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夜明けを待つ(集英社インターナショナル)
著者 佐々涼子
病、家族、看取り、移民、宗教……。小さき声に寄り添うことで、大きなものが浮かび上がってくる。『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている』『エンド・オブ・ライフ』『ボーダー 移民と難民』……。生と死の境を見つめ続け、読む者の心を揺さぶる数々のノンフィクション作品の原点は、佐々涼子の人生そのものにあった。ここ10年間に書き溜めてきたエッセイとルポルタージュから厳選した著者初の作品集。
夜明けを待つ(集英社インターナショナル)
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2025/04/18 07:13
佐々涼子さんの最後のメッセージ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
エッセイを半分、ルポルタージュを半分、収めた
ノンフィクション作家佐々涼子さんの『夜明けを待つ』の「あとがき」にこうある。
「私の病気は悪性の脳腫瘍」、「なにしろ残された時間が少ない。」
この「あとがき」を書いたのは、2023年9月。
それから、1年。
佐々さんは2024年9月、亡くなった。
残された著作は、何故か人の死に関するノンフィクションが多い。
第10回開高健ノンフィクション賞を受賞した『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』、
東日本大震災時の製紙工場の人たちを描いた『紙つなげ!』、
『エンド・オブ・ライフ』では終末医療の世界を書いた。
そして、この本のエッセイにも、母の死や自身の若い時からの病気など
死の影を濃厚に感じる。
しかし、佐々さんが取材し、描いてきた人たちは、
死の前にいながらそれでも懸命に前を向く人たちであったはずだし、
余命わずかであっても佐々さんはこうして今まで綴ってきた文章を掬い取って一冊の本に仕上げていった。
56歳というのは、本当に若い。
若くして子供をもうけ、様々な職業につき、40歳を越えてノンフィクション作家となった、
そんな人生を生きた佐々さんだからこそ、もっと書きたいと思っただろう。
それでも、死が目前にある時、この本の「あとがき」の最後に、こう書いた。
「こう言って別れることにしよう。「ああ、楽しかった」と。」
佐々涼子さんの、この「あとがき」こそ、最後のメッセージだ。
2025/04/06 15:02
24年4月読了
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はぐらうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の死生観、宗教観がわかり、人となりが知れた。この方の著作はすべて読まなくてはならない。宗教について語りたいことも沢山あるが、とにかく今は奇跡でも確かな医療技術でもいいから回復されることを祈る。応援しています。
と思っていたのだけれど。残念。