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2件
シュガーダーク 埋められた闇と少女
著者 新井円侍
第14回スニーカー大賞《大賞》受賞!! えん罪により逮捕された少年ムオルは、人里離れた共同霊園に送られ墓穴を掘る毎日を送っていた。そんなある夜、自らを墓守りと名乗る少女メリアと出逢う。彼女に惹かれていくムオル。だが謎の子供カラスから、ムオルが掘っている墓穴は、人類の天敵・死なずの怪物“ザ・ダーク”を埋葬するものだと聞かされる! 混乱するムオルは、さらにダークに殺されるメリアを目撃してしまい――!?
シュガーダーク 埋められた闇と少女
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シュガーダーク 埋められた闇と少女
2009/12/09 16:11
いろいろな意味で残念な作品
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にい - この投稿者のレビュー一覧を見る
ひたすら墓穴を掘るだけの話でこれだけ読ませる力があるのは大したもの
しかし、主人公が学のない元歩兵という割りに文章が硬く気取っており釣り合わない
中盤まではダークファンタジーの殻をかぶったボーイミーツガールとして進むが、そこから何の理由もなく急激に主人公が変質していく
中盤で一度、主人公の心の変化を促すキーとなる展開を挟んでほしかった
終盤はクライマックスを避け飛ばし、いきなりラストシーンに突入
置いてけぼりを食らって意味不明に陥る
主人公の独りよがりでヒロインと絡まず、もとから影の薄かったヒロインは空気と化す
ミステリー的に伏線をつなげるわけでもなく、恋愛ものとして盛り上げるわけでも、異能バトルが始まるわけでもない
孤島脱出モノに一番近いのだろうが、主人公一人きりという世界なので協力も裏切りもありえない
もっと、ヒロインやサブキャラである爺さん婆さん犬を使いこなさないと盛り上がらないし、纏まらないでしょう
シュガーダーク 埋められた闇と少女
2009/12/06 00:14
暗い墓地の中にあっても明るい希望を失わない話
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
上官殺しの罪を着せられ、ムオル・リードという生来の名前を奪われた囚人五七七二号の少年は、世間から隔絶された共同墓地に連行される。そこで彼が科せられた労役は、墓穴掘り。しかしその穴は、人の死体を埋めるにはあまりにも大きい。
この場所に連れられてきてから三日目。脱走を試みるために真夜中の墓地を探索していたムオルは、濃紺のフードを被った美しい少女に遭遇する。メリア・マス・グレイブと名乗った少女との出会いは、彼にザ・ダークという怪物がこの世に存在することを理解させるのだった。
舞台は共同墓地の敷地内、主人公の昼のお仕事は墓穴掘り、と並べると地味な印象はぬぐえないが、それを補うのは、外の世界のことを何も知らないメリアとの交流や、カラスと名乗るおしゃべりな事情通の存在、そしてスコップやヘルメットなどの地味な道具へのムオルの愛着などの描写だろう。
舞台や状況を考えれば落ち込んだ雰囲気になるのが自然だが、彼が生き続ける活力にあふれているため、不思議と明るい雰囲気になっている。希望を失わないというか、周囲の状況を自分にとってより良いものにしようという努力を絶やさないのだ。
人は生きていれば充ち足りないことも多くある。無知により不利益をこうむることもある。自然災害や病気で理不尽に命を奪われることもある。でも、充ち足りない中でも選択する自由はあるし、知らないことは知る努力をすればよい。そして困難を乗り越える工夫をすることで、人は繁栄を享受してきた。
それは、ムオルとメリアが住む世界でも同じであろう。
これはこれで完結してもきれいだと思うけれど、どうやら続巻が出版される模様。明かされ切っていない部分はたくさんあるので、二人の今後の展開もあわせて、楽しみに待ちたい。