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商店街の復権 ――歩いて楽しめるコミュニティ空間
著者 広井良典
商店街は過去の遺物ではなく、新たな動きが見え始めている。若い世代がカフェやコワーキングスペースなどコミュニティの拠点として商店街に関心を向け、クルマで買い物に行くのが難しい高齢世代が商店街に足を向ける流れも出てきた。コミュニティ空間としての「ウォーカブル・シティ(歩いて楽しめる街)」を求める動きも各地で起こりつつある。商店街のもつ新たな意味や価値に注目し、国際比較の視点や、まちづくり・交通など公共政策の観点も盛り込み、幅広い叡智を結集。未来の商店街のありようと、再生に向けた具体策を提起する。
商店街の復権 ――歩いて楽しめるコミュニティ空間
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商店街の復権 歩いて楽しめるコミュニティ空間
2024/05/28 22:43
政府の大きな誤りに負けない現場の取り組みに期待をかける
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投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、広井良典さんという有名な方が編集しているが、現場の取り組みが豊富に掲載されている新書である。ボリュームはそれなりにあるが、実践報告は現場からの当事者の報告であり、読みごたえはある。編者は、商店街あるいは中心市街地のもつ新たな意味や価値(ノスタルジックではなく)に注目し、具体的な事例等で、これからの時代における商店街等のありよう、再生に向けたチャンスを追求する。ヨーロッパのまちづくりや商店街のあり方を取り上げる。商店街を単なる経済組織と見ることなく「コミュニティ空間」と見る。商店街の衰退を人口減少の帰結と見ていない。それより政府の政策が目指したものととらえる。政府の一部が商店街を救済する政策を頑張っても限界があるとしかいえない。政策サイドの要因、供給サイドの要因、需要サイドの要因で分析する。目次を見ると、
はじめに 広井良典
第1章 商店街の復権ーコモンズとしての中心市街地再生に向けて 広井良典
第2章 成長局面からみた商店街再生の実践ステップ 遠藤浩規
第3章 エリアリノベーションと商店街の可能性 千葉敬介
第4章 コミニュティ的空間としての商店街 今井隆太
コラム ホテルからまちを創るー帯広中心市街地活性化の取り組み 柏尾哲哉
第5章 商店街復権への取り組み 神崎浩子・前田志津江
第6章 中心市街地再生と交通まちづくり政策 宇都宮浄人
第7章 シャッター通りと耕作放棄地-未利用ストックの活用と効果 加藤 猛
第8章 各地の事例からの示唆と展望 小池哲司
執筆者紹介 となっている。
以上のように展開される。商店街のシャッター通り化と農地の耕作放棄地増加の問題を共通の課題と取り上げる。編集者だけでなく、複数の方の実感として展開される、日本の政策の失敗でなく、アメリカの大企業の要請を受けた日本に対する要求を日本政府が容認することにより、日本の政策が成功したことによる現実であろう。それが、農地の荒廃であり、商店街の衰退である。それに対して、全国各地での実践がある。地方での取り組みだけでなく、大阪の布施という都市部の事例も出てくる。国に頼ることなく取り組む姿がある。これを全国で展開するには相当なエネルギーがいる。身近な生活環境を良くしていく力である。東京R不動産は何と思いながら、エリアイノベーションという思想を学ぶ。きわめて面白い。ぜひ一読してほしい。