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キンダートランスポートってなんだろう?と疑問に思いながら手に取り、帯の「なにが起きても、パパの明るく勇敢な娘でいるんだよ」の言葉にひかれて購入した。
我が子を助けるためにキンダートランスポートを利用し、子どもだけをドイツからイギリスに移住させること。親元を離れ、異国の地で見ず知らずの里親たちと暮らすこと。どちらの立場で考えてみても想像を絶するつらさだ。でも、それすら叶わなかった子どもや大人がたくさんたくさんいた。そのことを忘れてはならないし、決して他人事ではなく誰にでも起こりうることだという認識をもっていなければと思った。
また、物語としてもたいへんおもしろく、ドキドキワクワクしながら読むことができた。子どもたちにはもちろん、大人にもぜひ読んでもらいたい。
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詳細は、あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノートをご覧ください。
→ http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1980.html
心温まり勇気をもらえる素敵な本です。
最近の「ロシアのウクライナ侵攻」など、世界はちっとも良くなりません・・・。
巻末の文章にも考えさせられます。
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「敵も味方も同じ人間。家族を思う気持ちはみな同じ。戦争は残酷なものだ。」というメッセージがYA文学のお約束なのに、匿っていたドイツ兵が本当に残虐ナチスだったとは悪い意味で衝撃。
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戦争の悲惨さを伝えるだけではなく、ドキドキする展開でお話としてとても面白かった。
キンダートランスポートの幸運に恵まれてイギリスに渡れた子供たち1万人、そうなれなかった子供たち150万人。
列車に乗れた子供たちも、親御さんの想いや子供たちの心細さ、寂しさを想うと胸に迫るものがありました。
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キンダートランスポートとして死ぬ運命から逃れられたユダヤ人の少女アンナの物語。大好きな両親から離れてイギリスの里親のもとへ。無事にイギリスに着けるのか?いきなり預けられた赤子はどうなるのか?里親はいい人たちか?イギリスで迫害されないか?納屋で見つけたスパイとの攻防は?戦争ものであり自分の家に住めないつらさ、両親と引き離されるつらさ、戦争のおろかさに加えてこれらが気になりページを繰る手が止まらなかった。幸せになる努力をしたアンナ、それが一番両親への恩返しになっただろう…
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限りなく5。
キンダートランスポートは、初めて聞く。
英国で、国の事業では有る物の、実質は民間によって、ユダヤ人の子ども達を英国の里親へと紹介、養育するというプロジェクトだったそうだ。
孫息子が戦争についてのレポを書くため、祖母に尋ね、その昔語りを聞くという体。
アンナは、ドイツで、出版社の3代目の父のもと、裕福な家で何不自由なく育ったものの・・・
このプロジェクトでケント州の農家の家庭へ。
ベッドルームが2つしかない、決して豊かとは言えない家庭が、里親に名乗り出て、精一杯の愛情を注ぐ。
ついにドイツと英国も戦争状態になり・・・
そして戦局を左右しかねない大きな事件が・・・
というお話。
あとがきで、訳者も言っていたように、友情もの、成長ものであり、スパイものであり、ホロコーストものであるという、さまざまな要素がてんこ盛り。
それでも、ぜんぜん破綻していないのが素晴らしい。
一気読み確実。
アンナは孫がいるくらいなのだから、無事に曲面を乗り切ったことはわかっているのにねw
アンナの姿勢、とにかく命あることに感謝し、全力投球する姿勢は、シニアになった私も励まされる。
できることなら少女の頃に出会いたかったな。
著者は小学校の教師を務め、その中でキンダートランスポートの女性に出会い、着想を得たという。
フィクションながら、キンダートランスポートの当事者の手記などを使たとか。
英国へ向かう車内での出来事が、事実だということには、驚かされた。
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イギリスに住むダニエルは、学校の課題で第二次世界大戦のことを知っている人から話を聞くことになり、ドイツからの難民だったという祖母のアンナの体験を聞く。ユダヤ人の祖母アンナは、キンダートランスポートという救援活動でイギリスにやってくる。そして、イギリスのスパイ組織MI5と関係があったという。
イギリスの田舎町の里親のもとで、同じ年のモリーや弟のフランクとも仲良くなり、安心した暮らしをしていたが…
ドラマチックな人生ながら、アンナの両親との別れなど厳しいものだった。ドラマチック過ぎると言われれば、そうかもしれないが、良かったと思う。
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小学生新聞の書評欄で子が気になったもの。内容は難しくないけど、活字に親しんでなければちょっとしんどい分量。裏を返せば大人でも読み応えのある物語。世界大戦開戦直前のドイツから始まり、辛くもイギリスに避難出来た少女が主人公。でもその避難先では、敵国出身ってことによるすったもんだがあって、という風で進んでいくんだけど、同じ敷地内で負傷ドイツ兵と偶然遭遇したあたりから、グッとスリリングな展開に。フィクションならではのこのあたりの展開を楽しみました。
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#アンナの戦争
#ヘレンピーターズ
#尾崎愛子
#偕成社
#児童書
#読了
#キンダートランスポート
今年1番の児童書に出合ったかも。第二次世界大戦中、ユダヤ人の子供たちはナチの迫害から逃れるため、イギリスへ。そこで里親に保護されるのだ。12歳のアンナはその一人。絶望も希望もあったんだ。必読書!
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キンダートランスポートについては、以前読んだ児童書の登場人物を通して少しだけ知っていた。
本書では主人公のアンナが、キンダートランスポートによってドイツからイギリスへ渡り、
慣れない環境の中里親家族のもとで成長していく。
ドイツからイギリスへの列車の旅も決して安全なものではなかった。
親と別れ大きな不安を抱えながらも子ども同士年上の子が年下の子の面倒を見て支えあう姿に、戦争というものの残忍さを感じずにはいられない。
アンナは同級生の偏見や里親家族の姉弟とのぎくしゃくする関係など、辛いことも両親との約束を思い出し乗り越えていく。
村にナチスが潜伏していることを発見し、ドイツにいた頃のトラウマに苦しみながらも大きな役割を果たす。
戦争は、いつでも弱い立場の者が犠牲になる。
平和であれば経験する必要もなかった苦しみや憎しみに襲われる。
授業で味見読書をする機会があれば、ぜひリストに加えてほしい一冊だ。
夏休み前には戦争に関する本を薦めるようにしている。
2023
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実際に、この作品で描かれたような「冒険譚」を経験した少女がいたのかどうか、はわかりません。どちらかというと、
「YA文学」としてのエンタメ性を持たせるために創り出された物語なのかもしれません。
とはいえ、そのことは本書の魅力を減じるものではなく、ナチスの支配するドイツからイギリスへ亡命するためのキンダートランスポートに助けられる場面、イギリスにわたってからの疎開生活での苦労、両親への想い、次第にイギリスへと迫るナチスへの恐怖など、当時の少女が抱いたであろう心情がとても精緻に描かれています。
現実は救いがない結末となることも少なくありませんが、本書で語り手(アンナの孫)が「ぼくは、どうしてもパウルおじさんにハッピーエンドがほしかった。」と述懐する場面は、まさに読者の気持ちを代弁していると感じました。
この本の主人公、アンナはキンダートランスポートで命を救われましたが、実際には命を救われた子どもたちは1万人、一方でホロコーストの犠牲になった子供たちは150万人にも及ぶと言われています。両親の犠牲の上で生き残ったことに罪悪感を抱くアンナに叔父が語った言葉は、ホロコーストを生き延びたすべての人々に対するメッセージなのかもしれません。さらに広げて考えれば、戦争という行為やそれに付随する不幸の犠牲になったすべての方々への追悼とともに、今(=戦争の後に続く歴史)を生きる私たち全員が、心にとどめておくべき言葉であるかもしれません。
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「いつでもパパの明るく勇敢な娘でいなさい」「幸せになる努力を。人にやさしく。与えられた機会は最大限に生かすのよ」。この両親の言葉の重さに心がふるえる。
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児童文学の域を超えた衝撃的な物語。
若干10歳の少女の分かりやすく素直な言葉で
紡がれているからこそ、情景が鮮やかに浮かんだ&
抜けがちな観点が自然と血肉化された。
この種のテーマに関心のある人はぜひ!
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第2次世界大戦の児童書もたくさんあって、いろいろ読んだけれど、キンダートランスポートの話は初めて。
いい話で「こんなにうまくいかなよ」ってこともいっぱいあるけど、12歳の子の体験することとしては大変すぎて、二度とないように願わずにはいられない。
「なにが起きても、パパの明るく勇敢な娘でいるんだよ」
「幸せになるように努力しなさい。いつも人にやさしくね。あたえられた機会はすべて、最大限に生かすのよ」
2度と会えないかもしれない12歳の娘に最後に言った両親の言葉に打たれる。
キンダートランスポートで助かった子どもが1万人、命を失った子どもが150万人という事実は重い。
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高学年向け。
ドイツからキンダートランスポートでイギリスの家庭に送られる事になったユダヤ人少女の物語。
どんな過酷な環境であろうと、両親の言葉を胸に前を向き続けるアンナの姿に勇気付けられる。
後半、侵入したドイツ兵を相手に戦うなど冒険物要素もあり、戦争児童文学としても珍しい展開がある。