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ショパンゾンビ・コンテスタント
著者 町屋良平
音大を中退した小説家志望の「ぼく」、同級生は魔法のような音を奏でるピアニストの卵。その彼女の潮里に、ぼくは片想いしている。才能をもつ者ともたない者。それぞれが生身のからだをもって何百年という時間をこえ体現する、古典を現代に生き継ぐことの苦悩と歓び。才能と絶望と恋と友情と芸術をめぐる新・青春音楽小説!
ショパンゾンビ・コンテスタント
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紙の本ショパンゾンビ・コンテスタント
2023/08/07 20:57
等身大のぬるい熱量
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
音大を中退して物書きになろうとするフリーターの主人公と、神憑った演奏をする友達と、その彼女。3人の間にある友情と恋愛感情と才能への羨みとが(いい意味で)等身大のぬるい熱量をもって描かれる青春小説のようななにか。
この小説の中で何度も繰り返される才能の差っていうテーマが、変に熱く書かれてなくてむしろ褪めてる感じがしてとても良い。20代そこそこで人生に軽く絶望してる自分を否定もしないし、かといって肯定もしない。中途半端に毎日を生きているけどなんとなく楽しい。そんなモラトリアムの書き方が凄く好み。
あと、主人公に思わせ振りな態度をしながら、何度でも「好きじゃないよ」と繰り返す彼女の存在がたまらない。何故そんなことを?と思うけど、大体においてその人にしか分からない「距離感」ってあって、そういうシーンを第三者として見る時の、あのなんとも言えない感覚を文字で味わってしまった。最高