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6件
NHKにようこそ!
著者 著者:滝本 竜彦 , カバーイラスト:安倍 吉俊
ひきこもりの大ベテラン佐藤は気づいてしまった。人々をひきこもりの道へと誘惑する巨大組織の陰謀を!――といってどうすることもなく過ごす佐藤の前に現れた美少女・岬。彼女は天使なのか、それとも……。
コミック化、アニメ化され大ヒットとなった伝説の青春小説! 電子版特典としてコミック版第1話を収録!
NHKにようこそ!
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NHKにようこそ!
2019/11/02 11:39
前半はいかにもラノベなだけだが
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラノベの文章はなぜに独善的で言い訳がましく、恥ずかしい文体なのだろうか。主人公の独白が読みづらいのはなぜなのだろう。さらに主人公には自動的にフラグが立ち、また偶然が物語の必然であるのもラノベだ。前半部分では、途中読むのをやめようかとも思ってしまう。
しかし、メンヘラの岬も主人公佐藤に絡もうとしていた理由もはっきりしてきて(自分よりも格下の存在を欲していた)、そこからお別れをしようとする展開などは評価できる。
NHKにようこそ!
2016/12/23 11:09
最強のひきこもり
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰もいない部屋の中で、ビンセント・ギャロの物まねをするシーンがよかった。物語の終わりとともに、新たな始まりが感じられた。
NHKにようこそ!
2008/03/31 07:50
かっこわるいことはなんてかっこいいんだろう。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずいぶん昔に「なぜ人を殺してはいけないか」、先輩、後輩と話していた。彼らはこういった。「他人を殺すということは、自らも殺される可能性を認めるということだ。だから人を殺してはいけない」と。その時、即座に頭に浮かんだのは彼らが自死を考えていないということだった。彼らの論理には「人は自分だけは生きていたいと思うものである」という前提がある。しかし、「自分だけ消えてしまいたい」あるいは「いっそ自分ごと」という思いに直面する、したことのある人間というのも存在する。現にここに。
セカイ系とくくられがちな本書であるが、あえて「ダサイ(太宰治)直系」(大槻ケンヂ氏経由)としたい。とにかくかっこわるくて切実で、なさけなくて真剣で。かっこいい。
本書は社会の中での、自分の存在意義を見失い、引きこもる一青年と、彼を救うことに、自分自身の癒しの可能性を求める一少女のラブストーリーである。
NHK(日本放送協会)は彼に大きな影響を与えたのだろう。『お笑いオンステージ』、『サウンドストリート』、『YOU』、『トップランナー』、『未来少年コナン』、『ふしぎの海のナディア』、『ふたつのスピカ』。実は地上波TVでも、ラジオでも、伝統的に一番優良かつ前衛的なサブカルチャーのプログラムを提供してきてくれたのはNHKである。『バロックの森』、『邦楽のひととき』、『能楽鑑賞』、『ラジオ深夜便』、『ためしてガッテン』など年配者向けもずば抜けてよい。
そして、現在のお笑いをあの『爆笑オンエアバトル』抜きで語れるだろうか?四角い仁鶴がまあるくまとめる『生活笑百科』なしに現在の大阪府知事は存在しただろうか?
しかし、NHKはただの
「語呂合わせなんだ。自分を苦しめている仮想敵。それがNHKの本質だ」。(本書p.303より)
「あの先輩の場合なら、それは「日本ひ弱協会」を意味する」(同上)
「岬ちゃんの場合なら、NHKは「日本悲観協会」を意味している」(同上)
そして彼と彼女は。NHK(日本人質交換会)を結成する。
趣旨書には「あんたが死んだら俺も死ぬぞコラ!」とある。(本書p.320)
傷つけられたから、傷つけよう、傷つけてもいいのだという思いにとりつかれそうな、とりつかれたことのある方に。是非。
「君、思い違いしちゃいけない。」(『パンドラの匣(はこ)』新潮文庫、p195より)