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ブッダという男 ――初期仏典を読みとく
著者 清水俊史
ブッダは本当に差別を否定し万人の平等を唱えた平和主義者だったのか? 近代の仏教研究は仏典から神話的装飾を取り除くことで、ブッダを平和主義者で、階級差別や男女差別を批判し、業や輪廻を否定した先駆的人物として描き出してきた。だがそれは近代的価値観を当てはめ、本来の内容を曲解したものにすぎない。では、ブッダの真の偉大さは一体どこにあるのか。これまでのブッダ理解を批判的に検証し、初期仏典を丹念に読みとくことでその先駆性を導き出す革新的ブッダ論。
ブッダという男 ――初期仏典を読みとく
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2023/12/10 20:22
画期的な仏教書
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ブッダについて平和主義者であったとか平等主義者であったというような評価を目にすることが多い。それらの評価は仏典の都合のいいところだけを抽出しており、不都合なところは全て後世の弟子による改変であると述べている学者が多かったが本書ではそういった現代人による願望をブッダに投影するのをやめて仏典から読み取れる素直なブッダ像を提示しており面白い。単にブッダが現代的視点では相入れないようなことも言っていた(それ自体は古代インドという時代背景を考えれば当たり前で非難には当たらない)ということだけでなくブッダの思想のどこに先駆性があったのかをバラモン教や他の沙門宗教と比較し業報輪廻を前提としながらも無我説を解いたこと縁起の逆観で煩悩を滅することで業を消すことができることを「発見」したことが提示されている。
ブッダという男 初期仏典を読みとく
2024/04/08 22:10
誰でも自分の持つ視点から逃れられない
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
書名は田川建三の「イエスという男」に習ったらしい。田川建三を含めて自分が取り上げる対象を自分が持つ思想や宗教の立場や認識で見てしまうものだ。論者が取り上げる対象が生きた時代の文脈で論じる意味を認識した。
真宗で言うところの「戦時教学」を批判した個所で今のミャンマーの仏教界のあり方を取り上げている。その時代では「正しい」と言われていても時代が変われば違うあり方が「正しい」と見なされるとしても過去の文脈まで特定の「正しい」あり方を引き延ばして「正しい仏教(キリスト教など)」を論じて悪いのは「天皇制国家」や「国家神道」など悪玉だと言っているのが結構いる。
人文主義の「原点に従う」から始まった宗教改革の「聖書のみ」という読み方がカトリックのあり方を批判する事自体は正しいにしても「聖書が書かれている事は全て真実」で聖書の記述が相互矛盾していても無理矢理こじつけて「一言一句全てが真実だ」という福音派のあり方は中世のカトリック式無謬論に戻ってしまう。聖書の奇跡物語を否定して論じるあり方と仏典の奇跡や神通力などを否定して「真実のブッダ」を探し出すのは結局同じなのだろう。
ブッダという男 初期仏典を読みとく
2024/05/07 11:39
評判の本なので
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでみました。初心者にもわかりやすくて、入門編としてちょうどいい感じです。とくに、日本的なブッダ理解との対比がよかった。