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2022/12/23 10:35
さすが芥川龍之介
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちゅむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川龍之介が「桃太郎」を書いているとたまたま知り、短編だったので読んでみました。鬼の目線から物語が描かれていて、なんだか悲しく辛い気持ちになりました。本当に悪いのは人間なんじゃないかと思い、小さい頃に読み聞かされ信じて疑わなかったむかしばなし「桃太郎」について考え直すきっかけになりました。
2024/05/26 23:31
☆芥川の手により視点を変えてみれば・・・☆
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ACE - この投稿者のレビュー一覧を見る
代表的な日本昔話も、芥川の手により視点を変えてみれば・・・
鬼にとっては、享楽的な生活を送っていた日々を突然切り裂く桃太郎(人間)は、何ともおぞましい存在である。
2017/05/19 23:22
日本人本質論。物語としてはサイテーだが、芥川の観察眼に瞠目する。
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
書かれたのが大正十三年ですから、当時の世相と照らすと、
日韓併合を経て第一次世界大戦に参戦し、ドイツが権益を
持っていた中国山東省と南洋諸島を攻めたことが
底辺にあるのでしょう。
鬼が島のヤシの実の描写は、そんな背景を混ぜこんでいるように
思います。
> 強烈な反戦童話
このキーワードでするりと読めました。
昔のことですが、桃太郎やさるかに合戦には裏の意味があって、
時の権力者に対する反骨心の現れという解釈を聞いたことが
あります。どうやら芥川の物語のことだったようです。
さて大事なことは、物語を読んで何を感じるかということです。
悩んだので二度読みしてしまいました。
結局のところ、皮肉とあてこすりしか読み取れませんでした。
天地開びゃくの頃から存在する巨大な桃の木があります。
桃の木は天界、人間界、黄泉の国にまたがっています。
神の使いであるヤタ鴉が桃の実を一つ落とし、谷川に流れでる
ことから運命が回り始めます。
暗に神の子と書いてあるのに等しいです。
そして鬼が島での鬼たちの会話が直接的です。
人間というものを徹底的にこき下ろしています。
選民思想に固まった、神の子たちなどと標榜する人々を、
ごく自然な視点で書き表わしています。
神の子の桃太郎は渇望感をあおり、人間ですらない部下の
犬猿雉に略奪と凌辱の限りを尽くさせます。
そこには人間性の欠片もないのです。
暴徒と化した職業軍人の狂気なのであります。
じゃあこの物語の人間、つまり日本国民はどこにいるのでしょうか。
おじいさんとおばあさんですね。
神の子の桃太郎を、それこそ臭いものに蓋をするがごとく、
本人をおだてて自らの身から遠ざける。
これは反戦の物語ですが、自分のエゴにまみれた日本の
島国根性をぶっすりと刺してもいるのです。
戦争の時はお金を米軍に払い、自らは後方支援のみ。
えげつないくらい現代の日本国にも当てはまると読むのは、
うがった見かたすぎますかね。
戦争の大義なんて信じていませんが、ほっかむりするのも
同じぐらい罪ではないかと思うのです。
ところで、これって桃太郎の書評なんですけど、
どうなっているのやら。