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22件
六番目の小夜子(新潮文庫)
著者 恩田陸
津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。
六番目の小夜子(新潮文庫)
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六番目の小夜子
2010/01/06 00:05
小夜子は永遠とともに
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:談上圭 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本を読んだ時、これは監視の制度だな、と思った。それこそが、「鍵」である、と。また、瑞々しい流れに、自らの学生時代を振り返りもした。そうして、つまる所、これはどこの学校でもありうるのだ、と結論づけた。小夜子はその名の通り、学校の闇の部分。闇を卒業するという学校制度にいつも深く組み込まれているのでしょう。大学生の二人に一人が実は学生を監視する学生だったりするのです。彼らは本当は社会人であり、それ故にドラマのモデルになったり、それ故に時折事件を起こす。それを、高校に引き直せば、と思うのです。みたび思うに、彼らは実に気紛れだった、と思います。とすれば、監視の学生だった者が、現に監視の学生を支援する、唐突に突き放したりとする。それが、野犬の不可思議な支援であり、加藤への訪問であったのでしょう。私は思うのです。眩暈とともに。監視の制度は一体いつからあったのだろうか?と。一体いくつのドラマや事件を現実に起こしてきたのだろうか、と。それは、おそらく学校制度の開始とともにあったのでしょう。そして、あり続けるのでしょう。ならば、小夜子もまた、と。
六番目の小夜子
2017/09/18 08:38
恩田陸氏の伝説のデビュー作です。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、1992年7月に新潮文庫のファンタジーノベル・シリーズとして刊行されたもので、その後、大幅に加筆され、1998年8月に単行本として出版されました。ただ、この作品は恩田陸氏の伝説のデビュー作と言われています。ある地方の高校で「サヨコ」というゲームが伝統的に受け継がれ、それが代々、続いてきました。そして、今年は6人目の「サヨコ」が登場する年だったのですが、そこでいろいろな不思議な出来事が起こります。高校という閉鎖社会で、まだ社会的に未熟な高校生における、不可思議なストーリーです。
六番目の小夜子
2002/07/18 02:29
あの頃のもろもろの思い
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終えて、切なくなってしまった。思春期の頃、世界としっとり
融け合えなくて感じていた、さまざまな違和感や疎外感など、諸々
のことを否応もなく思い起こさせられて、怖いやらもどかしいやら
懐かしいやら、溜め息が出る。
ちょうど大学受験を目前にして、将来の見通しが不透明で、不安と
期待で揺らいでいた頃の、あの不安定さ……手が届きそうで届かな
いもどかしさ、何かが起こりそうで起こらないもどかしさ、意味が
ありそうでしかしそれが見えないもどかしさとか、そういったもや
もやしたものを、色々と思い出させられてしまった。
と云うような胡乱な記述の意味がわかる人ならば、きっとこの物語
に対する感度があると思う(^◇^;)。そういう人にオススメである。