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著者は精神障害は福祉の研究者でありながら成果主義のもと、学歴偏重、家父長制に基づいた能力主義から脱却できなかった状況を子供が生まれたことを契機にケアの世界に目覚めた様子を、書評という形で綴られた書である。著者の考えることと共通するのか私も同じ所を読み、同じ感想を持っていたので、著者の考えに共感した。先に読んだ勅使河原氏と同じように現在の能力主義に疑問を持っている著者であるが、本書は勅使河原氏より社会福祉寄りの考えが中心となった書であった。なお著者と勅使河原氏は対談もされているようであった。
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能力主義とは、個人の能力や努力で社会的地位や報酬が決まるべきという考え方
能力主義は教育歴や偏差値、業績至上主義と結びつき「能力の個人化」を進める
能力主義社会では他者との比較により自己肯定感の低下や存在意義への疑問が生じる
努力が報われるという考えと現実のギャップが「生きづらさ」を生み出す
「良い子」規範の内面化により本来の自分を表現できなくなる苦しみがある
「ケア」は相手の状況や感情に寄り添い、主体性を尊重しながらサポートする概念
ケアは他者との相互依存や関係性を重視し、個人の自立や競争を重視する能力主義と対比される
ケアの視点は能力主義がもたらす分断や排除、個人の孤立に対処するために不可欠
オープンダイアローグは対話を中心とした精神科医療アプローチで、ケアの理念と共鳴する
子育て・教育では子どもの個性や主体性を尊重し、多様な能力や可能性を認めることが重要
家族・地域社会は互いの脆弱性を認め合い、助け合うことを当たり前とする文化が必要
本書は能力の「共同性」に着目し、ケアを基盤とした社会のあり方を模索する重要性を強調
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ここに挙げられた本を読んでみたい。ただ著者が実体験も交えながらわかりやすく解説してくださっているので「読みたい」と思えるのであって、実際読むと手に負えない本もたくさんあるのかも。
体験や自分の思いを包み隠さず書いてくださってるようで、とても信頼できる感じがした(内田先生が帯文で「正直な人」と書いておられるそのままの方なのであろう)。そのご本人が天畠大輔さんに対して、同じことを思っておられるのが笑えた。
タイトルの意味が最初わからなかったが、読んでみるとタイトルそのままだった。