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41件
ベン・トー
ビンボー高校生・佐藤洋(さとう よう)はある日ふらりと入ったスーパーで、半額になった弁当を見つける。それに手を伸ばした瞬間、彼は嵐のような「何か」に巻き込まれ、気づいた時には床に倒れていた。そこは半額弁当をめぐり熾烈なバトルロワイヤルが繰り広げられる戦場だったのだ! その不可思議な戦いに魅(み)せられた佐藤は、そこに居合わせていた同級生・白粉花(おしろい はな)とともに半額弁当の奪取を試みるが、突如現れた美女、「氷結の魔女」に完膚(かんぷ)なきまでに叩きのめされる。そして、その美女が佐藤に告げた言葉は…。第5回スーパーダッシュ小説新人賞・大賞作家の新境地、庶民派学園シリアス・ギャグアクション、開幕!
ベン・トー 12 デザートバイキングプライスレス
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アサウラの幻のデビュー作&初期作品が電子版で復刻!!
大ヒットシリーズ「ベン・トー」の作者・アサウラのデビュー作&初期作品2タイトルが電子版で復刻!
電子版配信にあたり著者より寄せられた「あとがき」も収録!
■デビュー作にして問題作!『黄色い花の紅』
■幻の初期作品『バニラ A sweet partner』
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ベン・トー 1 サバの味噌煮290円
2009/03/15 20:23
品格を持った争い
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代ローマ時代の戦車競争の話というわけではなく、スーパーのお惣菜売り場で閉店間際に半額になる弁当を高校生が奪い合うというお話。半額シールが貼られる前には違う売り場をうろちょろして時間を潰したりとか、シールが貼られる前の弁当を店員に差し出してシールを要求するおばちゃんの存在を苦々しく思ったりとか、高校生というよりも一人暮らしの男子大学生なんかは、そのときの心情に共感できるのではないだろうか。かく言う自分も、閉店1時間くらい前にお店に行って、弁当売り場をチラ見しながら半額になるのを待った口なので、結構理解できる。
日常生活にある、弁当が半値になるというそれだけの現象に、人間ドラマを持ち込んだ独創性にあふれた作品だと思う。
ベン・トー 1 サバの味噌煮290円
2008/11/14 21:23
跋扈するエキスパート達の熱き血潮
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな経験はないだろうか。ある世界を知る。興味を持つ。何となくその世界に足を踏み入れてみる。自分で体験してみる。当初は「こんなもんか」くらいの感想を持つ。次第にその世界に馴染んでくる。すると、最初は見えなかった世界が見えてくる。その世界に精通した人達の姿が見えてくる。暗黙のルールがあることを知る。実は自分がそのルールに少し外れていることを知る。そうしたことを修正していくうちにまた少し馴染んでくる。一定のレベルに達した頃に仲間が出来る。また新しい世界を知る。いつの間にか結構ディープなところまで足を突っ込んでいることに気付く。自分のことを師匠みたいに崇める者が出て来る。そしてふとビギナーだった頃を振り返ると我ながら恥ずかしくも微笑ましく、結構無礼なこともしてきたなと気付く。そうしてこの世界から抜け出せなくなる。こんな世界の話である。舞台はスーパー。しかも弁当コーナーのみである。ライバルがいる。先輩がいる。他校の人がいる。達人がいる。伝説の人がいる。スーパーの弁当コーナーを牛耳る食材担当者は神である。傍から見れば大変しょーもない世界である。無価値である。しかし、その世界にどっぷり浸かっている者にとって、その世界は珠玉の舞台であり全てが途方も無く価値有るものである。大切なものである。このことが理解出来る人にとって本作ほと心の琴線に触れる作品は他に無いであろう。
ベン・トー 5 北海道産炭火焼き秋鮭弁当285円
2010/01/23 22:46
争うのは半額弁当だけではなく、自分の在り方
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
狼として着実に実力をつけてきた佐藤は、ボス犬である山原が率いるダンドーと猟犬群を抑え、半額弁当を獲得することに成功する。この事実は、弁当をとる事を優先するために犬となった山原のプライドをいたく傷つけ、佐藤は山原につけ狙われることとなる。
そんな因縁が生じたころ、佐藤の学校にかつてのあこがれのクラスメート広瀬さんがやってくる。妹系アイドルとして活躍する彼女は、昔と変わらない様子の佐藤に少し興味を持ち、色々な事に連れまわすせいで、徐々にHP部や半額弁当争奪戦から遠ざかる結果になるのだが。
今回は半額弁当争奪という熱狂の外にいる人間が物語の中心人物になっている。アイドルという一般社会でも通用する価値と、闘って勝利した結果獲得する半額弁当の価値。とても釣り合わないように見える二つの価値のうち、本当は何が重要なのか?腹の虫という嘘偽りのない本能が佐藤を答えに導きます。
前半のストーリーとも重なるけれど、一見ダメに見える人間でも、抑える所さえ間違わなければ、自分やだれかにとっての良い結果を導き出せるということでしょう。