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往年のプロ野球を知る人には裏話を聞くようで面白いでしょう。
当時のプロ野球に触れていない人にとっては、昔はそうだったんだなぁと興味深く読めるのでしょうか。
今のトレーニングや常識は違う事を語っているかと思う。それを何を言っているんだとバッサリ行くのか、そういう事も有るのかなと思うのか。自分は草野球すらやらないので現役の人がどう思うのか興味があります。
それにしても、どの対談も面白く、一気に読んでしまった。
野球好きなら本書を手にとってみてはいかがでしょうか。
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BSフジで「プロ野球レジェン堂」という番組があるが、本書の対談内容はこの番組とよく似ている。
対談相手の名前を見て、この本は誰が読むのだろうか?と思ってしまった。
40歳くらいの人だと伝説の人ばかりなのではないでしょうか。
高齢者が喜びそうな内容です。
落合よりも年配の往年の名選手・名監督が対談相手なのだが、一人だけスタジオジブリの鈴木敏夫さんが混じっている。
プロ野球の裏話を聞きたいので鈴木敏夫さんは本書には馴染まなかった。
昔の話だからもう時効だろうと、これまで黙っていたことを実はこうだったとばらしているのが面白かった。
落合は聞き役で、あまり自分のことは話していないが、東洋大学の野球部を辞めたのは上級生の暴力のせいではなく、自身の怪我のためだと明かしていた。
プロ入りする前の学生時代の話題やドラフト・トレードの話も多くて楽しく読めた。
法政大学時代に山本浩二が投手で田淵とバッテリーを組んでいたことなど知らなかった。
何を考えて野球をしていたかを知れて良かった。
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伝説の舞台裏へ:落合博満が引き出すレジェンドたちの「こたえ」
本書『こたえあわせ 伝説の舞台裏 落合博満対談集』は、プロ野球界で選手・監督として不滅の実績を残した落合博満氏がホスト役となり、球史に名を刻むレジェンドたちや異分野の第一人者をゲストに迎え、その深層に迫る対談集です。YouTubeチャンネル「落合博満のオレ流チャンネル」での配信内容に加筆・修正・再構成を加え、一部書籍オリジナルの対談も収録。各ゲストの野球人生、勝負哲学、指導論、そしてこれまで語られることのなかった知られざるエピソードが、落合氏ならではの鋭い視点と洞察によって引き出され、読者は伝説の「こたえあわせ」を追体験することができます。落合氏自身の経験や野球観も随所に織り交ぜられ、対談相手との共感や意外な接点が浮き彫りになる点も本書の大きな魅力です。
田淵幸一:天性のアーチスト、ドラフト秘話と運命のトレード
第一章では、落合氏が「ただひとり認めるホームランバッター」と称する田淵幸一氏が登場。田淵氏は、学習院での草野球から法政大学を経てプロ入りするまでの意外な道のり、特に巨人入りを確信していたドラフトで阪神から1位指名された裏話を明かします。阪神時代、江夏豊氏の速球を受けるために手首を鍛えたことがホームランバッターとしての能力開花に繋がり、「右脚がエンジン、左脚は舵」という独自の打撃理論も披露。落合氏もその打球角度を「天性のもの」と絶賛します。1978年オフの西武ライオンズへの「電撃トレード」の真相や、移籍後に師事した廣岡達朗監督との出会いが野球人生に大きな影響を与えたことなど、豪快なイメージの裏にある繊細な一面や知られざる苦悩が語られます。
東尾修:「ケンカ投法」の真髄と落合博満との因縁解決
第二章には、”ケンカ投法”と称されたシュートを武器に通算251勝を挙げた東尾修氏が登場。箕島高校から西鉄ライオンズへドラフト1位で入団するもプロの壁に苦しみ、「黒い霧事件」による投手不足が期せずして飛躍のきっかけとなったこと、生き残るために恐怖心と戦いながらシュートを習得した経緯、そしてエース池永正明氏から受けた影響を語ります。稲尾和久監督からの鉄拳制裁といった衝撃的なエピソードも明かされ、その反骨心の原点が垣間見えます。長年、落合氏との間で語られてきた「頭部死球」と「ピッチャー返し」の因縁については、この対談でついに真相が明らかにされ、実際にはピッチャー返しが先にあり、その後の試合で頭部死球を与えてしまったという事実は、長年の誤解を解く貴重な証言となっています。
福本豊:世界の盗塁王、知られざる苦悩と「走り」の哲学
第三章では、通算1065盗塁という前人未到の記録を持つ「世界の盗塁王」福本豊氏が、その輝かしいキャリアの裏側と独自の野球観を披露します。中学時代は補欠、ドラフト7位で阪急ブレーブスに入団した当初はプロで通用するか疑問視されていたという意外な出発点から、浅井浄コーチとの出会いによって走塁技術が飛躍的に向上した経緯を明かします。盗塁は基本的にノーサインで、相手投手の牽制のクセをビデオで徹底的に研究し、鈴木啓示氏や東尾修氏ら名エースのク���を見抜いていたというエピソードは、その探究心と観察眼の鋭さを示しています。シーズン106盗塁を達成した年の知られざるプレッシャーや、国民栄誉賞を「国民の見本になれない」と辞退した真相についても語られ、謙虚な人柄が浮き彫りになります。
鈴木啓示:「草魂」エース、300勝の軌跡と西本幸雄監督との絆
第四章には、「草魂」の精神で戦後生まれ唯一の300勝投手となった鈴木啓示氏が登場し、その不屈の野球人生と独自の哲学に迫ります。育英高校時代の猛練習、近鉄バファローズ入団時に異例の背番号「1」を希望した強い意志、そしてノーコンに苦しんだ初期を支えた野村克也氏との出会いを語ります。近鉄の監督を務めた西本幸雄氏との関係は特に深く、厳しい叱咤や起用法が自身の反骨心に火をつけ成長を促したと感謝の念を述べ、300勝達成時に西本氏からかけられた激励の言葉は二人の絆を象徴しています。代名詞である「草魂」の由来や、走り込みの重要性を説く「走魂(そうこん)」の信条、そして指導者としての苦悩や現代野球への警鐘も語られます。
山本浩二:「ミスター赤ヘル」の栄光、衣笠祥雄との友情、そして強打者の系譜
第五章では、「ミスター赤ヘル」として広島東洋カープの黄金時代を築いた山本浩二氏が、その輝かしいキャリアと知られざるエピソードを語ります。法政大学時代に田淵幸一氏らと共に「法政三羽烏」と呼ばれ、厳しい練習に明け暮れた日々がプロ野球人生の礎となったこと、広島カープ伝統の猛練習の始まり、そして衣笠祥雄氏とは当初ライバル関係だったものがリーグ初優勝を機に深い友情で結ばれた感動秘話を明かします。1975年のオールスターゲームでの衣笠氏との2打席連続ホームランが「赤ヘル旋風」の起点となり、チームを初優勝に導いたエピソードや、山内一弘氏からインサイド打ちの極意を学んだ経験、落合氏の打撃技術への高い評価など、強打者ならではの打撃論も展開されます。
鈴木敏夫:ジブリの巨匠が明かす「ナウシカ」誕生秘話と創造の流儀
最終第六章には、異色のゲストとしてスタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫氏が登場。慶應義塾大学卒業後、徳間書店に入社し『週刊アサヒ芸能』で刺激的な編集者生活を送った後、アニメーション雑誌『アニメージュ』の創刊に携わり、宮崎駿・高畑勲という二人の巨匠と運命的な出会いを果たします。当初は一筋縄ではいかなかった両監督との関係構築、そして映画『風の谷のナウシカ』誕生の驚くべき舞台裏(宮崎監督への漫画連載提案、映画化決定に至る破天荒な経緯など)が、鈴木氏ならではの軽妙な語り口で明かされます。野球とは異なる世界のトッププロフェッショナルの生き様や創造の秘密に触れることができるこの対談は、野球ファンのみならず、多くの読者に示唆と感動を与える内容となっています。