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大東亜共栄圏 帝国日本のアジア支配構想
著者 安達宏昭 著
大東亜共栄圏とは、第2次世界大戦下、日本を盟主とし、アジアの統合をめざす国策だった。それはドイツ・イタリアと連動し世界分割を目論むものでもあった。日本は「自存自衛」を掲げ、石油、鉱業、コメ、棉花などの生産を占領地に割り振り、政官財が連携し、企業を進出させる。だが戦局悪化後、「アジア解放」をスローガンとし、各地域の代表を招く大東亜会議を開催するなど変容し、迷走する。本書は、立案、実行から破綻までの全貌を描く。
目次
序 章 総力戦と帝国日本―貧弱な資源と経済力のなかで
第1章 構想までの道程―アジア・太平洋戦争開戦まで
第2章 大東亜建設審議会―自給圏構想の立案
第3章 自給圏構想の始動―初期軍政から大東亜省設置へ
第4章 大東亜共同宣言と自主独立―戦局悪化の1943年
第5章 共栄圏運営の現実―期待のフィリピン、北支での挫折
第6章 帝国日本の瓦解―自給圏の終焉
終 章 大東亜共栄圏とは何だったか
大東亜共栄圏 帝国日本のアジア支配構想
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2024/10/29 22:17
無茶苦茶な うえに独立も 形式的
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:清高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.内容
大東亜共栄圏がいかなるものかを記した本。欧米に比べてそもそも脆弱な経済状況の大日本帝国は、そもそも英米と協調しないと生きていけなかったはずだが、英米と対立して共栄圏に命運を託した。しかし、英米と貿易していた時より豊かになったわけではなく、経済的に苦境に陥った。大日本帝国は、形式的には独立を認めていたが、実際は大日本帝国が支配していた。現在は行政権は内閣の属するものとされるが(憲法第65条)、当時の実際においては内閣と軍部に分立しており、方針が定まらず、それが苦戦の原因にもなり、共栄圏の経営の苦しさにもつながった。
2.評価
途中のデータが豊富な部分は、通読の際に眠気を誘うものであるが(もちろん、データの信憑性を疑っているわけではないので、データも熟読すべきである)、全体としては、大東亜共栄圏は、一部の見解のような、アジア諸国の独立を促したものではなく(例えば、フィリピンはアメリカから、1946年に独立を約束されていた。その前に形式上フィリピンは独立したが、改めて1946年に独立した)、無茶苦茶なプロジェクトで、誇れるものではないことがわかるので、5点。
大東亜共栄圏 帝国日本のアジア支配構想
2022/09/05 20:32
日本は本当にアジアを解放しようとしたのか
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は大東亜共栄圏について、本格的な研究書を出しており、本書は新書といえども非常に濃い内容になっている。
日本は日清、日露戦争で大国相手に勝利し、又は有利に展開し、台湾、朝鮮半島及び南樺太等を植民地化し、第一次世界大戦で南洋諸島を事実上の植民地としていった経過から、第二次世界大戦もそうだという人も多い。しかし、そう考えていいのか。
本書は、基本的に日本が米英に対抗し、東アジア、東南アジアを対象に経済自給圏を形成しようとしていたと見る。序章で総力戦と帝国日本、第1章で構想までの道程、第2章で大東亜建設審議会、第3章は自給圏構想の始動、第4章は大東亜共同宣言と自主独立、第5章は共栄圏運営の現実、第6章が帝国日本の瓦解、終章として大東亜共栄圏とは何だったのかと続く。
第二次世界大戦に日本が参戦、日本を盟主とし、欧米を追い出し、アジアの統合を目指す国策としての大東亜共栄圏構想。三国同盟で独伊と連動し、世界を分割しようと目論むものでもあった。しかし、戦局が悪化し、陸軍、海軍の都合が前面に出てきて変容し、迷走する。大東亜共栄圏の立案から破綻までの軌跡を描き出す。
日本は自存自衛を掲げ、石油、鉄やボーキサイト等の鉱業、コメ、棉花などの生産を植民地や占領地に割り振り、軍が前に出てくるとともに、政官財が連携し、多くの方がよく知る企業を進出させる。
戦局が悪化し、現地の協力が欠かせなくなると、アジア解放というスローガンを押し出し、各地域で代表を引っ張り出し、大東亜会議を開催するなどするが、独立要求に応えることなく迷走する。
大東亜共栄圏を巡っての主張が多くあるが、自ら考えるにあたり、この一冊は読むべき本である。
2024/07/11 12:39
わかりやすい
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次世界大戦前の帝国日本のアジア支配構想について、わかりやすく解説されていてよかったです。夢想的なことに驚きました。