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2件
見張り塔から ずっと
著者 重松清 (著)
発展の望みを絶たれ、憂鬱なムードの漂うニュータウンに暮らす一家が いる。1歳の息子を突然失い、空虚を抱える夫婦がいる。18歳で結婚し たが、夫にも義母にもまともに扱ってもらえない若妻がいる……。3組の家族、ひとりひとりの理想が、現実に侵食される。だが、どんなにそ れが重くとも、目をそらさずに生きる、僕たちの物語――。「カラス」 「扉を開けて」「陽だまりの猫」。
見張り塔から ずっと
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2024/07/29 11:09
良い本です
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和バブルの終焉と共に希望に満ち溢れた未来も崩れ、閉塞感とやり場のない怨みや後悔が澱む平成不況へと。そんな世相を反映したような作品でした。
見張り塔からずっと
2004/01/12 20:36
あとがき読むべし。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本に関しては「あとがき」を絶対に読み逃さないで下さい。
タイトルの「見張り塔」の意味と重松さんの「作家業」に対する思いが書かれているので…。
テーマは「あらすじ」を読んだだけでも重さが伝わる。
本を読むという事は、空想の中で疑似体験できる楽しみ、つまり本の世界での楽しみがあるのだが重松氏の作品には本の世界と現実の世界の垣根が殆どない。
本を読みながら自分のことにように主人公の辛さを感じ、人生の重たさを感じる。
何故こんなにもリアリティのある作品なんだろう?と毎度不思議に思っていたのだか、このあとがきを読んでその理由が分かったような気がした。
この三つの家族にはどれも結論が出ていない。
だからこの家族達が今後どんな道を歩んでいくのかは読者の想像による。
「みどりさん」が離婚届をどうするのか、ニュータウンの一家の未来はどうなるのか、読者は彼らの不安や希望を胸に本を閉じる。
まるで自分のことのように…。
取り合えず私は「陽だまりの猫」のみどりさんにエールを送りたいと思いました。
がんばれ、みどりさん。
見張り塔からずっと
2001/01/13 13:46
サスペンスの緊迫感と純文学の重さ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽろぽろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
予期しない悲しい運命を背負い、あきらめのため息をこらえながら静かに人生を送る人々。現代人の誰もが同様な悲劇の当事者になりうることを思うと、ある種の戦慄を覚える。
3編の作品で構成され、本のタイトルが暗示するように、3つの人生を、高いところから見下ろすかのような客観的かつ冷静な視点で描く。サスペンスの緊迫感と純文学の重さをもって読者に迫る。