- みんなの評価
1件
危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』
「これは『ナウシカ』の世界を旅する中で、すでに体験したことだ」
コロナウイルス、ウクライナ侵攻、AI問題、気候変動……
混迷する現代社会を私たちはどう生きるのか。
朝日新聞デジタルにて、2021年3月に第1シーズン、5月に第2シーズンを配信し、読者から高い支持を得た「コロナ下に読み解く風の谷のナウシカ」に、2022年12月に掲載した第3シーズンを入れてインタビューを書籍化。
【収録著者】民俗学者・赤坂憲雄/俳優・杏/社会哲学者・稲葉振一郎/現代史家・大木毅/社会学者・大澤真幸/漫画家・大童澄瞳/映像研究家・叶精二/作家・川上弘美/軍事アナリスト・小泉悠/英文学者・河野真太郎/ロシア文学者・佐藤雄亮/漫画研究者・杉本バウエンス・ジェシカ/文筆家・鈴木涼美/スタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫/漫画家・竹宮惠子/生物学者・長沼毅/生物学者・福岡伸一/評論家・宮崎哲弥(五十音順、敬称略)
危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
危機の時代に読み解く『風の谷のナウシカ』
2023/12/08 16:35
風の谷のナウシカから現代を見る
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
漫画「風の谷のナウシカ」をもとに、18名の識者へのインタビューから、混沌とした危機の現代社会を読み解く。アニメのそれと、漫画のそれとは、似て非なる者であり、映画は、調和の取れた全体に包み込まれて終わり、漫画のそれは、読者を予想もしなかった場所に投げ出して終わるという感じ。漫画ナウシカは、様々なな読み方を許容してくれる開放系の作品である。精一杯生きること、自らの死を認めることは、両立する、そして老いるからこそ、死ぬからこそ人は美しいと。単純な善悪では割り切れない人間の愚かさを直視する。清浄と汚濁こそ生命であり、それにまみれながら生きていくしかない。さらにある程度自然をかく乱させることが、自然界における人間の役割ではないか。世界を再生するには、犠牲もいとわない残酷さと、すべてを包み込む慈悲の両方が必要となる。権力に善意は期待できず、権力そのものを無力化する仕掛けを作り出すしかない。人間同士、生命同志、完全に調和するものではなく、不協和音がはいりこむものではないか。