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探偵小説・大衆小説作家にして詩人であった
城昌幸の怪奇幻想掌編集。
江戸川乱歩、稲垣足穂、久生十蘭などの作品を好む人に
お勧めの、猟奇色ありメルヘンっぽさあり、
人生の光と影あり……といった趣の一冊。
特に面白かったのは――
■古い長持(1959年)
結婚以来、決して開けてはならないと言われてきた
中二階の長持。
四十年経っても夫の言葉は変わらず、
妻は夫がそこに秘密を隠しているのだろうと思い、
嫉妬を覚え、遂に勝手に蓋を持ち上げてみた。
すると……。
■猟奇商人(1938年)
夜の銀座で〈私〉に話しかけて来た男は
「刺戟を提供してあげよう」と誘いかけた――。
■たぶれっと(1933年)
遠い異郷の騒乱の、絢爛で頽廃的な叙景。
※後で同時刊行の別作品集『のすたるじあ』と併せて
ブログに細かい話を書きます。
https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/
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これまで様々なアンソロジーで城昌幸の作品を読んではいたけれども、一冊まるごと城昌幸の本を読んだのは初めて。1963年に桃源社から刊行された作品集が、補遺・その他の短篇を加えて復刻された。江戸川乱歩による『跋』(pp265-269)はさすがの内容で、ごく短い文章で城昌幸の本質を「彼は人生の怪奇を宝石のように拾い歩く詩人である」と言い当てている。「ショート・ショートの先駆者」とも乱歩は書いており、たしかにそうなのだろうけれども、星新一と違うのは、ストーリーがなく心象のみを掌編小説に結晶させた作品も多いことだ。その不穏で静謐で美しい世界を、数日かけて通勤電車の行き帰りでじっくり楽しんだ。
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ショートショートの先駆者でもある作者の自薦集。
少し読みにくいものもあることはあったけれど、時代が変わっても読み返されるのも納得、という感じでした。もう1冊の「のすたるじあ」も楽しみです
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若さま侍捕物手帖しか読んだことがなかったのですが、こんなのを書く方だったんですね。
幻想の中のちょっとドライなところが好きです。
この中では「ジャマイカ氏の実験」が一番好きです。