- みんなの評価
3件
ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと
著者 村上靖彦 著
やがて訪れる死や衰弱は、誰にも避けられない。自分や親しい人が苦境に立たされたとき、私たちは「独りでは生きていけない」と痛感する。ケアとは、そうした人間の弱さを前提とした上で、生を肯定し、支える営みである。本書は、ケアを受ける人や医療従事者、ソーシャルワーカーへの聞き取りを通じて、より良いケアのあり方を模索。介護や地域活動に通底する「当事者主体の支援」を探り、コロナ後の課題についても論じる。
ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
ケアとは何か 看護・福祉で大事なこと
2021/08/15 20:07
看護・福祉でのケアを問う
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の題名は「ケアとは何か」であるが、医療や福祉部門の政策を示しているものではないし、ケア技術の本でもない。
目次を見ると、第1章コミュニケーションを取る、第2章<小さな願い>と落ち着ける場所、第3章存在を肯定する、第4章死や逆境に向き合う、第5章ケアのゆくえという構成になっている。
第1章のコミュニケーションを取るでは、確かにコミュニケーションを阻む要因というケアの解説の本にも見られるところがあるが、技術で解決できる問題ではないし、行政施策としてどう生かすかという点では難しいと思われる。しかし、数多くのエピソードを通して、コミュニケーションをどうとっていくかを考えさせる章である。
第2章の<小さな願い>と落ち着ける場所では、厚生労働省の人生会議のポスター問題から入る。自己決定とは何か、医療上必要ということで小さい願いがかなえられなかったりするが、私たちはこれをどうとらえていくかということを問いかける。
第3章の存在を肯定するでは、在る、居るという哲学的なテーマから入りつつも、自己の存在をどう肯定していくかに迫る。
第4章では、言葉にならないことをどう言葉にしていくか、孤立した人とどうつながっていくか、技術というわけではなく、どう人間として突破していくかを問う。
第5章では、新型コロナウイルスの感染拡大で、人と人の関係が切断されるという厳しい中で、当然、ケアも切断される現実がある。しかし、当事者のピアのグループでのつながり、弱いことを肯定する等々で乗り越えていく道筋を示していく。
通読して、今のハウツーに頼る傾向から見ると、具体的にどうすればいいのかというのがわかりにくいかもしれないが、紹介されている大阪市西成区では、試行錯誤しながら具体的に実践している例もある。
学ぶべきことが多い書である。
2024/07/21 22:52
体験重視 一読理解は 難しい
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:清高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.内容
ケアとは何かを、「とりわけ医療や福祉といった援助の現場での実践」(まえがきp.5)において検討する本である。そしてそれは、「誰もが日常的に家族や周囲に対して行っているようなケアにも拡張できるもの」(まえがきp.4-5)である。
2.評価
村上靖彦には、客観性の落とし穴.筑摩書房,2023,(ちくまプリマー新書).という本があるが、本書もエビデンスより「個別の体験」(まえがきp.5)を重視するスタンスとなっている。それゆえか、引用が豊富で、引用をきっかけとして読者に考えさせる内容になっている。
一読で理解するのが難しかった点で1点減らして4点とするが、困難に陥っている人がどのように考え、行動するのか、ならびに、ケアラーがどう支援しているのかの一端がわかる、有益な本である。
2021/10/03 23:06
はじめは
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ケアの技術や、そのやり方の本かと思ったのですが……読み進めると、どうも、違うようで……。テクニカルな面よりもむしろ、心理面とかに重点がおかれて、書かれた本です。介護に関わり始めた方ぜひー。