THE ARK 失われたノアの方舟
著者 ボイド・モリソン(著) , 阿部清美(翻訳)
考古学者ディララ・ケナーは、旧友のサムから連絡を受け、彼女の行方不明の父親に関する重大な情報を得たと告げられる。発掘現場を早々に引き上げた彼女は、サムと会うべくロサンゼルスに舞い戻った。しかし、ロスの空港で彼が口にしたのは、父自身のことではなく、父がライフワークとして長年探し求めてきた〈ノアの方舟〉と、それによって莫大な数の人間が死ぬ可能性があるという衝撃の事実だった。そして、タイラー・ロックを捜せと言い残して息絶えてしまう。ディララは、元陸軍兵だったタイラーの居場所を突き止め、協力を求める。〈ノアの方舟〉の謎とは? そして、人類の文明を壊滅させようと企む、カルト集団の計画とは? 真相に近づきはじめた2人に残された時間は、たったの7日だった……。 旧約聖書の偉大なミステリー〈ノアの方舟〉伝説に隠された謎を、大胆かつ戦慄する解釈でスピーディーに描き切ったミステリー・アクション・スリラーの傑作!
THE ARK 失われたノアの方舟 下
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THE ARK失われたノアの方舟 下
2017/05/23 23:41
早い展開の活劇の設定が巧み
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
早い展開の活劇に次ぐ活劇に大満足。「ノアの方舟」伝説を大胆に解釈し直した筋書も、プリオンを生物テロ兵器とすることで何となく説得力を生み出している。「ノアの方舟」に行き着く謎解きや、テロ兵器としてのプリオン“アルコンA・B・C”に関するふくらみがもう少し欲しい気もする。早い展開の活劇の設定が巧み。
<下巻>
事件にウルリックが関係しており、40日間のクルーズに出発する8000人が乗る超巨大豪華クルーズ船に何かを仕掛けると睨んだタイラーとディララ・ケナーは、ウルリックと直接対決するためにクルーズ船に行く。タイラーはウルリックが計画の主謀者であることに確信を持ち、ディララはウルリックの愛人:スヴェトラーナ・ペトロワがサム・ワトソンを毒殺した犯人であることを確認するが、その直後ディララはウルリックに拉致されてしまう。タイラーたちは無事クルーズ船から“アルコンB”と“アルコンC”を回収、ウルリックの地下シェルター“オアシス”がワシントン州オーカス島に有ることを突き止めデルタフォースとともに襲撃をかける。一方、シャーマン・ロック空軍少将(タイラーの父)は、“アルコンC”の危険性を重視し、巨大地中貫通爆弾により地下シェルター“オアシス”ごと消し去る計画を進める。激戦の末に間一髪で“アルコンC”の無力化に成功するが、ウルリック組は地下通路から小型潜水艦で逃亡してしまう。
第5部「ノアの方舟」は、ノアの方舟に残るプリオンの原型“アルコンA”の争奪戦である。ディララの父が残した手掛かりの謎解きでタイラー組が先行するが、運悪くウルリック組に見つかり尾行される羽目に。尾行・監視されているとは知らないタイラー組は、“ノアの方舟”が舟ではなく洞窟であり、洪水は疫病だったことを突き止め、アララト山中腹の洞窟を目指す。遂に溶岩洞窟の中に木造3層で作られた“ノアの方舟”を発見、“アルコンA”の回収にも成功するが、待ち伏せていたウルリック組の奇襲を受け窮地にたたされるが、激戦の末目出度し目出度しで終了でした。
THE ARK失われたノアの方舟 上
2017/05/23 23:39
早い展開の活劇に次ぐ活劇に大満足
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
早い展開の活劇に次ぐ活劇に大満足。「ノアの方舟」伝説を大胆に解釈し直した筋書も、プリオンを生物テロ兵器とすることで何となく説得力を生み出している。「ノアの方舟」に行き着く謎解きや、テロ兵器としてのプリオン“アルコンA・B・C”に関するふくらみがもう少し欲しい気もする。早い展開の活劇の設定が巧み。
<上巻>
重要なことを伝えたいという父:ハサド・アーヴァディの友人:サム・ワトソンに会いに行った生物考古学者:ディララ・ケナーの眼前でサムが毒殺される。サムが残した言葉(上:P-25)を手掛かりに、ゴルディアン社主任技師:タイラー・ロックに会いに行ったディララのヘリは何者かによって墜落させられ、更にタイラーのいる石油掘削基地も爆破されかかる。一方、人気映画俳優を乗せてカリフォルニアを飛び立った自家用ジェット機内で何かの毒物が拡散されて乗員全員が消えてしまう。冒頭から早い展開。危機を脱したタイラーとディララは「ノアの方舟」に関わる謎を解くためアメリカ本土へ向かう。墜落した自家用ジェット機の現場では、乗員の遺体は一切無く白骨だけが回収される。ここで使われた物質が、ウルリック製薬会社会長:セバスチャン・ウルリックが人類抹殺計画の為に開発されたプリオン“アルコンB”という物質であることが明かされる。第1部の末で最大の謎を明確にするとは、この後の展開の妙に余程の自身があると見た。早い展開の活劇が続くが、圧巻は超巨大ダンプカーとの闘い。車高8m、長さ15m、タイヤ直径4m(実在車両で、キャタピラー797Fや、コマツ930Eなどがモデルらしい)という動く要塞といった感じの車両との戦いである。映画にピッタリです。そして、上巻末=第2部末で、ウルリックの人類抹殺計画は、即効性の“アルコンB”を一定期間潜伏して他の人間に感染させてから発症するタイプに変えた“アルコンC”を、8000人が乗る超巨大豪華クルーズ船で散布して、その8000人をを通じて世界に拡散させるというものだと明かされる。本題を隠して謎めいた形で読者を引っ張るのではなく、計画をどんどん明らかにすることで危機感、緊迫感を煽っていく展開に誘導されてます。