電子書籍
雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―(新潮文庫)
著者 村上春樹
「女」と名のつくものはたとえ動物であろうと入れない、ギリシャ正教の聖地アトス。険しい山道にも、厳しい天候にも、粗食にも負けず、アトスの山中を修道院から修道院へひたすら歩くギリシャ編。一転、若葉マークの四駆を駆って、ボスフォラス海峡を抜け、兵隊と羊と埃がいっぱいのトルコ一周の旅へ――。雨に降られ太陽に焙られ埃にまみれつつ、タフでハードな冒険の旅は続く!
雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行―(新潮文庫)
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2023/06/27 16:36
村上春樹さんの視点で見た世界
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
この人の紀行は独特です。それこそ世界中を旅しているが、どの土地にも深い思い入れを持っていないような気がします。聖山アトスも彼にかかると、珍奇な人々が暮らす辺境といった感じなのが新鮮だった。後半のトルコのほうが旅行記としては読ませどころ豊富で楽しめました。
2014/08/05 08:28
晴天
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きいろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
元の版も好きな作品なので、どこか変更になった部分があるかと、読んでみました。元の版で私が一番印象に残った一文が見当たらず、記憶違いでなかったら、作者の宗教観が変わったかも知れないと思いました。それは、ギリシャの旅の方。宗教に対してより冷静になってる。
トルコの旅の方は、こんなに大変だったっけ?と思いました。私なら、ギブアップしてる。
実を言えば、私は村上さんの作品は、小説よりエッセイや紀行文の方が好きで(小説は重く感じるときがあるから)、こういうのはあると嬉しいです。
2019/02/13 00:44
辺境の旅
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
ギリシャ正教の聖地アトス島。狭い島に女人禁制の修道院がひしめく秘境。村上春樹と2人が巡礼の旅に。断崖絶壁で閉ざされた隠者の世界に心惹かれるが、わりとすぐに終わってしまう(島にいるのは上限3日という制約があるので)。後半はトルコのトラキア地方からイースタンブールを経て黒海沿岸、ソ連国境、イラン・イラク国境、シリア国境を経てエーゲ海側に至る。これがパジェロに乗って2人交代で走破したというから凄い。トルコもまたギリシャとはちがった異郷ぶりで、作者は危険な目に遭ったり(クルド人の武装勢力に囲まれたり)、兵士と交流したり、国道24号線でタンクローリーに囲まれたり、白いドレスを着て馬に乗った少女の夢のような光景に見とれたり、地元の親切な人々に感謝したり無視したり、そんな光景が目に浮かぶ。ヴァン猫、チャイハネ。パン。トルコいいなあと思わせられた。時系列も飛ぶし、行ったところを網羅的に書いていないが紀行文としてかなりおもしろい。