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心は孤独な狩人(新潮文庫)
著者 カーソン・マッカラーズ , 村上春樹/訳
1930年代末、恐慌の嵐が吹き荒れるアメリカ。南部の町のカフェに聾唖の男シンガーが現れた。店に集う人々の痛切な告白を男は静かに聞き続ける。貧しい家庭の少女ミック。少女に想いを寄せる店主。流れ者の労働者。同胞の地位向上に燃える黒人医師――。だがシンガーの身に悲劇が起きると、報われない思いを抱えた人々はまた孤独へと帰っていくのだった。著者23歳の鮮烈なデビュー作を新訳。
心は孤独な狩人(新潮文庫)
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心は孤独な狩人
2023/12/13 10:21
愛すれど心さびしく
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:えんぴつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
十代の頃、高校生の私は「愛すれど心さびしく」という映画を観た。多分、タイトルに惹かれて観たように思う。細かいところは覚えていないが、シンガー自死してしまうことに「何故、どうして!」と胸が苦しくなった記憶がある。
記憶の彼方に忘れていたその映画が、マッカラーズの「心は孤独な旅人」を原作とするものであったことに、50年以上経った今、気がついた。そうか・・・そうだったのか。満を持して翻訳したとされる村上版「心は孤独な旅人」を待ち望んでいた私は、ようやく読めるか、と読み進めるうちに、アッと気がついた。これは「愛すれど心さびしく」だと。
23歳でのデビュー作だというこの作品は、その深さ、清新さ、同時に時代背景を伴う重苦しさ等々、何という内包性・・・。
一気に読了とはいかなかった、いやそういう読み方はしたくなかった。ひとつひとつのエピソード、ひとりひとり心のさみしさを感じながら、じっくり読んだ。村上春樹がこの作品を大切にしてきたということがよくわかる。
それぞれの人物の心象に思いを致すことは、大きな眼を持つマッカラーズの心の孤独に思いを致すことになるのだろう。23歳でこの作品を物した彼女の苦悩を考える。
開高健は、よく「わが心はさびしき狩人」と揮毫した。わが書棚にもある。開高健は、マッカラーズに共鳴したのだろうか。知る限り、マッカラーズについて書いた開高の文章は見当たらないが、読んでいたのだろうとも思う。
語学力がないのが残念・・・原書で読んでみたいとしみじみ思った。あの時代、23歳の彼女の大きな眼は何を見ようとしたのだろう。
2024/07/16 21:55
マッカラーズ再興。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キェルケゴ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者名と詩みたいな洒落たタイトルは、昔から知っていたが、村上春樹氏の新訳で手に入りやすくなったので、読んでみる。
文章のそこかしこからアメリカ南部の繊細な孤独が透けてみえるよう。
なお文庫化に際し、新しい解説を付けてほしかった。
2023/12/26 20:11
ややクセ有り
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
翻訳ものだから、というのもあります。翻訳口調がいやという方もあるかもですが、慣れてきたら自分も読めました。最初は、読みにくいですけど、孤独ということが深いです。お若い方、一読ください