この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
三略
2006/03/30 20:24
時代によっても変わらぬビジネスとマネジメントの基本
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
孫子よりも分量が少ない小冊子である。が、中身は濃い。漢帝国設立時、劉邦の軍師であった張良が謎の老人黄石公のから授かった太公望呂尚の兵法書と言われているは「六韜」だと思っていたが、「三略」だとも著者解説に書いてある。老子の道教思想が反映されているとのことだが、徳治や仁といった儒教的な要素もあるようだ。やはりかなり時代の下った漢以降の人の著作であろう。
組織と個人の関係を解説しているように思う。トップは組織の目的を明確にし、組織のメンバーに周知徹底せしめ、全メンバーのベクトルを合わせ、衆知を結集し、状況に合わせて臨機応変に対応し、目的を達成する。その前提にはリソースの充実、適材適所の人材配置、信賞必罰の論功が必要である、といっている。時代によって変わらぬビジネスとマネジメントの基本が述べられている。
三略
2020/11/01 12:16
中国の『孫氏』、『呉子』、『六韜』に並ぶ兵学の名著です!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国の俳人であり、文筆家としても知られ、『月見草』、『サフォ追慕』、『二十歳の周囲』、『天命』、『織田信長 豪気奇才の英傑』などの名著を残した真鍋呉夫氏による翻訳書です。同書は、『孫子』、『呉子』、『六韜』に並ぶ中国古兵学の最高峰「武経七書」のうちの一書に選ばれ、広く巷間に流布されてきたものです。その内容は簡潔かつ柔軟で、北条早雲が最初の一句を聞いただけで兵法の極意を悟ったと伝えられています。本書は技術論のみにとどまらず、その変化の素因としての政治・組織の問題にまで論及されており、苛酷な乱世を生き抜くための機略が詳細に述べられた、まさに名著中の名著です。ぜひ、一度は読んでみる価値ありの一冊です。
三略
2022/08/27 13:16
二つの解説が秀逸
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国古典書として単純に「良さげな感じ」、というだけで購入しましたが、巻末の二つの解説が『三略』の時代背景や他の武経七書での位置づけ等と共に詳述されてあり、非常に勉強になりました。
本書『三略』とは、書名の通り三つ(上略・中略・下略)からなる戦略・機略に関する書物であり、君主たる者の心得書といった内容です。
上略は軍讖(ぐんしん)からの紹介ばかりで、まるでコピー作品か、と謂わんばかりですが、内容自体は極めて大切な事を説いています。中略・下略は人としての生きるべき進むべき道について述べられてあり、人生道としての王道を示した内容です。
本書は古い書物であり、『六韜』と並んで源義経や北条早雲なども読み学んだとされているようで、貴重な一書を現代に於いて読了する事が出来たのは良かったと思います。