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17件
守ろうとする猫の話
著者 夏川草介
「お前は、ただの物知りになりたいのか?」
夏木林太郎は、一介の高校生である。幼い頃に両親が離婚し、さらには母が若くして他界したため、小学校に上がる頃には祖父の家に引き取られた。以後はずっと祖父との二人暮らしだ。祖父は町の片隅で「夏木書店」という小さな古書店を営んでいる。その祖父が突然亡くなった。面識のなかった叔母に引き取られることになり本の整理をしていた林太郎は、書棚の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。トラネコは、本を守るために林太郎の力を借りたいのだという。
お金の話はやめて、今日読んだ本の話をしよう--。
感涙の大ベストセラー『神様のカルテ』著者が贈る、21世紀版『銀河鉄道の夜』!
君を守ろうとする猫の話
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本を守ろうとする猫の話
2022/09/27 15:52
本当は「孤独な少年を守ろうとする本の話」なのです
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本を読むきっかけはさまざまだ。
夏川草介さんのこの『本を守ろうとする猫の話』の場合、
2017年2月に単行本として刊行されていて
その際にはまったく気づかなかったのだが、
2022年9月に文庫化され、
その宣伝惹句にひかれたことで読んでみようと思った一冊。
宣伝惹句に「米国、英国をはじめ、世界35カ国以上で翻訳出版されているロングセラー、
待ちに待たれた文庫化!」とある。
さらに「21世紀版『銀河鉄道の夜』」とある。
本好きにとって、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』というワードほど
魅力的なものはない。
ただ、この作品がそうなのかといわれたら、
読後感としてはちょっと違うような気がしたが。
物語は古書店を営む祖父が亡くなって、ひとりぼっちになった高校生の少年が、
本の世界を深く知ることで生きることの力を取り戻していく話。
タイトルにあるように
店じまいが目前に迫る中、一匹のトラネコが少年の前に現れ、
本の世界を助けるように求めてくる。
このネコはある条件を持った人とは人間の言葉が話せるというから、
作品は童話のような雰囲気も持っている。
ネコが求める本の世界の困難さからの救済。
ひとつは、本を飾るために読む人、二つめは数をこなすための過度な速読、三つは利益のみ追い求める出版。
少年はこれらの迷宮から、どのように本を守るのか。
本を守ったのは猫ではなく、少年。
さらにいえば、少年を守ったのは本。
つまりは、「孤独な少年を守ろうとする本の話」なのだ。
2023/04/12 13:07
本を守ろうとすると猫の話
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆうと - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中に物申す、そんな本だと思いながら読み進めました。本について書いてありますが、今のギスギスした優しくない世の中に涙している作者が滲み出ているように感じて読み進めました。「解説にかえて」を読んで、やはりそうだったんだと、とても共感しました。
「人を思う心」の大切さ。「感謝」と「ありがとう」が何度も出て来ます。内容の中に出てくる難しい本はほとんど読んだことがありませんでした。
でも、時間がかかっても手に取り読んでみたいと思いました。この本ももう一度初めから読んでみます。
良い本をありがとうございました。
2022/12/19 08:03
本を守ろうとする猫の話
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:メガネ定食味噌汁付 - この投稿者のレビュー一覧を見る
猫と閉じ込められた本を助けるために本の迷宮の謎を解き明かす熱い冒険譚。
小さい頃に大好きな本を見つけた時のワクワク感を思い出しました。素敵な読了感でした。
読書好きならニヤニヤして読めるセリフや謎の絡め方など刺さるはずです。

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