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13件
華麗なる一族
著者 山崎豊子
業界ランク第10位の阪神銀行頭取、万俵大介は、都市銀行再編の動きを前にして、上位銀行への吸収合併を阻止するため必死である。長女一子の夫である大蔵省主計局次長を通じ、上位銀行の経営内容を極秘裏に入手、小が大を喰う企みを画策するが、その裏で、阪神特殊鋼の専務である長男鉄平からの融資依頼をなぜか冷たく拒否する。不気味で巨大な権力機構〈銀行〉を徹底的に取材した力作。
華麗なる一族(下)
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華麗なる一族 改版 下巻
2022/01/26 13:43
喰うか喰われるかの世界
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投稿者:けなちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
情報を取得し,時流を読み,考え,根回しできてようやく華麗なる生活ができる。
何もできない者は結局,できる者によいように使われるだけ。
喰うか喰われるかの世界。
しかし,思惑通りに事が運んで華々しい世界を手に入れてもそれは束の間。踏み台にして肥大化を企む人間は気づかないうちにすぐ傍まで近づいてきていて,今か今かとタイミングを狙っている。
資本主義の宿命ではあるが,痛烈に突きつけられる。
華麗なる一族 改版 中巻
2022/01/26 13:41
くもの糸
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投稿者:けなちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻で,読みの甘かった経営者たちが落伍していく姿を,読者の私は,一種自業自得だと冷静な眼で読んでいたが,中巻になってその落伍者候補が準主人公の鉄平に移る。
張り巡らされた万俵大介のクモの巣の糸に,鉄平や鉄平の旧知の仲で多大に支援してしていた三雲頭取がまんまとひっかかり,もがけばもがくほど強く絡まり,身動きが取れなくなる。
清らかなため理想を突っ走るようなどこか坊ちゃん坊ちゃんが抜けていない鉄平,物事を俯瞰して見ることはできているものの,日銀出身で市中の熾烈な争いに揉まれ慣れていない三雲頭取。
2人とも甘いなとは思いつつも,中巻を読み進むにつれ,つい思い入れしてしまう。
そして上巻で奈落の底に突き落とされていった経営者たちの苦しみを私も我がことのように感じるようになる。
本当に見事なストーリー運びだと思う。
華麗なる一族 改版 上巻
2022/01/26 13:40
小さな過ち
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投稿者:けなちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
景気,競合他社の動向,経営判断・・・小さな過ちで始まる,企業の崩壊。
上巻では,現代の社会の構図,すなわち弱者は淘汰され,他者を出し抜き情報を得て上手に立ち回れる者がそのうまみを吸い上げて大きくなっていく様子が描かれる。
淘汰される経営者に対して,経営判断が甘いからいけないのだ,漫然と経営を続けもっと読みを深めていなかったから会社がこうなるのだ,と感想を持ちながら読み進めるものの,大きな波乱が起こる・・・。