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68件
かがみの孤城
著者 辻村深月
学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。 輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。 そこにはちょうど“こころ”と似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。 すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。
かがみの孤城
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2018/01/21 23:37
名作!
21人中、20人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「言えない。だけど助けてほしい・・生きにくさを感じるすべての人に贈る辻村深月の最新刊。涙が止まらない、感動溢れる一冊です!」と商品紹介にあるように、きめ細やかな愛情をもって描かれたこの小説には癒しと勇気づける力が溢れています。
主人公・こころおよび主要人物たちが中学生なので、最初は感情移入がどれほどできるかちょっと疑問だったのですが、あっという間にストーリーに引き込まれました。
この不思議な城は何なのか、なぜこの7人が選ばれたのか、本当に鍵があって願い事が叶うのか。という謎解きの枠組みの中で、7人それぞれの事情が徐々に明かされて行きます。
たとえば、こころが「心の教室」とかいう不登校の子供たちのためのスクールに通い、そこの仲間たちとだんだん親しくなって、また理解のあるスクールの先生に癒され、母親の理解と援護を得ながら立ち直っていくという筋書きでも十分ドラマは成立すると思うのですが、それはリアルである一方、もしかしたら平凡で味気なかったかもしれません。けれど、こころはそのスクールにすら足がすくんで行けなかったのです。
そこに「鏡の城」というファンタジーの異空間を最後の逃げ場のように出現させ、そこに集められたの子たちの意外な繋がりが(最後に)明かされる仕掛けが加えられることで、こころの成長物語にぐっと面白味が増しているように思います。
その構成力の秀逸さもさることながら、言葉の通じない同級生や無理解な担任の先生等から受けるこころの衝撃や恐怖や憤懣がきめ細やかな愛情をもって描写されているところも素晴らしいです。是非とも「生きにくい」と感じている人ばかりでなく、10代の子供を持つ親御さんたちや学校の先生や学校教育にかかわるすべての大人たちに読んでもらいたい一冊ですね。そのメッセージが果たして通じるのか、やっぱりかなり疑問ではあるのですが。
かがみの孤城
2017/12/13 16:07
恩人
11人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かぐや - この投稿者のレビュー一覧を見る
ああ、また救われてしまった。
辻村さんは、この本の子供たちだけでなく読者までをも助ける力を持っているんだな、と。
まさに心が震える小説でした。
私はいじめにはあっていませんでしたが、体調不良をなかなか理解してもらえない時期があったので、気づいたらその時を重ねて読んでいました。当時の自分を迎えにきてくれた、と本当に本当に救われたと思います。
辻村さんにはたくさん助けられたので、心から"恩人"だと、そう思います。
最後の勢いがすごかったです。からだじゅうがビリビリしました!
かがみの孤城
2018/05/08 22:02
「この本が皆さんの鏡になって欲しい」 2018年本屋大賞『かがみの孤城』 著者・辻村深月さんが込めた想い
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
不登校やいじめといった言葉を意識的に使わず、少年少女の内面を描き出した改心の一作。子どもの頃、かがみは光らなかったけど、ぼくの傍らにもいつも本があった。本の世界にいつも助けられたのを思い出した。この物語を必要としている誰かに、どうか届きますように。