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もじゃもじゃ
著者 渡辺淳子
明美は結婚相談所から、年下の浩二を紹介された。クリーニング店に勤める24歳、ユニークな髪型の小太り男だ。これまで付き合った人と違うタイプの浩二が気になる明美だが、交際を始めることに大いに悩む。もっと他にいい人がいるのでは? 無料の市営結婚相談所を舞台に、人生を切り開こうと奮闘する男女の姿を温かく描く、第3回小説宝石新人賞受賞作を収録。
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もじゃもじゃ
2015/09/10 10:17
こういうことって現実にありそう、と思わせる作品
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
市がやる婚活相談所という発想がおもしろいのと、ひとつの話ですっぱり終わるのではなく微妙に三話が繋がっていく構成がいい。一話目の女性ともじゃもじゃの男があっさりくっつくのかと思いきや、結局それは直截的には描かれず、最後の話で相談所のメンバーの噂話でそれらしいとわかる程度。そういう、間接的な描き方というのは直接的に書くより効果的なことが時にある。
視点が変わるので、男性が女性に対して推測していることが全然女性の実体とちがっていたりもする。でも、そういう齟齬があったり、その上でつきあいが何となく流れでそうなっていくというのは現実でもよくあることで、案外それでうまくいくこともある。この小説のよさは、そういう現実の持つ可能性を浮かび上がらせていることだと思う。