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立ち向かう者たち
著者 東直己 (著)
娘が被害者となった傷害事件の裁判。証人として法廷に立つ父親は、いつしか加害者の男性に肩入れしている自分に気づく。(「立ち向かう者」)卑猥語(ひわいご)の連発に絡(から)み酒。最近、酔い方が酷(ひど)くなった地方局の人気アナウンサーは、内心に鬱屈(うっくつ)を抱えていた。人生の曲がり角で思い切った決断をする彼だったが……。(「悪酔い男」)ほか、人生の断片を鮮やかに切り取った傑作全七編を収録。
立ち向かう者たち
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立ち向かう者たち
2017/08/03 12:06
エンタメじゃないけれど味わいがあってよかった
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
東直己氏の全7編からなる短編集です。
「立ち向かう者たち」
これは不思議な展開を見せる物語ですが、途中から徐々にですが強烈な作者から問いかけがあり、自分はどうなんだろう?自分はどんな態度や行動ととっているだろうかと真剣に自分に向き合わされる作品でした。
「作り話し」
人の親になったことのない私ですが、主人公の考えが凄くよくわかる作品でした。
「悪酔い男」
この主人公の気持ちも残念ではありますがよくわかる。
「自分はもっと出来るはずだ」「今の状態は不運のせいだ」みたいな気持ちや感覚は若い時も当然ありましたが、社会人としての終わりが見えてきた頃により感じるものではないかな。納得しないといけないと頭ではわかっていても、不器用に足掻く気持ちを抑えらないのが人かもしれませんね。
「重り」
「いじめ」を扱った作品。人の心の危うさが上手に描かれていました。
「疑惑」「責任」
2作品で対になっています。ある意味この作品集の中で一番サスペンス要素があり、実際に身の回りで起きていても不思議とは言えないことで、おどろおどろしい怖い作品でした。
「ケンシの人」
小学校2年生の男の子「大樹」の物語。
私も主人公に負けないぐらいの「怖がり」なので凄く思い入れしてしまいました。
全体を通して男という生き物の愚かさが描かれていますが、それをまた許容して笑ってくれている作者の目が感じられた良い一冊でした。