混乱するけどたのしい
2023/06/10 13:00
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投稿者:するめいか - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作はけっこう頭の中なかがわちゃわちゃになった。でもそれが不快な感じではなくて、なんだろう、大人数のバンドを聴いているみたいな、いろんなところでいろんな音が鳴っている感じというか。けどそれで大層な音楽を奏でているよりは、すごくミニマルなパターンの繰り返しのなかにちょこちょこ変なフレーズが、突飛なメロディが聞こえてくるような感じ。わちゃわちゃしながらも最後まで読み通せたのは、文章のリズムとか、書かれていることのくだらなさが私とあっていたからかもしれない。
繰り返される与太話
2023/06/06 11:53
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投稿者:madai - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かった。表題作の饒舌な文体や劇的なことは特に起きないあらすじは好みがわかれそうだが、個人的にはかなりツボだった。世相や社会状況を描くことによる問題提起も小説の大事な役割だけど、こういうたただだ笑えるだけ(褒めています)の小説があってもいいと思う。というか、もっと沢山あって欲しい。しかし笑えるといっても、コントや漫才のような組み立てられた面白さではない。知り合いが「面白いことがあってね」と体験したことを話すような、日常的な面白さと言えばいいのか。だから、それがまったく伝わらなかったり、「だからなんなの?」としらけてしまいそうな人も多いと思う。小説の語り手もずっと聞き役というか、繰り返される与太話にあきれたり、つっこんだり、ウケたりしている。ほとんど誰かが何かを話し、語り手がそれを聞き、なんらかの態度を示すというその繰り返しだ。でも自分はそれに飽きることなく、最後まで面白かった。最後の最後のちょっとしたオチは胸に迫るものがあった。こういう小説を読むと率直に嬉しく、なんか自分の生活もそう悪くはない気がしてくる。一緒におさまっている「Maxとき」は表題作とは少し毛色がだいぶ違ったけど、こちらは普通に読み物として楽しかった。
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すごく面白かった。表題作はデタラメな人ばかりがあらわれて、わけのわからないことを話してはいつのまにか場面が変わって、また新たに変な人がやってくる、というその繰り返し。ストーリーに深刻さみたいなものがないから出来事自体はささいなことばかりで、でもいちいちがくだらなくて、バカバカしくてとにかく笑ってしまう。と思いきや、併載されているもう一つの作品は死と離婚という二つの別れが主題になっていて、こちらも笑える箇所やバカバカしいシーンはあるのだけれど、いっぽうでかなりエモく、やるせない場面があり、その反動というかギャップのせいでたくさん泣いてしまった。笑えて泣けて、どちらも良い小説だと思います。
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めちゃくちゃ面白い、ダラダラしてて、登場人物はみんな酒ばっか飲んでいて、ハチャメチャで、令和の小説とは思えない(誉め言葉)
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本屋で表紙とタイトルに惹かれて一読。不思議な作品だった。これといった展開も求心力がある訳でもないけど、ラフな文体で気楽に読めた。エッセイを読むような感覚に近いかも。会話が若いのか酔ってるからなのか、人の話を盗み聞きする様な感覚で、自分の会話も文章に書き起こしたらこんな感じで割と訳わかんないのかも、と妙なリアルさを感じた。
「やべー人っすね」
「でしょ、だからライン交換してさあ」
「だからの意味がわかんないよ」
「俺が慰謝料なんか欲しくないからいいんだよ」
「お前、独りよがりはよくないぞ、ちゃんと筋を通さないと社会の倫理が歪むだろうが」
「意味わかんないこと言うなよ」
「そんなん、生きてる保証ないじゃん」
「俺とのランチを励みに生きろよ」
この辺りの会話、すごく好き。
飲みの場でのしょーもない愚痴、酔った勢いで口から出る熱い言葉、帰り際の寂しさ、次の日がくるやるせなさ、眠気。そういった何気ない瞬間に愛しさを覚えるきっかけをもらえた。
とりあえず友達と飲み行きたい。
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小説の快楽、ここにありけりというかんじでほんと良かった。銭湯というタイトルの付け方も飾らない感じで好き、
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摩訶不思議な何もなさ!
着地点の何もなさ!
出会う人達の意味不明なわからなさ!
それらがただただ重なっている!
タイトル⁈ココー⁈
日常の中の非日常がここに現る⁈
みんな一気読みしちゃうんじゃない?
もちろん私もね
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面白かった。小説のネタに出来そうなエピソードが100個くらい次々と出てくるので「私も書きたい」と創作意欲が刺激された。
初めましてさんなのに、かなり前から知ってる風の接し方でこられると「どうせ明日以降は2度と会わないんだろう」とお酒の力を借りた人の付き合いの薄さに警戒していたが
矢崎が出てきた辺りから少し安心して読み進められた。
とはいえ退屈研究会とか、親しげな常連さんと連絡先繋がってないどころかディスってるとか、
みんなで飲みに行くといいつつ離脱していく人たちとか
人の付き合い信用できない