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黄金郷(エルドラド)伝説 スペインとイギリスの探険帝国主義
著者 著:山田篤美
コロンブスの新世界到達を契機として、ヨーロッパ人は南米へと進出した。黄金郷という見果てぬ夢を追い、己の全財産、全人生をかけて、彼らは探険を決行。その黄金にかける情熱は、やがて南米北部におけるスペインとイギリスの覇権争いにつながっていく。緑の秘境として知られるギアナ高地。そこは黄金の争奪戦が繰り広げられ、探険を侵略の道具とする「探険帝国主義」の舞台だった。黄金と領土争奪の五百年のドラマを追う。
黄金郷(エルドラド)伝説 スペインとイギリスの探険帝国主義
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黄金郷伝説 スペインとイギリスの探険帝国主義
2010/07/31 10:11
ベネズエラ東部をめぐる探検帝国主義を通観できる。自信をもって友人知人に奨められる書といってよいでしょう。
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、読了直後の感想から申し上げます。
いやぁ面白かった。こんなに知的興奮を味わわせてくれる書物に最後に出逢ったのはいつのことでしょう。一気に読み通しました。
著者は美術史家・歴史研究者。鉄鋼メーカーに勤める夫の異動に伴って南米ベネズエラに一時移り住んだことをきっかけに、歴史上かの地のオリノコ川周辺が欧米列強の帝国主義にいかに翻弄されてきたかについて関心を持ち、それを本書に結実させたということです。膨大な資料にあたると同時に、実際に現地に足を運んでいることの強みが見せる、なかなかの力作といってよい書です。
タイトルにあるようにベネズエラの当該地域はまず黄金伝説に引き寄せられた大航海時代の征服者たちに簒奪され、その後も真珠やランの花、ダイヤや鉄鉱石の利権をめぐっておよそ500年にもわたって蹂躙されていきます。その様子を本書は大変丁寧につまびらかにしていきます。
かといって本書には硬質な歴史学術書の趣は一切ありません。
エリザベス1世の肖像画、デフォーの「ロビンソン・クルーソー」やドイルの「失われた世界」といった小説、さらには映画「パピヨン」など、一般読者に卑近な例を引きながら、それぞれの作品の中にベネズエラと帝国主義の関係がどう込められているのかを分かりやすく解き明かしていくのです。
無邪気に読んだり見たりしてやり過ごしていたそうした作品の数々が、はからずも帝国主義の一端を今に伝えるものであったり、もしくはもっと積極的に欧米の帝国主義の道具として使われていたりしていた跡を本書で教えられ、<知る>という行為が与えてくれる気分の高まりを幾度もおぼえました。
あたかも上質のミステリー小説を読むような興奮に近いものを感じます。
と同時に、素朴でもてなしの精神にあふれていたことがあだとなり、結果的に隷従の生活を強いられることとなった南米先住民族の哀しみにも改めて思いをはせました。
黄金郷伝説 スペインとイギリスの探険帝国主義
2023/05/28 14:14
黄金境伝説
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロンブスによる新大陸発見が当時のヨーロッパ・キリスト教社会や帝国主義の時代においてどのような意味を持っていたのか、とても分かりやすく、新しい視点が得られた気がする。「新大陸の発見」が、聖書に記述されていない世界の「発見」であり、キリスト教にとって打撃だったという視点は面白かった。
2021/05/17 17:27
コロンブスは
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
新大陸発見……と世界史はいうけれど……そうですよね……原住民の方は、はるか昔から住んでいたわけで……。それを偉業とたたえる歴史……。うーん、ベネズエラは……。その当時の、スペイン王国の強大さ、イギリスの台頭……。考えさせられることばかりです