AIのすごさを痛感した
2025/04/22 18:35
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投稿者:柿句恵子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
AIは短歌をどう詠むか、というタイトルが気になって読みました。この本を通して、AIにはできて人間にはできないこと、反対に人間にはできて、AIにはできないことを活かしていくことが大切になるということを学べました。
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「AI短歌」の構造、人間とAIの差異を著者の取り組みをベースに語られている。
AIを壁打ち相手とするや批評の実例とするなど、短歌に限らないAIとの付き合い方を提言される。
そもそも短歌に疎いので、そちらから攻めていこうと思う。
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丁度、AIが生成した短歌のクオリティの高さに驚き、これなら素人の私がわざわざ拙い歌をうんうん考えて詠む価値など無いのでは?と考え出した時に出会った本で、すぐに購入して読みました。
読んだ結果、己なりのAIとの上手い付き合い方をしていこう思え、趣味の短歌を続ける意味も見出せました。ありがとうございます。
分かりやすい文章でAIの仕組みについても知れて良かったです。
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朝日新聞社で短歌生成 AI を開発している方が執筆した一冊。今熱い生成 AI に使われている技術のいくつかを、短歌生成 AI を語る中で簡潔に説明されています。「生成 AI って実際何をしているの?」という生成 AI への第一歩としてオススメの読み物だと思います。(数式は用いず概念の説明に留められているので誰にでも読みやすいと思います!)
また、短歌という創作活動を、AI を通して捉え直すことで、私のような短歌に真正面から向き合ったことのない人間でも短歌の面白さの一端を見られたような気がします。筆者の説明に乗りながら
「この設定の AI が作る短歌はだいぶおかしいな」
「これは AI 製だけどちょっと面白い?」
「いやぁ~でもその道の人の作るものには到底届いていないな」
と人や AI が作った色んな 31 文字を楽しむことができました。
そして、昨今議論が過熱している、「そもそも創作分野に AI が入ってくることの是非」という問いに対する筆者自身の視点も書かれています。もちろんイラスト、音楽、その他色々......とジャンルによっておかれている状態は異なるので一概には言えませんが、自分の専門と、知り合いで創作活動をしている人の声との間で、AI との距離感をつかみあぐねている私にとって、筆者の視点は今後の思考の重要なヒントになったように思います。
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浦川通(1988年~)氏は、早大大学院基幹理工学部研究科数学応用数理専攻修了、大学在学中からプログラマーとしてモバイル・アプリケーション制作等に携わり、メディアアート・広告制作等を行った後、2019年より朝日新聞社で自然言語処理の研究開発に従事。
本書は、著者が自然言語処理の研究開発の中で心血を注いできた「短歌AI」について、その仕組みを解説しながら、より根本的な「コンピューターが言語を処理するとはどういうことなのか?」から、「AIが短歌をつくる際にはどんなことをしているのか?」を明らかにしたものである。
また、著者が短歌AIの試作を始めた頃、朝日新聞社の朝日歌壇を担当する文化部が、テクノロジーを使った新たな企画を欲しており、俵万智や朝日歌壇選者の歌人・永田和宏らの協力を得たられたことが、同研究および本書の内容に格段の厚みをつけている。
私は、コロナ禍の頃から某新聞歌壇に投稿を始め、ときどき掲載されるようにもなったのだが、まさに「AIが短歌を詠むとはどういうことなのか? それは自らの短歌作りの参考になるのか?」と思い、本書を手に取った。
一通り読んでみて、AIが短歌を作る仕組みについてはよくわかったが、AIを短歌作りにどう活かすかといった部分については賛同しかねるところもあった。
まず、仕組みに関しては、ChatGPTが一般に解放された頃、生成AIの言語モデルの核心は、「膨大な言語データの中から、次に来る可能性のある言葉を予測し、それを繋いで文章を作る」ことだと知り、驚いた覚えがあるのだが、短歌AIの仕組みも、当然ながら全く同様である。ただ、(生成AI全般において)単純に最も高い確率の言葉を繋ぐだけでは、自然な文字列にはならないため、「ビームサーチ」や「サンプリング」等の様々な手法が試みられている。そして、本書では、短歌AIに、学習データをウィキペディア日本語版にした場合と、俵万智の作った短歌にした場合に分けて、様々な条件を付けて短歌を作らせ、比較をしているのだが、モデルの仕組みから考えて当然ながら、俵万智の短歌で学習した場合の方がはるかに短歌らしいものができる。これらについては、(おそらく)短歌に限らない、文章を生成するAI全般に当てはまる仕組み・特徴でもあり(「五七五七七」のリズムにする点は短歌に特有のものだが、それは本書で語られていることの本質ではない)、それについてはよくわかった。
そして、最後段には、そうした短歌AIとの「付き合い方」として、「壁打ち相手になってくれたら」、「私をうつす鏡になったら」、「似ている歌を教えてくれたら」等のアイデアが紹介されているが、私としては、データベースとして使うことの有効性は理解するものの、それ以外については賛同することは難しい。それは、短歌AIが、過去のデータに基づいて確率的に言葉を並べているだけである以上、人が見、聞き、感じたことを言葉にする短歌とは、本質的に異なるものだからだ。(そんなことは、著者も百も承知のはずではあるが)
「短歌AI」を通して、生成AI・言語モデルの仕組みと限界を知ることができると同時に、人が短歌を詠むことの意味を再認識させてくれる一冊と言えるだろうか。
(2024年12月了)
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「この本の目的はAIを駆使した短歌のつくり方を解説することにはありません。むしろ、AIが短歌をつくる過程を通して人が短歌をつくること、ひいては私たちが毎日扱う言葉について、新しい視点から考えることを目指しています」
残念ながら、「むしろ~」の考察は平凡です。文量もほとんどありません。大部分は「AIが短歌をつくる過程」です。この本の内容はこちらになります。
序 章 コンピュータで言葉を扱う自然言語処理について説明
第1章 新聞社の取り組みである短歌AIの概要
第2章 型を扱うAIの仕組みや挙動から短歌の定型
第3章 学習データによる言語モデルの生成の違いから作品に触れることの重要性
第4章 言語モデルの生成手法から歌をつくるための語彙選択
第5章 AIとの付き合い方
以下、お気に入りの箇所。
「永田さんは「自分の時間だけには嘘をつかないで」歌をつくり続ける、ということをおっしゃっていました。これは、過去の出来事や未来に起こりうることを頭の中で展開して短歌をつくるのではなく、まさに自分が立っている「いま」から、いまの自分にしかつくれない歌をつくるということです。そしてそれが、人生という有限の時間の中で歌をつくる人間の特権である、ということではないでしょうか」
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調整する前の短歌AIは説明的であり当然そうなるであろうことを出力し、それは面白くない。短歌の味わいが、ずらし、飛躍、ワンダーにあることをあらためて気付きました。短歌AI初夏の光とともにやってくる「午後の地下鉄ふくらんでゆく」→山手線がふくらんでゆくに添削。初夏の光、地上を走る山手線、目には鮮やかですが、外は夏の陽、地下鉄ホームのもわっとした空気ごと入線してくる車両のことかと思うと短歌AIにもシンパシーを感じますがこれが説明的になる要素かもしれません。
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AIで短歌が創れるか?
ここで紹介されるAIは上の句の入力を受けて、下の句を出力するというもので、お題に対して一句詠むというものではない。どちらかと言うと、次のフレーズを選択・抽出するものだ。それも予めセットされるある一定の言語モデルに準拠してだ。
なぜ、無限の言語モデルではないのだろう。そのあたりは今後さらに発展するのでしょうね。
現段階では、歌人の凄さが際立つね。AIが出力した句でも、歌人(本書では俵万智さん)が、単語1つ入れ替えるだけで見事な句になったりする。そっか、AIはまだ推敲はできないんだね。
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読書会をきっかけに、以前から気になっていた本書を図書館で借りた。移動中に読了。
タイトルに私が抱いた印象は「AIは短歌をよめるのか?!」という驚きと疑問。人の心が宿る短歌を、心を持たないAIがよめるのだろうか。
結論は、「現時点ではAIによる学習と人間の工夫により、短歌らしい言語配列が可能となる」ということ。
AIに短歌を詠ませるために、膨大な既存のデータを覚えさせる。言わば、詠むために読む作業が必要なのだ。言い換えれば、AIが出力する短歌は、人間が過去に生み出した膨大な創作物の集積から生み出されたものであるといえる。
ひとにあって、AIにないもの。それは、短歌を詠む動機である。また、言語データとしてデータベース化できない個人の体験を含んだ短歌の創造も、ひとにしかできない。
逆に、AIにしかできないこと。それは短時間に数百の短歌を書くこと。
ひとはあたたかいとよく言われる。
「AIはあたたかい」この言葉の響きはどうだろうか。人は冷たくなることがあるが、AIにはそのようなことがない。そう思うとAIは確かに温かい。
AIと人のよむ短歌の違いから、人が短歌をよむ意義を再認識できる。
湯川秀樹さんは著作の中で『人間は具象以前の世界を内蔵している。そしてそこから何か具象化されたものを取り出そうとする。科学も芸術もそういう努力のあらわれである』と述べていることを思い出した。
AIとの付き合い方を考えるヒントになった。