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『……メディア史』ですから歴史になりますよね。AIはまだその途上。歴史にはなっていない。歴史を作っている最中。100年後の同名タイトルの本を読んでみたい。
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書くことのメディア史:AIは人間の言語能力に何をもたらすのか
人間が書いたものと区別がつかないほど高まったAIの文章生成能力
プログラムが簡単に嘘をつく「ハルシネーション」現象
データに起因するバイアス(採用評価の「本棚バイアス」など)
ゴミを入力すればゴミが出力される(Garbage in, Garbage out):AIの基本問題
人間は真正性を好むという点
口承文化から文字文化への移行の始まり(古代ギリシャ)
文字を読む能力は、既存の神経構造を再利用することで獲得される
修辞学・弁論術から英作文へ:19世紀アメリカ大学教育の変化
自動採点の開発とその妥当性をめぐる問題
コンピュータ生成物の著作権問題と「職務著作物」という回避策
もし機械が書くことができるならば:言語マシンの夢
タンパク質構造のAIによる解読は「革新的」
ニューラルネットワークとディープラーニングの浸透
機械翻訳を暗号化された文章を解読する問題として捉える発想
機械翻訳における言語の曖昧性やジェンダーバイアスの課題
機械翻訳ツールの普及が人間の言語学習へ与える影響
人間の翻訳者は機械翻訳の「ポストエディット」を担う機会が増加
実務翻訳は単なる言語変換ではなく「ローカリゼーション」を含む
ポストエディットが好まれない背景:ルーチン化して退屈な作業?
機械が「著者」になる時代の到来
AIによる記事作成の進展と人間のジャーナリスト雇用の大幅減少
法律分野でも弁護士がAI文書の「ポストエディター」になる可能性
AIが生成した文章と「盗用(Plagiarism)」の問題
従来の盗用検出ソフトウェアでは検出困難なAI生成文章
「ヒューマンズ・イン・ザ・ループ」(人間が関与するAI)というアプローチ
AIは綴り・文法チェックなど個人的な「従者」(ジーヴズ)として機能
AIツールへの依存が人間の能力を損なうのではないかという懸念
AIの創造性:それは「効果的な驚き」を生み出せるか
創造性には革新性(新規性)だけでなく「価値」が必要
混乱したまま知識に頼らずにいられる寛容さ(創造性にとって重要)
AIが作曲した音楽(EMI)が、懐疑的だった研究者の考えを改めさせた
ベートーヴェンの未完の交響曲をAIがスケッチを元に完成させたプロジェクト
創造主が人間かAIか、人々は判断できるか、あるいは気にするか?
手書きとキーボード入力の対比:それぞれの特徴と影響
きれいな文字はその人の性格を表す心の窓(スペンサー式、パーマー式)
手書き練習は、正確な綴り能力や作文能力と相関がある
書くことは身体的な行為:長年の手書きによる指の「ペンだこ」
書くこと:自分の頭の中で起きていることを把握するための内向きの方法
「私が書くのは、読んでみるまで自分が何を考えているか分からないから」(フラナリー・オコナー)
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AIに文章を書かせることが身近になった。おそらくこのレビューもCopilotに指示すれば、書いてくれるかもしれない。
このような「書く」という行為を、全面的にAIに委ねてよいか。本書の問題意識はここにあると思う。
本書の序章では、「AIが自ら書いている内容を理会していようがいまいが、私たちはAIの書く能力を品定めし、AIが人間に投げかける課題を把握しておかなければならない。」(40p)とある。
書くことの歴史を辿りながら、この課題を追求する。邦訳のタイトルよりも、原著の”Who Wrote This? How AI and Lure of Efficiency Threaten Human Writing”の方が、内容的にはピンとくる。
AIが書く時代、その創造性にも一定の評価を下しつつ、それでも、なおかつ、人間とAIの共生を説き、“Humans in the Loop”を構想し、「AIの利点と自分で書くべきだと感じる分野のバランスをとることが大事」とする(424p)立場には、異論はないだろう。
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副題の「AIは人間の言語能力に何をもたらすか」に惹かれて手に取ってはみたのですが、序章、第1章、終章しか読めませんでした。博覧強記、寄せ集めという感じを受けてしまいましたので。
但し、著者の問題意識は明示されています。書くことによって考えを明確化し、感情を表現し、それを他者と共有して、新しく世界を見る方法をつくり出す、AIの言語能力はそうした書く行為によってもたらされる認識展開への警鐘である、というものです。
自分だったらどう書くのか。宿題をもらったような気になりました。