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カルピスをつくった男 三島海雲
著者 山川徹
「初恋の味」はどこからきたのか?
カルピスは、「初恋の味」として知られる国民飲料だ。ルーツは、モンゴル高原で遊牧民に食されていた乳製品。約100年前に三島海雲によって発見された。
三島は僧侶にして日本語教師、さらには清朝滅亡で混乱下の大陸を駆け抜けた行商人だ。日本初の乳酸菌飲料を生み出し、健康ブームを起こした。
没後、半世紀近く経ち、三島の名は忘れ去られた。会社も変わった。だが、カルピスは今も飲まれ続ける。三島からすれば本望かもしれない。「国利民福」を唱え、会社の利益よりも国民の健康と幸せをひたすら願った。
カルピスの聖地・モンゴル高原まで訪ね、規格外の経営者の生涯に迫った傑作人物評伝。
<近代文明の危機は、一九七三年よりも恐らく遥かに深まっているのだろう。救いの大きな鍵はきっとモンゴル的なるものにある。三島海雲の伝記と思想は今こそ学ばれねばなるまい>――解説・片山杜秀氏
※この作品は単行本版として配信されていた『カルピスをつくった男 三島海雲』の文庫本版です。
カルピスをつくった男 三島海雲
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カルピスをつくった男 三島海雲
2022/06/29 16:46
カルピスが飲みたくなった
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つかも - この投稿者のレビュー一覧を見る
60代の私にはカルピスはしゃれた飲み物で、センスのいい人が作り出したんだと思っていましたが、なんと浄土真宗本願寺派の僧籍をもつ苦労人でした。関西でも、京都や神戸、大阪という大きな街ではなく箕面(みのう)や伊丹というローカルな場所で貧しい子供時代を過ごした人がモンゴル高原でカルピスのもととなる飲み物に出会う話は壮大です。モンゴル高原が中国共産党の指導によってどんどんと変わっていく様子も分かります。中国がモンゴルの文化や民族を認めず、豊かな草原で営まれる遊牧の文化を中国化していく様は現代の習近平中国とも重なります。モンゴル現代史の一端が垣間見られる本です。

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