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初版 金枝篇
「肘掛椅子の人類学」と断じ去るのは早計だ。ただならぬ博引旁証に怖じる必要もない。典型的な「世紀の書」、「本から出来上がった本」として、あるいはD・H・ロレンス、コンラッド、そして『地獄の黙示録』に霊感を与えた書物として本書を再読することには、今なお充分なアクチュアリティがあろう。ここには、呪術・タブー・供犠・穀霊・植物神・神聖王・王殺し・スケープゴートといった、人類学の基本的な概念に関する世界中の事例が満載されているだけでなく、資料の操作にまつわるバイアスをも含めて、ヨーロッパ人の世界解釈が明瞭に看取できるのだから。巧みなプロットを隠し持った長大な物語の森に、ようこそ。
初版 金枝篇 上
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紙の本初版金枝篇 上
2020/04/12 13:31
未開社会の神話、呪術、信仰に関する集成的研究書です!
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、イギリスの社会人類学者ジェームズ・フレイザーによって著された未開社会の神話、呪術、信仰に関する集成的研究書です。表題になっている「金枝」とはヤドリギのことで、同書を著す発端が、イタリアのネーミにおける宿り木信仰、「祭司殺し」の謎に発していることから、その名称がつけられたと言われています。完成までに40年以上かかったとされ、ジェームズ・フレイザーの半生を費やした全13巻からなる大著ででもあります。ちくま学芸文庫では上下2巻シリーズで刊行されており、同書はその上巻です。同書を読まれ、人類学の基本的な概念に関する世界中の事例が満載されてた長大な物語の森をさまよってみられては如何でしょうか?
紙の本初版金枝篇 上
2019/09/12 19:14
面白い!
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぱぴぷ - この投稿者のレビュー一覧を見る
若い頃に読みかけたのだが、途中で断念してしまい、結局、古本屋に売ってしまった。ひさしぶりに再読しようと思って、この『初版 金枝篇』を手に取ったら、意外とするすると読めるようになっていて驚く。昔、手にしたのは、この『初版~』ではなかったかもしれない。
はじめは、「すごい迷信の数々!」と思いながら読んでいたのだが、途中から、「なるほど、そういう発想だったのかも」などと思うようになり、段々、この本の世界にはまっていった。個人的には上巻の方が面白かった。
おそらく、大昔の人間にとって、枯れて死んだはずの植物が次の年にまた息を吹き返すということは、もの凄く驚異的なことだったのだろう。それらの解釈のバリエーションが、諸々の迷信、呪術、宗教なのではないだろうかと思わされた。
紙の本初版金枝篇 下
2020/04/12 13:37
未開社会の神話や呪術を扱った「金枝篇」の最終巻です!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、イギリスの社会人類学者ジェームズ・フレイザーによって著された未開社会の神話、呪術、信仰に関する集成的研究書で、ちくま学芸文庫から上下2巻で刊行されているうちの下巻です。同書において、著者は「なぜ、祭司は前任者を殺さなければならないのか?」という問いと、「なぜ、殺す前に、<黄金の枝>を折り取らなければならないのか?」という2つの問いを立てています。森の聖なる王、樹木崇拝、王と祭司のタブー、王殺し、スケープゴート、外在魂など、大きな迂回とおびただしい事例の枚挙を経て、探索行は謎の核心に迫っていきます。ある人に言わせれば、「これは手の込んだ文化相対主義的キリスト教起源史だ」と解釈することもでき、非常に興味深い一冊です!