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11件
女たちのジハード
著者 篠田節子
【第117回直木賞受賞作】中堅保険会社に勤める5人のOL。条件のよい結婚に策略を巡らす美人のリサ。家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能なOLでありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおくれの康子。そして得意の英語で自立をめざす紗織。男性優位社会の中で、踏まれても虐げられても逞しく人生を切り開いていこうとする女たち。それぞれの選択と闘いを描く痛快長編。
女たちのジハード
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女たちのジハード
2005/11/29 20:48
現実にありそうだからこそ、面白い!
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:由季 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは、30を過ぎたが結婚をするでもなく転職をするでもなく、ひたすらOL業務をこなす康子、鮮度の落ちないうちに結婚したい「お嫁さんにしたい女の子」№1の理紗、一流大学卒の翻訳家目指して勉強に励む紗織、19歳の人生流されるままの紀子という、4人のOLのお話で、一流の結婚、転職などを目指してそれぞれが奮闘する物語です。
みんな何だかんだ計算してても、最後はやはり本能のまま、というか…自分の気持ちに正直に生きていきます。OLさんてこんな感じなのかな!?それはちょっと微妙な感じがしないでもないけど、テンポが良くて、どの章もとってもおもしろいです。私的には、康子の「加工用トマト」の章がお気に入り!「ナイーヴ」もGOOD☆
ぜひ読んでみて㊦さい♪
女たちのジハード
2017/11/21 20:07
あっぱれな女たち
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジミーぺージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
実にたくましい女たちです。元気をもらえます。行動力が実にすばらしいです。
ここに出てくる女たちは会社の同僚で、親友という訳ではありませんが、
お互いの距離感がよくて、新鮮です。
読んだ方はきっと誰かのファンになるでしょう。
私は、康子のファンになりました。
人生にお悩みの方にお勧めです。
女たちのジハード
2003/01/07 22:13
戦う女を書かせたら、この人に敵う作家はいないだろうなあって、あらためて思ってしまった。そう、可愛いだけの女なんて時代遅れなんだよ。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
篠田節子がNHKのBS放送の番組、たしか職業に関する討論会で司会者の補助的な役をしているのを見たことがある。数日にわたって続いたかなり真剣な番組だったが、篠田はいかにもプロらしく厳しい発言をしていた。その痩身から発する甘えの無い言葉に、直木賞をとって久しく読まずにいたこの本を手にした。
主たる登場人物は5人。中心となるのは、康子、紗織、リサの3人。年齢のせいか達観した風情を見せる斉藤康子34歳、マイペースで自分の道を行く浅沼紗織25歳、そして広報に抜擢された三田村リサ25歳。彼女たちは結婚相手の男を捉まえることに懸命の策をめぐらす。戯画的な部分から、彼女たちが男社会や常識の壁にぶつかり、甘い思い込みや自らの無知に気付くあたりからが楽しい。
さらに二人、夫の出世と引き換えに自分の職場での地位を捨てざるを得なかったみどり、気が利かず何もできないまま結婚をする紀子を加えた5人が活躍する話だが、最後まで作品に出続ける最初の3人に比べれば、補助的な2人はいつまでも姓を示されることはない。篠田の中では、きちっと役割が決められているのだろう。
男を取り替えては、少しでもいい相手を探すリサや、そういった努力を尻目にクールに自分のキャリア・アップに勤める紗織のままならぬ人生、そして冒頭でヤクザにブスと言われたことに反発し競売で相手を潰す康子などの描き方に、著者の三人への肩入れが窺えて楽しい。
家庭における夫の暴力、男社会が女性に望むもの、女性の総合職、海外の専門教育の実態などが、明確に描かれている。1997年の直木賞受賞作ということで敬遠してきたが、読まずにいたことを後悔した。あとがきの田辺聖子の「男性の審査員に人気があったのが、意外というか矢張りというか、家事も何も出来ない紀子であった」の文を読んで、この国の限界を見た気がした。モデルにスカウトされながら、それを袖にして太極拳に励む紗織の美しさや、キレル康子の変貌にこそ日本の未来があるというのに。