな施策を組み合わせ、しかも継続的に実施することになります。
、本人の意識に訴えるボトムアップアプローチこそがホワイトカラーの生産性を高める有望な手法と言えるのではないでしょうか。
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トヨタ生産方式は、機械化→自働化→省人化→少人化、の順で進む。最後は人数を減らすこと。
ホワイトカラーの仕事では古いものを無くすことは難しい。添付ファイルのPPAP(パスワードを別メールで送る)など。一度始めると無駄とわかっていても辞められない。
少人化はホワイトカラーの仕事には適用されない。グレー損業務があって、その増減で人の仕事を調整するから。パーキンソンの法則=仕事時間いっぱいまで仕事はかかる。
会議は原則ではなく例外。
仕事はPCを通して行っている職種。
Excelのバケツリレーという無駄。
日本のカイゼン文化が生産性の上昇を不可能にしている。
部分最適の山は全体最適にはならない。
ブルーカラーはモノを扱う。ホワイトカラーは情報を扱う。有用な情報を一つ作る。情報はタイミングが重要。定型業務は少ない。皆、非定型が好き。非定型こそ付加価値という誤解。
生産性は、カイゼン、効率、ムダではなく、利益が増えたか人が減ったか、で計るべき。
新規の仕事を用意できなければ人を減らすしか利益は上がらない。カイゼンした分、余計な仕事をしてしまえば意味が無い。
会議、根回し、資料、調整、上司のプライド、マンネリ、ごっこ、は上が辞めていいといわなければ辞めない。
突き詰めると、終身雇用と年功序列の日本型雇用慣行が原因にある。
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部分最適ではなく全体最適の重要性
作者が日本の未来を諦めていないことが伝わった
SAP社の方が書いているのでERPの重要性を訴える流れにどうしてもなってしまうが伝わる部分も大きかった
目の前の課題解決ではなく先を見据えた変革を
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生産性を上げるのは部分最適ではなく、全体最適。ホワイトカラーは価値のある情報を提供し、運用する仕事。
低い生産性は、古い文化の浸透により、全体プロセスに対して盲目になってしまったことで生じる。改善の方法は、会社全体の組織をそれぞれ縦で置き、横軸での繋がりを持たせる為の軸を作ること。そして、その軸の芯として、経営方針を掲げ、コストを費やすか減らすか明確な基準を持たせること。
私が所属する会社でも資産の統合管理システムが課題となっている。属人化も進み、人材がいなくなったら瓦解する、掘っ立て小屋状態だ。今日、企業がTOPの下に経営コンサルタントやデータアナリストを起き、ワンファクトで経営を行うことは必須となってきている。経営アルゴリズムを建てるのは、上層部にしかできないが、それを後押しするのは新入社員でもできる。今こそ立ち上がるときだ。
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痛感しました
・ホワイトカラーこそ生産性革命が必要
・エクセルバケツリレーをしていないか
・全体最適で取り組んでいるか
・定型業務、グレーゾーン業務は自働化
・今までの延長線上で処理するな
近年、仕事のやり方が紙→システムに変わってますが、むしろ面倒になったり、ミスが生じやすい仕組みになっていると感じます。
UXの視点を忘れず、本質的な生産性革命に取り組むことが必要と感じました