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11件
手のひらの京(新潮文庫)
著者 綿矢りさ
京都に生まれ育った奥沢家の三姉妹。長女の綾香はのんびり屋だが、結婚に焦りを感じるお年頃。負けず嫌いの次女、羽依は、入社したばかりの会社で恋愛ざたといけず撃退に忙しい。そして大学院に通う三女の凜は、家族には内緒で新天地を夢見ていた。春の柔らかな空、祇園祭の宵、大文字焼きの経の声、紅葉の山々、夜の嵐山に降る雪。三姉妹の揺れる思いを、京の四季が包みこむ、愛おしい物語。(解説・佐久間文子)
手のひらの京(新潮文庫)
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2020/10/16 15:59
普通の京都を
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yuri - この投稿者のレビュー一覧を見る
京都人が普通に暮らす、毎日の京都です。若い子はこんなことをおもってくらしてるんや、とおばさんは思います。でもね、「大文字焼き」はあかんわ。食べとなるやんか。
手のひらの京
2020/02/27 15:32
京都の3姉妹
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:京子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
綿矢りさの故郷京都を舞台にしたお話。3姉妹それぞれの性格が全く違くて、いい味を出していて面白かった。
手のひらの京
2019/07/15 14:19
手のひらでそっと掬いあげたものがたり
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
鴨川にかかる橋から山々を眺め、末娘の凜は思う。
「なんて小さな都だろう。まるで川に浮いていたのを手のひらでそっと掬いあげたかのような、低い山々に囲まれた私の京(みやこ)。」
京都の奥沢家の三姉妹がすごす京都の一年。
大谷崎の『細雪』に比べられたようだけど、あれほど重々しくない。
雪子みたいな綾香も、妙子みたいな羽依も、しがらみではなく、自分の足で歩いて、迷いながらも進む。
もっとはっきりしているのが末の凜で、こんなタイプは『細雪』にはいない。
で、この物語は、綾香のストーリーも羽依のストーリーもからむけれど、やはり凜の視点が中心。
軽やかで、京都への思いも、何にもとらわれず、自由。
反発するのでもなく、心酔するのでもなく、でも京都を自分なりの愛し方で愛しているのが「手のひらの京」という表現に表れている。
三姉妹の背景として、また三姉妹の目を通して描かれる京都のたたずまいや自然は、観光本にも文化論にも出てこない、素顔の京都である。
三姉妹の物語を、1年に1冊ずつ読めたら……と、夢想し、続篇を期待もするが、大谷崎の大作『細雪』みたいになったら、ちょっと暑苦しいかな、という気もする。
やはり作品も「手のひら」ぐらいのかわいらしさがいいのかもしれない。
それと、カバーのイラスト。
今日マチ子のイラストが、三姉妹の雰囲気を的確に表していて、とてもいい!
でも、これ、どこだ?