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罪と罰
鋭敏な頭脳をもつ貧しい大学生ラスコーリニコフは、一つの微細な罪悪は百の善行に償われるという理論のもとに、強欲非道な高利貸の老婆を殺害し、その財産を有効に転用しようと企てるが、偶然その場に来合せたその妹まで殺してしまう。この予期しなかった第二の殺人が、ラスコーリニコフの心に重くのしかかり、彼は罪の意識におびえるみじめな自分を発見しなければならなかった。
罪と罰(下)(新潮文庫)
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2019/01/29 22:27
ラスコーリニコフのことを私は幸せ者だと思う
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラスコーリニコフは金貸しの老婆とその妹の2人を殺害した。第2級殺人として取り扱われることとなり予想よりも早く娑婆に出てこれそうである。世界の苦しみを一人で背負っているようにも見える彼ではあるが、彼は幸せ者だと思う。やさしい母親や妹、たのもしい友人のラズミーヒン、恋人のソーフィアに囲まれながら彼がなぜ苦しそうに生きてゆくのかがわからない。話の結末としては、やはり自首をするということが最適だろう。自殺では悲しすぎるし、警察が無能で結局逮捕できなかったというのも違う気がしていた。私としてはお気に入りだった火薬中尉が快刀乱麻の快推理で彼を追い詰めていくという展開も期待していたのだが
罪と罰 改版 上
2016/01/07 15:25
ドストエフスキーの後期長編
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あかーきぃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ペテルブルグの空気感、息苦しくさえなる人物達の貧困の様、街を歩き回る主人公の思考と感情。この作品には独特の重苦しさはあるが、滑稽だったり不気味だったり、はたまた吝嗇だったりと、様々に特徴的な登場人物に溢れており、また作家によって巧みにこれらの人物の心理が描き出されている。主人公のラスコーリニコフは、気難しいが根は善良な青年であることは、彼の行動から疑いを容れない(老婆殺しは彼の独自の犯罪理論に基づくものであり、別として)。彼の葛藤や苦悩に、我知らず共感する。日本でドストエフスキーといえば『カラマーゾフの兄弟』やこの『罪と罰』は文学史上有名であり、深遠なテーマと緻密な構成が彼の作品の魅力の一つであるが、作品には彼一流のユーモアも含まれており、本作は勿論のこと、ドストエフスキー作品が現代に至るまで長く読み継がれてきた理由は、読んだ者には頷けるであろう。一読して作者の深い意図までを汲み取るのは正直難しいが、それが出来ないとしても十分に面白く、楽しめる長編小説である。
罪と罰 改版 上
2023/03/01 08:02
かなり覚悟を決めて読み始めたけれど……
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投稿者:こずえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドストエフスキーといえば難解で読みにくい、というイメージがあったので身構えていたのですが、抜群に面白いです。主人公ロージャ(ラスコーリニコフ)が内心でアレコレ悩んでいるところなど、食傷せずに読ませる表現力は素晴らしいと思います。翻訳も自然で読みやすく感じました。
強いて言うならば、血縁関係などの系図も含めた登場人物一覧がついていたら良かった。日本人には聞き慣れない名前が多く、また同じ人物が色々な呼び名で呼ばれるので少々混乱します。