- みんなの評価
5件
大阪・関西万博 「失敗」の本質
著者 松本創
遅々として進まないパビリオン建設。肩透かしを食らう機運醸成。理念なき中、喧伝される経済効果。夢洲の開発にかける維新の思惑。過去の成功体験に引きずられながら、詰めが甘いまま進行してしまった大阪・関西万博。現状のまま開催されれば、「成功」とは到底言えないだろう。なぜこうした事態に陥ったのか。その真相を深掘りする。
大阪・関西万博 「失敗」の本質
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
2024/10/30 05:32
事業
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
イベントが終わってからが評価の対象となりがちだが既に問題が噴出しており現段階でも詳しい検証が必要だということがよくわかる。こんなことは今後も起こりうることから問題提起しておく意義が十分にある。
2024/10/01 17:58
無責任な大イベント=大阪・関西万博
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:すずらん - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪府民です。反維新派ですから、万博もIRカジノにも反対です。メタンガスの問題が出た時も、すぐに在阪メディア各局も大手新聞社も迅速には大きく取り上げてはいませんでした。
みんな大阪万博に利害関係があるからだと、諦めて落胆していましたが、参加国が減り、工期が間に合わない、目玉がない、チケットが売れていない、などと、どんどん問題が大きくなって、報じざる得ない状況になってきましたね。それだけでも、かなり滅入っていますが、この本を読んで、さらに愕然としています。この本に書かれている事が世の中に広まらないのは、本当に 闇が深い と感じました。大人がチケットを買わないから、遠足や修学旅行で子ども達を行かせて、収益を得ようとしているのに、大変不安を感じています。とにかく、開催は止められ無いなら、半年間、何も事件、事故が起こりません様に祈る事しか出来ません。
70年の万博だけでなく、小さな万博が関西でも開催されていた事など、勉強になりました。
政治、建築、メディア、経済、都市と、項目別になっていて、わかりやすくて、どの章も沢山詳しくファクトを載せていて、
誠実さを感じました。批判書でありながら、あたたかみを感じました。万博IR問題だけでも、頭痛がするのに、兵庫県知事の問題も深刻な関西です。私は神戸市出身で、今北摂在住ですが、編集者の松本さんは逆でおられるのも不思議と親近感感じています。著書と無関係ですが、松本さんが、だいぶ前にXで呟いていた、おばあちゃんちで食べたお豆腐みたいなアイスですが、明治のじゃないですか?違っていたらすみません。「明治ファミリーアイスクリーム 昭和」で画像検索してみて下さい。明治のマルチパックアイスとして 明治のhpにも出ています。明治の回し者ではありませんが(苦笑)、明治も丁度70年万博のあたりに、淀川工場など増えていったみたいですよ。私はXはロムのみなので、ここですみません。辛党でらっしゃるみたいですが、だいぶ涼しくなりましたが、たまには美味しいアイスでも食べてゆっくりして下さい。応援しています!
2024/11/08 20:49
民主主義をまともに機能させなかった結果と見える
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
大阪万博が迷走していると思われている方はどれくらいいるであろうか。2025年の万博に行きたいという方はどれくらいいるのであろうか。少なくとも盛り上がっているとはいえない。6ヶ月続く大イベントは始まってみないと盛り上がらないのが普通かもしれないが、大丈夫だろうかと思う人は多いだろう。そもそも、明治の富国強兵時代の博覧会と決別できているのであろうか。人類館事件というアイヌや沖縄、朝鮮半島、台湾の人を人類学というお化粧をして見世物にした差別展示の反省がないまま、戦後の博覧会が開かれてきているから、そもそもという批判がある。だからといって、今回の万博の具体的な課題を放置することは問題だろう。イベントに水を差すなという主張そのものも問題視される。多額の税金が使われるというだけで事前の厳しい批判は出て当たり前だろう。本書の目次を見ると、
はじめに
第1章 維新「政官一体」体制が覆い隠すリスク―万博と政治 木下功
第2章 都市の孤島「夢洲」という悪夢の選択―万博と建築 森山高至
第3章 「電通・吉本」依存が招いた混乱と迷走―万博とメディア 西岡研介
第4章 検証「経済効果3兆円」の実態と問題点―万博と経済 吉弘憲介
第5章 大阪の「成功体験」と「失敗の記憶」―万博と都市 松本創
参考文献 関連年表 執筆者一覧 となっている。
以上のように展開される。第1章はジャーナリストとして追いかけてきた方が、第2章は建築家が、第3章はノンフィクションライター、第4章は財政・経済政策の研究者、第5章はノンフィクションライターが担当して一冊の新書となっている。どこを読んでも、万博を推進してきたサイドが住民に、適切に正確な情報を提供しつつ、意思決定を行ってきたとは思えないところが随所にある。万博会場である大阪市此花区の廃棄物最終処分場の夢洲であるが、「負の遺産」と維新の会が批判し、有効活用するという触れ込みであるが、海に接していない自治体にとって、焼却灰や建設残土等を最終的に埋め立てることができるところは貴重な財産である。その寿命を伸ばす使命が自治体にあるはずだろう。さらに沖合に処分場が稼働しているが、瀬戸内法での大阪湾の自然環境を維持するはずではなかったのだろうか。環境保全の面からも、アプローチが必要だろう。また、夢洲には国際戦略港としてのコンテナ基地があるが、使用に問題を来しており、大阪港そのものにも課題設定してほしかった。それでも、カジノによりかかったIR事業と万博との関係を明らかにし、多面的に課題を掘り下げている。十分価値があり、一読されたい。