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10件
『ラブカは静かに弓を持つ』ロングセラー記念ガイドブック(試し読み付)
著者 安壇美緒
誰かを救うチェロの音色。きっと、あなたの心にも響く――
少年時代、ある事件に遭遇し、トラウマを抱え生きる橘樹。
勤務先の上司から呼び出され、音楽教室の違法行為を探るための潜入調査を命じられる。
橘は身分を偽り、チェロ講師・浅葉のもとに通い始めるが、次第に彼の演奏に魅了され……。
感動の音楽小説『ラブカは静かに弓を持つ』のロングセラーを記念して、斉藤壮馬さん、篠田節子さんとのスペシャル対談、著者・安壇美緒さんへのインタビュー、さらにスペシャルショートストーリー『音色と素性』を収録したガイドブックを配信します。
ぜひダウンロードしてお楽しみください。
『ラブカは静かに弓を持つ』ロングセラー記念ガイドブック(試し読み付)
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ラブカは静かに弓を持つ
2022/07/25 17:12
音楽は誰の物でしょう
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:すぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
音楽を聴く人、演奏する人、作る人、それをお金に換える人。
全員に音楽論があって、そこには意志がある。チェロを音楽教室で弾きに行って演奏する先人の遺産である音楽は果たして誰の物なのでしょうか。
私には分からない。でも今日も昨日も、そして明日も私は音楽を聴くでしょう。
著作権を取り締まる為に潜入する商業スパイ劇。007のような緊迫感とはまた違う緊張感がありました。
ぜひ、ショパンのエチュードを聴きなが一緒に読むと良いエッセンスになると思います。
2023/02/19 01:54
スパイ×音楽
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2023年本屋大賞ノミネート
少年時代のトラウマを抱えた主人公が、著作権をめぐり音楽教室への潜入調査を任される。傷を想起する「チェロ」を通して人と触れ合う事で、沈み込んでいた深海から少しずつ引き上げられていく。実話から着想を得た、繊細な心の機微を奏でる「スパイ×音楽」物語。
「音楽」に救いを求める者、気付いたら救われていた者、丁寧にメロディを繋ぐ様に信頼が構築されていく様子と、秘めた任務との天秤の揺れがスリル満点。
主人公の性格を表した様な起伏の少ない滑らかな文体が心地好く、時に生じる波紋を際立たせるエフェクトを担っていた。
生真面目な主人公が「音」を語る時だけ抽象的な譬えを用いる所や、登場人物一人一人に「ここだけは」というブレない部分があり好感を持てた。
漠然とした不安を抱えていたり、感情表現が苦手な方に特に読んでほしい作品。
賛否あると思うけど、ちょっとBL風にも読めた所が良かった
ラブカは静かに弓を持つ
2022/05/08 14:49
ラブカはスパイをイメージする
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーかと思ったが、違った。しかし、背景にずっとチェロの響きが聞こえるような物語だった。スパイというより潜入調査員が、経歴を偽り音楽教室に入り、そのコミュニティの暖かさに心の鎧がはがされる。ラブカとは深海魚の名前らしいが、暗い海の底で息をひそめて辺りを窺う姿が、スパイなのだ。チェロを奏でる喜びが表現されるとともに、裏切る苦しさが漂う。無数の信頼の重なりの上に、人間関係は構築される。もし信頼を失えば、……。その先をしっかりとイメージすることが、生きていくうえで重要だと思う。