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5件
冬姫
著者 葉室 麟
織田信長の二女、冬。その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な〈女いくさ〉を仕掛けあう。その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、乱世を生き抜いてゆく。自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。
冬姫
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冬姫
2014/11/22 14:45
信長ファン必読
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぶっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ありえそうなストーリー。
信長ファンとして、まかまか楽しめた一冊。
冬姫
2021/02/02 15:41
数々の「女いくさ」に健気に立ち向かった“運命の姫君”
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
遅咲きの作家 葉室麟の作品を選集掲載分を除けば私は単独で読んだことがなかったが、独特の美学、美意識を湛えた筆致で巧みに時代小説を紡ぐ名手との評判はかねて耳にしていた。
没後三年を経た今、もっと早く作品に親しんでおけば良かったと後悔している。
本作では、織田信長の娘で蒲生忠三郎氏郷の妻という戦国の世に運命的な生を享けた冬姫が関わり合う登場人物と紡ぐ章毎のエピソードが秀逸で、人物像とともに静謐な中にも躍動感ある各人各様の「女いくさ」が活写される。
読者をあっと言わせる仕掛けも豊富で、作者の筆遣いは融通無碍の境地を自在に駆けめぐる。戦国武将たる乱世の英雄たちに加え、繊細優美な女人たちの強(したた)かさが雄渾に描かれ、歴史という名のキャンバスに鮮やかに息づく。
信長の倅(せがれ)たちは揃いも揃って誰一人身代を継げずに終わった不肖のたわけどもだが、娘たちは才色兼備の優れた姫君だったようだ。
とりわけ主人公の冬姫には、叔母にあたるお市の方とその娘の茶々(のちの淀君)や同郷人ながらも愛憎相反する立場の細川ガラシャ(たま)との対比で、父信長の面影が色濃く投影される。
亡き父信長の果たせぬ夢(泰平の実現)を継承し、蒲生家の女として世を生き延びる智慧を発揮することが、冬姫の名前に相応しい峻厳苛烈な<冬>をやり過ごし、梅の香漂う長閑な<春>を迎えるための指針だった。
好むと好まざるとに係わらず、戦国の女たちは槍や刀を使わず敵を仕留める戦場(いくさば)に立ち、嫉妬渦巻く凄絶な謀略戦(「女いくさ」)に臨んだのだろう。
最終の「花嵐」の章で、天下人秀吉の愛妾に収まった淀君の専横に抗し、織田家所縁の女人たちが結束して冬姫を護るシーンが小気味好いが、信長の娘(冬姫)と姪(淀君)の徳の違い、器量の大小が浮き彫りになる。
鼎の軽重が問われるのは、何も時の権力者、為政者の男どもに限ったことではないと、作者が呟く声が聞こえてくるようだ…。
冬姫
2016/08/14 16:49
戦国の女性達、というよりは
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この時代だから、というよりも
やはり女性って他人を羨んだり妬んだりするのは
どの時代でも同じなのだろうなぁと思いながら読んだ。
戦国の世の女性は強い、という固定観念に縛られがちだけれど、その時代時代で人も、人の心もその「時」に合わせて変化していくのがきっと自然なことなんじゃないかなぁと、いつも歴史ものを読む感覚とは違う見方で楽しませていただいた。
合間合間に、ちょっとファンタジーなテイストも混じってはいたけれど、そのバランスがちょうど良く、すんなり読めました。一気に葉室さんのファンになりました。他の作品も読んでみます。