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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
沖縄旅行に行っても明るいオモテしか見ていないので、少々いえ、かなり驚きました。しかし、これは10年にわたる取材とか。ならば、もう少し、取材最初の頃と取材の後半には、変わって来ていなかったのかな
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打越正行『ヤンキーと地元 解体屋、風俗営業者、ヤミ業者になった沖縄の若者たち』ちくま文庫。
2019年に筑摩書房より刊行された本の文庫化。文庫化にあたり、若干の加筆訂正を行ない、補論と解説を追加。
当時、大学院生の著者が2007年から10年超に亘り沖縄の暴走族やヤンキーたちと付き合いながら、沖縄の若者たちの現実を浮き彫りにしたフィールドワークの記録である。
それにしても、余りにも中身は薄い。ペラペラに薄過ぎる。果たして、これをフィールドワークと言って良いのだろうか。沖縄の暴走族やヤンキーたちの仲間になり切れない本土出身の頭でっかちのオッサンが、彼らの声を拾い集め、ただ並べただけの内容だった。
もう少し深く斬り込んで、沖縄社会の特異性と若者たちが特異な社会の中で生きていくことの過酷さが述べられることを期待していたのだが。
本体価格900円
★★
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特定の地域あるいは社会的集団の文化や行動あるいは内部の構造を明らかにするため、潜入、同化、並走して、できるだけナマの姿を取材・記述する。これを参与観察というそうだが、まずもって熱意と胆力がないとできないし、参与の過程で自分自身の本音の価値観や思考様式が色濃く立ってしまうような人には無理だろう。意味のあるコミュニケーションを行うためには、同じ場の空気を呼吸し、黙って隣にいても気にならないくらいの薄い共感が芽生えるくらいに距離を近めないといけないと思う。
というわけで、一般の人には近寄りがたい、暴走族やヤンキーの世界を対象としたエスノグラフィーは、「すげえ」という一般の読者の興味本位を刺激するセンセーショナルな色合いを帯びてしまう。
だが、本作を読むと、覗き見の好奇心を満たされるというようりも、何か、しんとした静謐さを感じてしまう。
閉塞感のただよう地域社会の中で幼い時から環境や周囲の条件に苦しめられた人は、一般の社会とは別に彼らだけの集団をつくり、独自の規範や価値観、そしてヒエラルキーの中で過ごすことを選んでしまうが、当然ながら彼ら彼女らは当たり前の人間であり、幸福を追求したい、という心理においてなんら一般の人と変わるところはない。それなのに、なぜ孤立した集団や組織を形成して閉じこもってしまうのか。
区別や排除を生みだすのは優者必勝の社会原理なのか、個人の資質や能力の分布が広いことに遠因があるのか、とにかく考えられさせる。それが社会学の役割ということであろうか。
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沖縄関係の社会学の話題には必ずといっていいほど登場する人で、数年前から対談を読んだりしてはいた。文庫に入ったから「そのうち読もう、」とマークしていたら突然の訃報を聞き、急いで買ってきた。追悼読書になってしまうとは⋯自分より若い前途ある学者の早逝は切ない。
ひとまず巻末の岸政彦の解説を読むだけでもやるせない。こんなにもこの先を期待されていたのに⋯
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抜群の面白さ。改造バイクで走り回っている彼らは何なのか、どうしてそんなことになってるのかと、自分には想像できない世界を余すことなく見せてくれる。風俗店の章は切なかった。十年一昔というし、今はどうなっているんだろうか。
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本書は、パシリという役割を担った調査者が、地元で生きるヤンキーたちと共に生活を送りながら、彼らの生きる地元・沖縄社会とそこで営まれている人間関係を詳細に描いたものである。
パシリと聞くと、雑用とか、利用されているとか、いじめられているとか、そんなイメージが浮かんでくるため、パシリとして調査するなんてそんなことできるのか?と思われる。だが、著者はパシリとしての役割を担うからこそ見えてくる世界があるとして、調査としてのパシリを肯定的に位置付けている。
通常調査は、外部から観察するか、内部で観察するかの2つが考えられる。前者はアンケートが挙げられそうだ。後者はインタビューや参与観察などが挙げられるだろう。だが、著者は観察するのではなく内部にいながら当事者になっているのだ。そうすることで、観察するのではわからない世界を描き出すことに成功している。ただし、当事者になることの問題についても念頭においた上で、独自の調査のあり方を生み出している。
このように文字通りこれまでにない調査方法によって生み出された本書は、沖縄のヤンキーという内地に住む我々では接することがないような者たちについて伝えてくれる。そして彼らが、どのように暮らし、そこで人間関係を構築し、何を考え行動しているのかを詳細に伝える。さらに、ヤンキーたちとの関わりを記述することで、彼らの住む地元とは何か、沖縄とは何かを教える。
自分の知らない人たちを知るヒントを得るためでもいいし、沖縄を知るためでもいいし、これから調査を行うためでもいいし、ノンフィクションに興味があるためでもいい。どんな理由でも、一度は読んでみる価値があるだろう。
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ものすごいエネルギー
貧困、暴力、排除、分断
生活の実態と、それを歴史と構造に結びつけて分析すること
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いやあ、やってることはすごいんだけど、対象の生き方のなんというか内容が気分が滅入る感じで、読んでて気持ちの良いものではなかった。
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たまたま訃報が目に入り、暴走族のパシリとして彼らを研究している先生と聞いて興味が湧いたため購入。
建設業に従事していらっしゃる方々の様子も一緒に働きながら観察記録していらして、大切なことなのだけれど読んでいてとてもしんどくなった。妻子を殴るひと、後輩を殴るひと、暴力がたくさん出てくる。読んでいてとても苦しい。自分の居る建物は全部建設業者の方々がつくってくれたもので、身の回りにあるものは全部運送業者の方々が運んでくれたもので、その恩恵を受ける内側に虐げられてきたひとが透けて具合が悪くなる。目を逸らしてはいけないことだけれど、とてもしんどい。
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地元という狭い世界で生きるには、
先輩からの理不尽な暴力に耐えて過酷な建設現場で働くか、違法性の高い仕事をして何をしてでも稼ぐか。
彼らには選択肢が少ないのだと知った。
観光地としての沖縄とは全く違う一面を見ることができた。
若者たちのリアルな声を聞くために暴走族のパシリになるという体を張った調査ができることがすごい。本にして届けてくれてありがたいなと思う。
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本編を読み終わったあとに読む、補論と岸さんの解説がめちゃくちゃ良かった。
「つかえる部外者」ではなく「つかえない内部関係者」であるパシリに本当になり、本書を書き上げた著者に感服。
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和光大学図書・情報館の所蔵
https://libweb.wako.ac.jp/opac/opac_link/bibid/SS01161139
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市民のための行政、そして研究がうたわれるが、そもそも市民として数えられていない人々がいるのだ。白々しいことを言わずに仕事に忠実であるべきだ。少なくとも学問はそうあるべきだ。著者は真っ直ぐに実践した。「役に立つ」研究学問の白々しさ。でも僕はそれで禄を喰んでいる。
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まさかの訃報に接し、やっぱり本作くらいは読んでおかないと、ってことで。ちなみに、☆は追悼の意味で1つ追加。ヤンキーに対する気持ちと本ルポへの評価に、どうしても分かちがたい部分を感じてしまったけど、実際問題、ここまで体当たりのノンフって、そうそうお目にかかれないわな。氏がここまで切り込んだからこその発言な訳で、当然、通常のインタビューとは一線を画すものと思われる。”思われる”と書いたのは、通常のインタビューに触れたことがないから。とはいえ、本作中の各言動に、そこまでの意外性を感じないのも確かで、とすると、いわゆる勝手なイメージが当たらずとも遠からず、ってことになる訳で。
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生まれ故郷が嫌いだと吐き捨てるように言った、一人の若者。その出会いを原点に、沖縄の若者たちをめぐる調査は始まった。暴走族のパシリとなり、建設現場で一緒に働き、キャバクラに行く。建設業や性風俗業、ヤミ仕事で働く若者たちの話を聞き、ときに聞いてもらう。彼らとつき合う10年超の調査から、苛酷な社会の姿が見えてくる──。補論を付した、増補文庫版。
評論家の三宅香帆さんがおすすめしていて手に取りました。すごい本だった・・・自分が全く接したことも見たこともない世界。同じ日本なんだろうか?と思うくらい、沖縄の(もちろん一部にせよ)独特な空気と慣習。そこに内地から飛び込んでいって、危険も感じただろうに、全力で取材を続けた筆者の胆力に驚嘆した。ただ単に若い頃だけではなく、大人になってどうなったのかを分かる範囲で書いてくれているのも興味深い。ただやはり散り散りになってしまう人も多いし、これからこの世界を変えていくにはどうしたらいいのか、あまりに闇深すぎて分からない。取材の限界も感じた。