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31件
怒り
著者 吉田修一 著
若い夫婦が自宅で惨殺され、現場には「怒」という血文字が残されていた。犯人は山神一也、二十七歳と判明するが、その行方は杳として知れず捜査は難航していた。そして事件から一年後の夏――。千葉の港町で働く槙洋平・愛子親子、東京の大手企業に勤めるゲイの藤田優馬、沖縄の離島で母と暮らす小宮山泉の前に、身元不詳の三人の男が現れた。
怒り(上下合本)
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怒り 下
2016/03/04 10:21
他人ごとにしてませんか?
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
この装幀だけでも書店で平積みされているとインパクトがありますが
中身も相当考えさせられます。
物語の時間設定は現代です。
あくまでもミステリーとしてエンターテイメントとして
読んだ人を楽しませるものとして高い完成度ですが、
その中で投げかけられる私たち社会の問題の多さ深さ!
知的障害者とその家族に対する
母子あるいは父子家庭対する
性的マイノリティに対する
基地問題も含めた沖縄に対する
私たち一人一人の理解と寛容性と共有感への
痛切な問いかけ。
今を真剣に考え直すことを迫ってくる作品でした。
怒り 下
2020/08/06 22:04
愛子には幸せになってほしい
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
容疑者は3人、どの人もいい人そうに思えるので、だれも犯人であってほしくなかった。悲しい結末を迎えた人もいて読んでいて辛かったが、愛子にはこれから幸せになってほしいと願った
怒り 下
2017/02/13 13:31
人を信じるということは
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひさ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人は、なにをもって人を信じるのだろうか。
社会的立場、経済力、容姿、出自、態度、言葉、、
相手の情報をどれほど得たとしても、最後は、自分の信じる力の強さによるところが大きい。だから、信じた相手に裏切られたとき、人は、深く傷つく。自分に失望し、相手に絶望する。絶望は、時に怒りに変わる。
けれど、人は、本能的に人を信じたいと思う。そして同時に、本能的に自分が傷つくことを避けたいと思う。その狭間で、私たちはもがき苦しんで生きている。