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信念を持って自分の人生を必死に生きたであろう「女性」たちの姿が、涙が出そうになるほど美しい。
男性作家が女性同士の関係をある種のロマン化して書いている?という箇所にはタイドラマの男性たちをシップしている身としてはちょっと、反省した方がいいのかもな…と考えさせられた。ちなみに男性だから女性を下に見ているだろうと先入観があるのもまた偏見だろうか。
動物たちとの暮らしについて書かれてるのも大変ためになった。
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「ふたり暮らしの「女性」史」要約(主要ポイント)
主題と視点: 本書は、家父長制や異性愛規範が根強い日本社会において、結婚や家族という伝統的な枠組みに収まらず、同性のパートナーと「ふたり暮らし」を選択した女性たちの歴史を、豊富な史料や証言に基づいて掘り起こす。歴史の中で語られてこなかった女性たちの多様な生き方や関係性に光を当て、現代にも通じる課題を問いかける。
導入と問題意識: 現代社会にも形を変えて残る家父長制や異性愛中心主義の現状を指摘。規範的な女性像を拒否した事業家・麻生イトを例に挙げ、著者が抱いた結婚や出産に対する違和感、同性間の共感といった個人的な経験も交えながら、忘れ去られた女性たちの足跡を辿る動機を語る。
帝国日本の飛行士たち: 女子スポーツ黎明期のスター選手・人見絹枝と、彼女を支え同居した藤村蝶の深い絆を探る。「心乃友」と呼ばれた女子学生間の親密な関係性や、世間の憶測、家族との確執などを背景に、単なる友情を超えた結びつきを示唆。また、馬淵てふ子と石井きよ子、前田あさの、木部シゲノら、男性中心の航空界で性差別に抗いながら夢を追った女性パイロットたちの連帯としての「ふたり暮らし」を描く。結婚によるキャリア断念や、ジェンダーに囚われない生き方も浮き彫りにする。
主従関係を超えた絆: 三重県治田鉱山の経営に情熱を注いだ五代藍子と、彼女に生涯仕えた徳本うめの関係性を考察。前近代的な主従関係から始まった二人が、長年「生涯の伴侶」とも言える深い信頼関係で結ばれていた可能性を探る。広岡浅子や五代友厚といった人物との関わりや、藍子の家族背景なども描かれる。
語り継がれる馬との絆: 岩手出身の女性馬丁・斎藤すみと、彼女を支えた芳江の物語。男性社会である競馬界で偏見に晒されながらも「馬は友達」として生きたすみの姿と、芳江との親密な関係を追う。寺山修司らによる評価やレズビアン視といった外部からの視線にも触れつつ、困難な時代を支え合った二人の関係性を考察。馬が「伴侶動物」としてすみにとって重要な存在であった点も描かれる。
現代へのメッセージ: 過去の女性たちの多様な「ふたり暮らし」を通して、結婚や血縁だけではない人間関係の豊かさ、困難な時代における連帯の重要性を示す。旧来の家制度や規範は形を変えて現代にも残り、自由な生き方を縛る。本書は、歴史に埋もれた女性たちの経験から学び、現代における多様な関係性を尊重し、肯定するための視座を提供する。
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経緯も関係性はもちろんそれぞれ違う5組のふたり暮らしをした女性たち。
ふたり暮らしを選んだ人たちのことだけでなく、歴史も学べてすごく興味深かった。終始誰かしらから浴びせられていたセクシストな発言が気持ち悪かった。残念だけど、伊藤さんも書いてるように、実態は現代もそんなに変わらない気もしてつらい。
同性愛的な親密な結びつきの要素もあれば、尊敬していたという要素もあったり、誰と暮らすかは自分で選んでいいし、それをどう呼ぶかも自分自身だ。だれと住むか絶讃ずっと悩み中のわたし、こう書くとまたうああと少しなる。
個人的には、人見絹枝さんと藤村蝶さんのお話が特に苦しくなった。短歌で残っている感情を想像すると苦しい。
最後の芳江さんが息子さんと一緒にすみさんのお墓に行けたという記述から考えることがたくさんあった。まず行けて良かった。芳江さんはすみさんにずっと会いたかったはずだから。息子さんには何と話したんだろう。わかってくれる息子さんだから一緒にお墓詣りに行ってくれたんだと信じる。
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「あるべき姿」から外れる他人を「異常」とみて排除するのは、雅英(きよ子)やてふ子のような人々を歴史の淵に押し込める。ふたりのような生活を見つめ直すことで、不合理を生み出す政治を暴き、「家族」の意味を少しでもずらしていくべきだろう。そして、それを体現したふたり暮らしはたしかにあった。それが事実で、歴史で、人が生きるということなのだから。
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セクシズムしんどいきもい。「やはり女だ」怒
「世の中が変わるのを待ってたら、間に合わないから」
競馬取材記者の吉永さん
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今も昔も、女性だからというだけで理不尽な思いをしなければいけないことがこの社会には多すぎる。
彼女たちを取り巻く環境と彼女たちを虐げた人たちには怒りが湧くけど、その反面、彼女たちが居場所と思える相手と出会って一緒に時間を過ごすことができていたことは微かな救いでもあるなと思った。