投稿元:
レビューを見る
デザイナーという職業の立ち位置や葛藤(幻滅)を言語化した1冊。
デザイナーはもちろんのこと、同じ組織の人、上長、依頼主の立場の人も読むべきと思った。(むしろ、幻滅の原因は「意思決定者」にある)
翻訳のせいか横文字が多く読みづらいけれども、様々な文献を引用しつつ筆者の深い考察を書き連ねているので、デザイナーという職種への解像度は高まった。
投稿元:
レビューを見る
概要
本書では、デザインにおける幻滅の感情がどのように形成され、影響を及ぼすかを探求しています。特に、デザインの専門家とその業界の関係、デザイン批評の重要性、そしてデザイナーが直面する社会的・経済的な圧力について詳述しています。
1. デザインにおける幻滅
- 幻滅の定義: 幻滅は、失望だけでなく現実を直視することであり、期待と現実の隙間を埋めるための思考を促すものです。
- デザイナーの位置づけ: デザイナーは、自立と依存の間で揺れ動き、業界の安定感や周縁からの影響を受けています。
2. デザイン批評の役割
- クリティカル・グラフィックデザイン: 複数の意見を反映することで、デザインに対する批評が行われています。特に、批評は肯定的な側面だけでなく、厄介な要素も含むことが強調されています。
- 社会的圧力: デザインは商業的な文脈に敏感に反応し、デザイナーは常に再発明を求められています。
3. デザインと資本主義
- 職業の変化: デザイナーは、自己成長と職業的な役割の再評価を求められ、常に変化する市場に適応する必要があります。
- 資本主義の影響: デザインは社会的な力を持たず、クライアントや市場の要求に従わざるを得ない状況にあります。
4. 教育とデザインの未来
- 教育課程の影響: デザイン教育は、学生に対して現実的な機会と期待のギャップを生むことがあります。
- 新たな職業モデル: デザインは、技術的知識だけでなく、人文的な価値観の強化が求められる時代に入っています。
5. デザインの文化的側面
- デザイン・パニズム: 現代社会におけるデザインの役割は、単なる技術的なものにとどまらず、文化的な影響をも考慮する必要があります。
- 社会的責任: デザイナーは、倫理的な観点からも社会に貢献することが期待され、単なる製品のデザインに留まらない役割が求められています。
結論
本書は、デザインにおける幻滅というテーマを通じて、デザイナーが直面する現実や社会的な期待について深く掘り下げています。デザインの未来は、技術や市場の変化だけでなく、倫理的かつ文化的な視点からも再評価されるべきであると述べています。
投稿元:
レビューを見る
デザインの領域が広がり続ける現代において、その気水域を詳細に辿った思考の記録。
とても良かった。色々なトピックが次々に繰り出されるので話の流れが掴みにくいが、最後のエピローグの著者の主張を読むと、なぜこういう書き方をしているのか、も理解できる。