- みんなの評価
16件
天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災
著者 著:磯田道史
豊臣政権を揺るがした二度の大地震、一七〇七年の宝永地震が招いた富士山噴火、佐賀藩を「軍事大国」に変えた台風、森繁久彌が遭遇した大津波―。史料に残された「災い」の記録をひもとくと、「もう一つの日本史」が見えてくる。富士山の火山灰はどれほど降るのか、土砂崩れを知らせる「臭い」、そして津波から助かるための鉄則とは。東日本大震災後に津波常襲地に移住した著者が伝える、災害から命を守る先人の知恵。
天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災
2015/01/04 11:16
歴史から学ぶ防災の知恵
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
磯田氏は、東日本大震災を直接のきっかけとし、各地の過去の諸災害の被害状況等を古文書で発掘し、今後の防災に活かす研究を重ねています。本書は、こうした研究の成果として、朝日新聞に連載された自然災害にかかる歴史エッセイの新書化です。
第1章は秀吉と地震、第2章は宝永津波と富士山大噴火、第3章は山津波(土砂災害)と高潮、第4章は幕末史と災害、第5章は磯田氏のご先祖様や森繁久彌が遭遇した津波からの教訓、第6章は東日本大震災からの教訓という構成でした。自然災害が多発する日本では、災害の記録が古文書に克明に刻まれています。先人たちが、後世のために遺した災害の記録や過去の痕跡を無視し、経済合理性を優先してきた現代人の驕りが、被害を拡大させていることが、良くわかりました。
一方、二つの大地震が豊臣家や徳川家の命運を左右したこと(第1章)、安倍清明が津波を封じた塚の話(105ページ)、土御門家(清明の子孫)が地震を予知した話(132ページ)、藤田東湖は母を助けるために圧死した(147ページ)等々興味深い史実も多く語られていて、たいへん面白かったです。
とにかく、磯田氏の著作は史料・古文書に裏打ちされていますので、説得力や安心感があるというのが、あらためての私の読後感です。
天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災
2015/01/26 18:14
災害史の重要性
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夢の巣 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新聞連載の頃から注目、出版を待ちかねていました。
連載とは記事の順番が異なり、また一部加筆・修正・削除もありますが、全体的にはほぼ同じ内容です。しかし、改めて読みなおしても興味深く感じられました。
「人は歴史から何も学ばない」という言葉があるそうですが、地震・津波・土砂崩れなど天災の歴史からはぜひ学ぶべきです。文明がどれだけ進もうとその重要性には変わりないと、本書からよくわかります。
また、歴史を災害との関連性から検討すると、新たな一面が見出されるということも学ばせていただきました。
研究とはいっても、一般向けに平易で読みやすく書かれており、決して難しくはありません。多くの方にお薦めしたい良書です。
天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災
2022/05/04 16:14
真剣に読みました。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:satonoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
磯田さんの文章は読みやすく、時としてトリビアのような面白さも発見します。
しかし、この本は、日本のどこにいても災害を意識しなくてはいけない警告になりました。
命を落とさないことすなわち生きること。
日常を改めて見直す契機にしようと思う本です。
遠藤未希さん、お名前を失念していました。
ごめんなさい。
あなたの分も、しっかり生きていきますね。