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11件
GOTH
著者 著者:乙一
連続殺人犯の日記帳を拾った森野夜は、次の休日に未発見の死体を見物に行こうと「僕」を誘う…。人間の残酷な面を覗きたがる者〈GOTH〉を描き本格ミステリ大賞に輝いた乙一の出世作。「夜」を巡る短篇3作を収録
「GOTH」シリーズ
シリーズ1冊目:「GOTH 夜の章」
シリーズ2冊目:「GOTH 僕の章」
シリーズ3冊目:「GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻」
※「GOTH 夜の章」と「GOTH 僕の章」は、「GOTH リストカット事件」を改題した書籍です
※「GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻」は、「GOTH モリノヨル」を改題した書籍です
GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻
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GOTH 夜の章
2007/09/24 10:38
なかなか……
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぶにゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつのことだったか、珍しい名前だなと、本屋でぱらぱらと乙一の本をめくったことがある。題名はおぼえていない。その時はさほど興味を感ずることなく本を棚に戻した。数年経って、この珍しい名前を持つ作家の文庫本が本屋の棚に目立つようになり、現在若者を中心に人気のある作家だということがわかってきた。
僕はスプラッタは嫌いである。牛タンのスモークは好きだし、以前は好んでレバ刺を食べていたが、それらは決して「舌」ではなく「肝臓」でもなく、それらを調理したあくまでも「食物」なのである。映画や小説に描写されるスプラッタ場面から食物としての臓器を連想するのは難しい。
スプラッタがダメなら乙一の「GOTH」は読まないほうがイイよ、と親切にも忠告してくれたのは高二の娘である。「わたしは平気だけど……」。どうやら乙一の作品には黒いのと白いのがあり、この「GOTH」はきわめつけ黒いらしい。
では読んでみよう、と天邪鬼な僕は二分冊の文庫本を買ってきた。つまらなければやめればいい。内臓ばかり飛び散らかすものだから、干涸らびた残骸のような中身のないホラーが生まれる。そんな小説なら読む必要はないだろう。
ということで、読み始めた。やはり、のっけから、解体新書である。殺人鬼にえぐり取られた目や耳が……。しかし、なぜか、そんなに気持ち悪くない。いや、なかなか、どうして、大変ていねいに書かれた文章である。六編の連作短編集。ミステリーだと作者が断っているわりには少し偶然に頼りすぎているところもあるが、それでもなお、読む者を惹き付けて離さない何かがある。この「何か」が大事なところであって、きっと若い読者は若者なりに「何か」を感じ取っているのだろうと思う。
そういえば、夢野久作の「ドグラ・マグラ」や、中井英夫の「幻想博物館」をはじめとする一連の作品群を読み始めたのは高校時代だった。もう30年以上も昔のことであるが、現在の高校生はこういう書物を読むのだろうか。「GOTH」の世界は、かつて愛読した彼らの織りなす妖しい世界と共通するものがある。乙一のこの作品は、決して底の浅いスプラッタでもなければグロテスク小説でもない。たとえば「土」などは究極の純愛小説とも読めるではないか。
ひょっとしたらこの作家、いつしか坂口安吾の凄絶な傑作「夜長姫と耳男」に匹敵する物語を書き上げるかも知れない。
その時が来たら、また読んでみようと思う。
GOTH 番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻
2022/08/26 21:14
番外篇という不気味さ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:JUN - この投稿者のレビュー一覧を見る
本編を読んでからずいぶん経った。
内容なんてほとんど覚えてないが
久し振りにGOTHを開いた途端
ぞっとする奇妙さとともに
そうだ、これだ!これがGOTHの世界だ!と
思い出した。
森野は写真を~となっているが、
今回は犯人のモノローグが主文。
それで主役が森野夜。
7年前の事件現場で2人が会い離れるまでの
ほの暗さを体感して頂きたい
GOTH 僕の章
2013/08/15 16:59
夜と僕
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まゆげ - この投稿者のレビュー一覧を見る
夜の章を読了後、辛抱たまらず続編?を読み進めました。
作者に騙されまいと思いながら、またもや騙される。
悔しいけど、清々しい。
読み続けるうちに、深層心理の記憶を呼び覚ましてくれたり、不思議な感覚世界に入ってしまいます。
ジャンルは、乙一ワールドと名づけたいくらい。