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在日米軍基地 米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史
著者 川名晋史 著
世界で最も多くの米兵が駐留し、米軍施設を抱える日本。米軍のみならず、終戦後一貫して外国軍の「国連軍」も駐留する。なぜ、いつから基地大国になったのか。米軍の裏の顔である国連軍とは。本書は日米の史料をふまえ、占領期から朝鮮戦争、安保改定、沖縄返還、冷戦後、現代の普天間移設問題まで、基地と日米関係の軌跡を追う。「日本は基地を提供し、米国は防衛する」という通説を覆し、特異な実態を解明。戦後史を描き直す。
在日米軍基地 米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史
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2024/06/27 15:17
国民の知らない在日米軍基地の両面的な存在意義
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投稿者:森の爺さん - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本に米軍基地があるのは、誰でも知っているが、その米軍基地が朝鮮戦争の際の国連軍(朝鮮国連軍)も使用する基地であることを知っている国民は少ないだろう。本書は在日米軍基地の国連軍の使用基地としての存在意義という両面的な観点から解説しているのだが、その歴史的経過も含めて新書で説明するには内容が複雑過ぎる。
朝鮮半島は南の大韓民国(韓国)と北の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が存在するが、両者の境界線については分断当初の北緯38度線から朝鮮戦争(1950年~1953年)を経て、その休戦協定に基づく軍事ラインであり、休戦状態のままであることから国連軍は依然として存続しており、司令部は韓国ソウルに存在するが、後方司令部が日本の横田基地(キャンプ座間から移転)に存在すること自体、知らない国民が多い筈である。
太平洋戦争終結後の米国を主体とする連合国の対日政策としては、日本の軍事的脅威の払拭という観点から非軍事化を推進し、その政策の一環として憲法第九条の戦争放棄も含まれていたが、1950年の朝鮮戦争の勃発により、米軍はもとより日本占領(中国・四国地方を担当)から足を洗おうとしていた豪州軍も国連軍に参加することとなり、兵站基地としての日本の重要性が高まった結果、休戦後も東アジアにおける冷戦構造の中で、米国の東アジアの防衛拠点として在日米軍基地が残り、かつ日本国の防衛のための自衛隊が発足するに至っている。
冷戦構造の崩壊後も、北朝鮮による瀬戸際政策により、国連軍はそのまま解散せずに存在しており、米国はその維持のために関係国への働きかけを続けている。そして日本はその国連軍の兵站支援の役割を担っており、日米地位協定と同様に国連軍に参加している11か国との間にも国連軍地位協定を締結することにより、在日米軍基地の国連軍使用を認めている。
そして、在日米軍基地の多くは、同時に国連軍基地として使用可能となっていることから、民主党鳩山政権時代の沖縄普天間基地(国連軍使用可能基地)の移転を巡る迷走について、国連軍への転用を想定した場合に米軍にとって当時の鳩山首相が言っていた「国外移転」は(国連軍として使用できなくなるので)あり得ない選択肢だったのだが、鳩山氏があまり理解していなかったのでは無いかと著者は推測しており、米軍側では当初から一貫して辺野古への移転を前提としていたというのも皮肉な話である。
安倍内閣における平和安全法制の議論において一番問題になったのが「集団的自衛権」であったのは記憶に新しいが、元々政府が国内政争を回避するためのレトリック(二枚舌)として使用していた「個別的自衛権」と表現していたのが、法整備上「集団的自衛権」としなければならなくなったという説明であるが、国連軍において既に国民の大好きな国連の名の下に集団地域安保に組み込まれているとも言えるし、ACSAと円滑化協定により、国連軍参加国が自国軍として自衛隊との共同作戦と基地への立ち入りも可能となっているとすれば共同作戦を行う国との間の秘密保持も必要となる。
結局のところ、日本における安全保障にかかる法整備については、常に「そんなことをすれば戦争になる」(平和安全法制も「戦争法案」と騒がれていた)という反対派と神学論争になるのが面倒な政府の言い換えのレトリックの間で、国民の無関心が進むという不毛な経過を辿っているのが不幸であると思う(有事の事を想定して法整備は平和を護る上でも重要と考える)。
在日米軍基地 米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史
2024/03/03 21:35
在日米軍基地の基本が学べる内容です。
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトル通り、在日米軍基地の現状や歴史、政治などの色々が学べます。
正直私も、在日米軍基地はニュースで少し耳にするだけで詳しく知らなかったので、学びたくて当書を購読しました。
当書は、在日米軍基地についての知識の基本が示されています。在日米軍基地の基本を学べる機会を得られ、当書に触れてよかったと思いました。勉強になりました。