- みんなの評価
5件
憑神
著者 浅田次郎 (著)
妻夫木聡主演の映画原作。時は幕末、処は江戸。貧乏旗本の次男の身ながら、その才を見込まれて大身の入婿となった彦四郎。だが、跡継ぎを授かったとたん離縁され、実家に出戻るはめに。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、なんと神様があらわれた。だが、この神様、神は神でも、貧乏神! 果たして、貧乏侍vs.貧乏神の行方は……!? とことんツイてない男が最後に選んだ真実の生きる道とは――。抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。最近ツイてない、ツキが欲しいと思っている人、必読。
憑神
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
2021/07/14 12:35
語り口がいい
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し苦いユーモアをたたえた浅田次郎らしい江戸言葉の語り口がとてもいい。ストーリー内容以前にこの語り口に惹きつけられてしまった。ユーモアに満ちたファンタジックなストーリー内容にも感銘を受けた。とくに3人目の貧乏神がとってもいじらしい。ただ締めくくりだけはピンとこない。
憑神
2007/10/14 22:24
神頼みも、ほどほどに
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
背表紙の「抱腹絶倒にして、やがては感涙必至」という紹介文を読む限りでは、もっと軽妙な人情噺だと思っていた。江戸を舞台に、今ひとつパッとしない男が主人公で、人ならぬものが出没すると言えば、ありがちな設定。軽い気持ちで手に取ったのだが、前半はともかく後半は軽やかどころの噺ではなくて、ズンときた。
なんと言っても時代が重い。主人公彦四郎は貧乏御家人で時代は幕末、しかも彼の家は代々、徳川将軍の影武者を勤めるのがお役目なのである。「明治維新万歳」とはいかない。
文武に秀でながら、運に見放され、人の悪意に陥れられ失意の日々を送る彦四郎は、酔いに任せた神頼みで、なんと貧乏神に憑かれてしまう。しかも彼が手の合わせたのは「三巡稲荷」であり、貧乏神の次は疫病神、さらに……と踏んだり蹴ったりなのだ。
彦四郎が憑かれてしまったのは、邪神であっても神は神。人間には太刀打ちできない圧倒的な力を持っている。倫理も情も、人間のそれとは違う。何とか己に降りかかる不幸を防ごうと足掻く彦四郎は、彼らにしてみれば玩具のようなものなのだろう。神を相手にした時だけでなく、時代の奔流に対しても、人間は無力で小さい存在だと思い知らされる。
だが、最初は不幸から逃れよう(出来ることなら他人にそれを押し付けてでも)とばかり考えていた彦四郎が、何とか踏ん張り、自分なりの生き方を全うしようと心に決めてからは、物語は俄然、面白くなってきた。終盤の彦四郎の毅然とした態度は、人はこれほど変わるものかと瞠目する。まさに「人間、侮れん」という感じである。
この話、リアルな時代小説としても描けた筈である。そうしていればもっと重厚で格調高い話になったかもしれない。しかし作者はあえて、極めて人間臭く擬人化された神というファンタジーを取り入れた。三人(?)の神たちの登場順及びキャラクターは、まさにこれをおいて他はなし、という絶妙さだった。
身を粉にして働いてる邪神と、怠惰に太平を貪る人間。己の務めに誇りを持っている邪神と、意義を失い迷う人間。現実ではあり得ない出会いがあり、葛藤と救いがある。これも、ファンタジーの妙である。
憑神
2021/07/30 10:41
憑神?
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
貧乏御家人の別所彦四郎は蕎麦屋で勝安房守、榎本釜次郎が参って出世したといわれる三廻神社の話を聞く。ある日彦四郎は酔って川沿いの場所に小さな祠を見つけ神頼みをする。なんとそこに祭られていたのは貧乏神であった。そこから彦四郎の波乱の生活が始まった。最初に貧乏神、次に疫病神、そして死神まで登場だ。世の中は戊辰戦争が始まり不穏な空気が漂う中、彦四郎と3神はどのようにのりきるのか?
発想がよかったし内容も面白かった、と同時に武士道を感じた。