- みんなの評価
13件
青の数学
著者 王城夕紀
雪の日に出会った女子高生は、数学オリンピックを制した天才だった。その少女、京香凜(かなどめかりん)の問いに、栢山(かやま)は困惑する。「数学って、何?」――。若き数学者が集うネット上の決闘空間「E2」。全国トップ偕成高校の数学研究会「オイラー倶楽部」。ライバルと出会い、競う中で、栢山は香凜に対する答えを探す。ひたむきな想いを、身体に燻る熱を、数学へとぶつける少年少女たちを描く青春小説。
青の数学2―ユークリッド・エクスプローラー―(新潮文庫nex)
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
青の数学 1
2017/05/14 20:00
熱く爽やかな青春小説! 表現もとても繊細でキレイです!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しょうちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
数学はニガテなのに、なぜか心惹かれて購入した本です。
ニガテだから、やっぱりなかなか手に着かなかったけれど、教え子が「おもしろかった!」と絶賛していたのもあって読み始めました。
うん、たしかに面白いです!
数学の方程式はムズかしく、出てくる例題も難解で「わからん!」となりますが、それでも読む手が止まらない!
数学がニガテで置いてけぼりになっても、それでも楽しめるのは、登場人物がみんな魅力的だからでしょうか。
そして、ただ「数学を解いていくだけの物語」なのに、とても熱い! みんな、青春してますっ。
数学という閉ざされた空間で、ここまで熱い青春ストーリーが繰り広げられるとは思いませんでした。
文系なのに、ストーリーは熱血のスポ根ってカンジです。
表現もとてもキレイで爽やか! ちゃんとした純文学のような、それでいて詩のような表現が続きます。
主人公やヒロインなどの名前が、氏名ともにムズかしくて、久しぶりの登場人物の場合は「ん? なんて読むんだっけ?」となりましたが(結構、登場人物も多いです)、簡単な名前じゃなかったからこそ、久々の登場でもごちゃ混ぜにならずに済みました。
(名前だけはふりがなが多かったほうが助かったかも…)
数学ニガテでも、爽やかな青春ストーリーが好きな人、熱いスポ根のような展開が好きな人にオススメできる本です。
青の数学 2 ユークリッド・エクスプローラー
2019/04/25 08:22
数学って何?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:如月 弥生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本数学オリンピックで2年連続優勝した 京(かなどめ)香凜 という少女が、主人公の栢山(かやま)に問いかけます。「数学って何?」と。彼女自身はその問いの結論に至っているようですが、それに対して迷っているようです。
そして、栢山は 京 にある数列を問題として投げかけます。この問題が、栢山は自分の迷いを理解してくれる人かもしれない、と彼女に思わせたのかもしれません。数学クラスタでは誰も近づく事ができないような孤高な存在の彼女が、栢山に対して一方的で希薄ながらも接点を保ちます。
E^2は数学クラスタが集まるSNSです。京 は普段使わないSNSに栢山に返答するために現れ、パブリックなメッセージを使って、答えと置き土産の数列を残していきます。
「でも、これこそが数学。」の一言を添えて。
この問題は “京の数列” としてそのSNSで話題になります。誰も簡単には解けません。そして無名だった栢山は 京 から名指しされたことにより、一躍脚光を浴びるようになります。
ここまで『青の数学 1』で描かれたのが、E^2を舞台に数学バトルの世界。
さて、テーマである「数学って何?」で、京 が辿り着いていた解は何だったのか? “京の数列” は何を表わしていたのか?『青の数学 2』で明らかになります。
“京の数列” は思いもよらない答えでした。数学オリンピック優勝者である 京 でしか出せない問題だと思います。並みの数学探究者が出したのでは相手にされない。そんな数列でした。「数学って何?」と悩んでいる人には意味のある数列。
解に到達できる人は間違いなく限られている。物語の中で “京の数列” の解に辿り着けるのは何人いるだろう?
“京の数列” これこそが数学。なぜ、“これこそ” なのか? この数列がなぜ? この物語を読むと妙に腑に落ちます。私にとっては数学に対する新しい見方でした。多分、答えだけ聞いたら「ふーん、そうかもね」で終わってしまうような気がします。
この小説は哲学的でもあり、詩的な文章でもありました。読んでいると長距離走ランナーの思いと重なる部分も多々ありました。おもしろかったです。感動の物語ではありませんが、本当におもしろいと思いました。知的な部分を刺激され、感情的には心地良く、そしてまさに青春を謳歌するようなストーリーでした。学園ものが苦手な私が夢中になりました。
栢山が五十鈴に決闘を申し込だ時の二人のやりとりがカッコ良すぎます。こんな会話をしてみたいです!
2022/09/09 01:11
情熱をかたむけるもの
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しつじのショーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
数学はあらゆる分野の基礎となり
影響を及ぼす学問だと言われています
論理的かつ美しくなければならないという
その魔物のような魅力あふれるものに
若者たちが挑んでいきます
静かにそして激しく闘い、青春のすべてを捧げられる
彼らや彼女たちのひたむきさが羨ましい
定理を解き明かしても、その証明に専門の学者たちが
年単位で挑むのですから
天賦の才とは凄まじいものですね